第50回衆院選挙&第25回国民審査の感想

 こんにちは、かいねっしゅです。
 先日、第50回衆議院議員選挙および第25回最高裁判所裁判官国民審査が実施されました。私も投票し、いち日本国民としての意思を示してきました。

 ここではその結果について、私の感想を述べていきます。ぜひ最後までご覧ください!

概評

 まずは、当選した方々、おめでとうございます。私の思想信条に反する議員も多く当選しましたが、ここでは祝意を表します。
 今回は十年ぶりくらいの自民一強ではない選挙であり、前の参院選(2022)と比べてかなりの変化がありました。政治にこの言葉を使うのは不適切かもしれませんが、面白い選挙でした。

 与党が過半数を割ったのは衝撃的でした。私は自公で235議席くらいを占め、ギリギリで過半数を取るのを予想していましたが、結果は予想マイナス20でした。大外れです。
(事前予想は以下の通りでした:自民205, 公明30, 立憲145, 維新35, 国民15, 共産12, 社民1, れいわ7, 参政3, 保守2, その他16)

 全体的には、与党が支持を失った結果大幅に議席を減らし、受け皿となった野党が(主には消極的な)支持を受けて、そこを埋める形になったと感じています。 これからは、与党は支持をいかに回復させるか、野党は消極的支持をいかに積極的支持に転じさせるかが、それぞれの勢力拡大の鍵になると思います。
 自公は少数与党になりましたが、現状、どこの野党も連立政権を組む気はなさそうです。よくいえば少数派を無視しない、悪くいえば停滞した政治になることが予想できます。
 野党が過半数を占めたことによって、内閣不信任案が可決されることも現実味を帯びており、緊張感のある国政になるのではないでしょうか。

投票率

 今回の衆院選の投票率は53.85%であり、戦後三番目の低さでした。一般に低投票率のときは自公が強くなる傾向にあるのですが、今回はその傾向から外れました。
 私は、これは自公の支持者層があまり選挙に行かなかったのが原因ではないかと考えています。実際に、比例代表のほうの得票数を見ると、自民は大きく数を減らしている一方、躍進したはずの立憲民主党はほとんど数を増やせていません。

 私は、日本国憲法第12条を解釈し、選挙に行くことは参政権の行使であって、国民の権利と自由を守るための行動だと思っています。よって、可能な限り選挙には行くべきであると考えています。
 かといって義務投票制にすると適当に投票する人が続出し、国政を不要に乱すおそれがあるので、これも適切だとは思いません。

日本国憲法第12条(抜粋)
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。(後略)

『日本国憲法』(太字は筆者による)

各党の結果について

自由民主党

 議席を50以上も減らす大敗でした。自民党支持者でもかなりの割合が野党に投票しており、牧原法務大臣や甘利氏が落選するなど、予想よりも自民党は結構苦戦していたように思います。
 所謂「裏金問題」の処理を行い、異例の早期解散を仕掛けて挑みましたが、思うようにはいかなかったようです。NHKの調査によると、自民党支持者でも相当の割合が野党に票を投じており、求心力の低下が明らかとなっていました。
 積極的支持を集めていないとみられる石破氏が総裁になった中での選挙戦ですので、苦戦するのはある意味当たり前なのかもしれませんが※、「裏金問題」を自ら争点としたことで、それを野党が利用し、有権者の関心が集中して、よけいに支持が離れた感じがします。
 私としては、裏金問題を殊更に訴えず、政策を中心に宣伝したり、「自民党は反省するんです! 野党にはできない "しっかりした政治" が、俺たち自民にはできます!」などと訴えたりしたほうが、自公への支持は集まったのではないかと考えています。

※ただ、高市氏が総裁になっていれば、その政治姿勢から穏健派の自民党支持者が離れ、現実よりも更に自民党が負けていた可能性もあります。

公明党

 議席を8減らしましたが、それよりも衝撃的なのは、石井代表と佐藤副代表が二人とも落選したことです。公明は期日前投票のぶんが強いと聞いていたので、流石に当選するだろうと思っていたら落選していたので本当に驚きました。
 公明党は新興宗教の創価学会を母体とする政党であり、したがって所謂「組織票」が期待されます。しかし今回はうまくいかなかったようでした。原因は様々あると思いますが、裏金問題で問題となった議員を推薦してしまい印象を落としたこと、学会員の高齢化や池田大作氏の死去による組織票の弱体化などが考えられます。

立憲民主党

 立憲民主党は議席を50も増やし、大勝利といえる結果となりました。
 これには、立憲への積極的支持もあるとはいえ、自民は嫌だが維新や国民や共産、れいわも嫌だから立憲、とか、自民に対抗するなら数が多いほうがいいから立憲、あるいは、自民は嫌いじゃないが今回は罰の意味を込めて立憲、といったような消極的支持もかなり多かったのではないかと思います。
 実際、立憲はあまり比例での得票数を伸ばしていないほか、政党としての支持率も、獲得した議席数と比べれば異常なまでに低いです。また、若年層の支持も少なく、消極的支持を積極的支持に変えられなければ、今後、再び議席を減らすことになると思います。

