「ナnあchiキひとぉつ」
「ナnあchiキひとぉつ」
コンビニのカウンターで長身細身浅黒青年が身を乗り出して言った。どこの出身の人だろう? ちょっと見慣れない系統の顔。
「? ……おタバコですか?」
身を乗り出した分とちょうど同じくらい上半身を反らし、それでも朗らかなよく通る声で丸顔の女性店員が聞き返す。
たしかに手に何も持っていない客は往々にしてタバコ購入目的だ。種類が多いから名前覚えきれんよなあ、うんうん。
「ナnあチキひとぉつぅ」
青年は注文を繰り返した。
「! ナナチキひとつですね!」
店員はパズルが解けた喜びをちょっとだけ声ににじませ、てきぱきと動き出した。
川口市芝、今朝のコンビニスケッチはホリゾンブルー基調の水彩画。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?