ジャケパンのすすめ 弁護士の服装③ 日常業務の際の服装 リネンジャケットすらもアリなのか?
こんにちは。齋藤です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大からこのかた、WEB裁判も普及し始め、裁判所に行く機会がめっきり減ってまいりました。
と同時にスーツを着る機会が激減しております。
といいますのも、もはやこれまでお堅かった銀行員すらジャケパンで仕事をしており、企業がクライアントの場合だからといってスーツを着て出て行くと相変わらず堅い恰好をしてますね、と言われるご時世になってきたからです。
こうなってきますと、ジャケパンのほうがだんぜん経済的になってきます。
スーツは共布ですが、基本的に、パンツが先にヘタります。
くたくた、テカテカになったパンツを処分すると、ジャケットだけが残ります。
オーダースーツであれば、同じ生地を指定してパンツを再度作ってもらえばよいわけですが、既製品であれば、ジャケットと同じ生地のパンツを見つけるのは至難の業です。
また、オーダー品であっても、数年前に購入した生地であれば、もう同じ生地は手に入らないということもあり得、やはりジャケットだけが残ることになってしまいかねません。
そして、ジャケットだけが残ると、合わせるパンツに悩まされることになります。
それは、単品使いのジャケットと、スーツのジャケットとでは着丈を変える必要があるからで、スーツのジャケットとして使用することが念頭に置かれたジャケットに単品のパンツを合わせると、何だか着丈が長すぎるように見え、野暮ったい印象になってしまいがちだからです。
また、スーツのジャケットの肩にはパットが入っていることが多いですが、ビジネスウェアのカジュアル化の影響か、近頃の単品ジャケットにはパットが入っていないことが多く、パットの入ったスーツのジャケットに単品パンツを合わせると、何だかリラックス感に欠け、これまた野暮ったい印象になってしまいがちです(あくまで私の個人的な主観ですが)。
つまり、スーツのパンツがダメになってしまった場合、例えばネイビーのスーツであれば、残ったジャケットとグレーのパンツを合わせればそれで済む、というわけではないのです。
そこで、残ったスーツのジャケットの丈を詰め、パットを外す、というリフォームをして、単品ジャケットとして使う、ということが考えられます。
また、単品ジャケットとして使用する途を模索するのではなく、あらかじめツーパンツで購入し、スーツとして長くしようできるようにする、ということが考えられます。
2つのパンツを使いまわすことで劇的に持ちがよくなります。
と、まぁいろいろと考えてスーツを生き長らえさせようとするわけですが、このご時世、いっそのことジャケパンで仕事をしてしまってもいいのではないか、というのがこの論考です。
個人的にはスーツの方がジャケパンよりもカッコいいと思っているのですが、なんだかスーツ姿が堅苦しすぎるような気分になってきてしまっていること、パンツのヘタりと共にやってくるスーツの賞味期限の問題を解決するにはジャケパンが最適です。
というわけで、春に向けてベージュのジャケットを仕立てました。
生地はスペンスブライソン(SPENCE BRYSON)のアイリッシュリネン100%のものです。
目付は370gでかなりしっかりとしたハリコシがあります。
平織のトロピカルです。
ハリコシにより、なんとも形容しがたいブリンとした着ごたえがあり、ウールのジャケットとは全く異なる着用感です。
もう少し目付の軽い生地もあるのですが、スペンスブライソンと言えばこのしっかりした生地をまずは試してみないと、という話らしく、このヘビーウエイトの生地を選択しました。
https://www.collabo-style.jp/blog/customer-oder/-fabric-by-spence-brysonsolbiati.html
https://oreno-tailor.com/spencebryson2021/
↑↑↑これらの記事にはたくさんのスペンスブライソンの生地が掲載されていますが、銀座山形屋のバンチにはこんなにたくさんはありませんでした。
リネンですので一応春夏向けということのようですが、しっかりした厚みがあり、どう考えても真夏には不向きです。
最高気温25℃くらいの日に着用して汗が出てきます。
30℃を超える日には汗だくでしょう・・・
また、リネンは褪色しやすいという私の経験則から、背抜きではなく総裏にしています。このあたりももっぱら春秋の使用を念頭に置いた仕様としております。
リネン100%のジャケットは初めてなのですが、少なくともスペンスブライソンのリネンは全くチクチクしません。
私が卒業した中学・高校では、夏服のズボンが緑色のリネンという攻めた制服だったのですが、とてつもないチクチク感で、生徒は誰しもへきへきしておりました(今にして思えばあれはあれで季節感があって小洒落てはいたかもしれませんが)。
チクチク感が一切なく、リネン特有の素材感が味わえるスペンスブライソンの生地、、、最高です。
他方で、アイリッシュリネンと言っても、以前はアイルランドで生産された麻で作られた織物を指していたところ、現在では、麻の産地や糸の紡績の場所は問わず、ただアイルランドで織物が生産されていればアイリッシュリネン生地を名乗れるようなのです。
実際にはもはやアイルランドでは麻を栽培してはいないらしいのです・・・アイルランドが麻の栽培地として適していたからこそアイリッシュリネンが高品質とされていたはずなのに・・・時代の移り変わりははかないものです・・・
さて、とはいえ、リネンのベージュジャケットを着てクライアントの前に出るのは弁護士としてどうなのか、カジュアルすぎるのではないか、と思われるのはごもっともかと存じます。
他方で、今のところ、「春らしい装いですね」くらいのコメントを頂くことはあれど、くだけ過ぎではないか、とのお叱りを頂いたことはありません(心の中で皆様思っておられるのかもしれませんが・・・)。
↑↑↑サックスブルーシャツ、ネイビータイと合わせればかなり爽やかな印象になるかと。
というわけで、コロナ前だとカジュアルすぎたであろうベージュのリネンジャケットがギリギリアリ、という世の中になりつつある気がしております。
スーツよりもジャケパンのほうが遊べることも事実であり(それゆえジャケパンスタイルは難しく、スーツよりもダサくなりがちですが)、くだけた恰好を好むクライアントの前ではジャケパンで洒落めかしてみるのも弁護士の服装として許容されるのではないかというのが今回の結論です。
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