日本維新の会

 日本維新の会は議席を6減らし、勢力を縮小しました。
 維新の議席数減少は、私の予想の範囲内でした。斎藤兵庫県知事の不祥事や万博にまつわる問題が響いたのだと思います。また、高齢者層の負担を増やす政策を推進していると思われたことも関係していると考えています(所謂シルバー民主主義による)。
 ただし、大阪府の小選挙区では完勝していました(常勝だった公明の候補者も破っています)。したがって、相当量の安定した支持はありますし、改革を支持する勢力も強いと思いますので、今後もしばらくは勢力を保てるだろうと感じます。

国民民主党

 国民民主党は議席を21も増やしました。
 私も国民民主党の躍進は予想していましたが、議席を4倍に増やしたのは驚嘆に値します。自民は嫌だが立憲や共産も嫌だ、とか、与党の批判のみならず政策も語る党がいい、といった人々の支持を集めたものと思います。特にインテリ層の支持が厚いのかなと感じます(事実かは分かりません)。
 国民民主は若年層の支持がとりわけ厚いようですので、今後の勢力拡大は十分ありえます。
 ただ懸念されるのは、失言や失策です。尊厳死の発言をはじめとして、国民民主党にはふいに失言や失策をおかす傾向があるように感じます。
 失言や失策をせず、堅実に勢力を伸ばすことを期待します。

日本共産党

 日本共産党は議席を2減らし、8議席となりました。
 私にとってこれは意外でした。集団的支持を集めており、一定の人気はあると思っていたからです。
 本来共産党に投じられるはずだった票が、れいわ新選組などに流れた感じがします。また、主たる支持層である高齢者が徐々に投票へ行けなくなっていることも影響しているのではないかと思います。そのほか、そもそも若年層にとって「共産党」の影が薄い可能性も考えられます(実際、テレビ局の調査を見ても、若年層からの支持は非常に薄いです)。
 それにしても、野党躍進の大きな理由である裏金問題と2000万円の件をスクープしたのは共産党(しんぶん赤旗)なのに、却って議席を減らしたのはなんとも不憫です。

社会民主党

 社会民主党(社民党)は議席数は変わりませんでした。ただし、たった1議席です。
 これにより社民党はぎりぎりのところで政党要件を満たすことができました。しかし、今後も極めて危うい情勢が続くことが容易に推定できます。

れいわ新選組・参政党

 れいわ新選組と参政党は議席を3倍のそれぞれ9議席、3議席に増やし、ともに躍進したといえるでしょう。特にれいわの躍進は予想外のレベルでした。共産党が受け皿となるはずだった票がれいわに流れていることを感じます。
 両党は政治思想こそ真逆ですが、どちらもポピュリズムの傾向が非常に強く、インターネット上で盛んに活動していました。
 今回の結果は、インターネットにおける選挙活動が票数に結びつき始めた証左であり、今後の選挙活動のあり方が変わっていくと予感させる結果であると思います。
 ポピュリズム的であることに加え、陰謀論的であり、場合によっては反科学的であることから、私は両党とも支持しませんが、ネットの力が選挙に影響しているのを示したのは確かだと思います。

日本保守党 

 日本保守党は初めて議席を獲得することになりました。3議席の獲得です。
 当選者の中でもっとも有名なのは河村たかし氏でしょう。河村氏の当選は保守党に出たからというより、彼自身の人柄によるものが非常に大きかったのではないでしょうか。
 当選したということもあって、今後は河村氏の意向がそれなりに保守党に反映されるのではないかと思います。

国民審査

 最高裁判所裁判官国民審査ではいつも通り誰も罷免されませんでしたが、注目に値すべきことがありました。
 ✕(バツ)の割合が一割を超える裁判官が四名いたことです。これは、2000年の審査以降24年ぶりのことです。ネット上の政治活動により、国民審査が徐々に知れ渡ってきたことの表れであると私は捉えています。
 過半数に✕をされないと罷免されず、大して周知もされていない、正直、あまりやる気のないと思う国民審査ですが、多少は改善の兆しが見えたと思います。このままいけば、三十年後くらいには本当に罷免される裁判官が出てくるかもしれません。

 私は今の国民審査はもっと改善すべきであると思いますが、あまりにも罷免されやすくすると、今度は司法に疎い国民の感情によって不当に罷免される裁判官が出てくる恐れもあるので、期間を6年に一回にするくらいがちょうどいいのかもしれません。

さいごに

 末筆にはなりますが、候補者の皆さん、選挙期間中はほんとうにお疲れ様でした。

 選挙がいかなる結果になったにせよ、これから日本がさらに良い国になることを、日本を愛するいち日本国民として、心から切に願います。
 これをもちまして、この記事の結びとします。

 お読みいただきありがとうございました!