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真昼の空にもあまたの星

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埼玉でカフェやスペースなどを運営する数名が、店のできごと、日々感じること、見えてくる世界をつらつらと綴ります。
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2022年12月の記事一覧

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい

年末の北本団地商店街。 2週間くらい前にピザ屋のIさんから相談をもらったイベント「年の瀬マルシェ」開催でキッチンカーが5台出店。穏やかだけど賑やか。 「中庭」は大掃除なのでテーブル椅子を外に出してモップ掛けと水拭き。 作業していると近所のTさんが手伝いに来てくれる。普段なかなか細かいところまで掃除できないので、この機会に隅々まで水を入れて流して掃除した。溜まっていた一年分の埃と団地の人から持ち込まれた色々なものと空気が流れてスッキリした気がする。 いつの間にか表に出したテーブ

「プリンはメニューに入りますか?」

いま商店街振興とか街おこしとかやってる多くの人がそうなんじゃないかと想像してるんだけど、「これ、業務だったら絶対苦痛だよねえ」。 目標があって、手順考えて、予算や日程を踏まえながら一つずつ積み重ねて、数字に見える形で実現していく……。 いや、無理です、そういうの、ぜったい無理。 場当たり、最高! さて、近くのファミリーマートから「大人のプリン」が消えて数か月。固めプリンが食べられないことに、私はもう耐えられなくなっていた。「これ、けっこう固めだよ」とお客さんが持ってきて

道端で、ジイさまとケンカする

 いつも通りに家を出る。観光地を背に住宅街を抜けると、田畑の向こうに点々と鉄塔が立っている。土砂やら建材やらを積んだトラックが走るからだろうか、アスファルトで舗装された道路の上に、自転車で走るにはつらい大きさの砂利がまだらに散らばっている。砂利をパチパチはじきながらしばらく走ると、大きな河川に行きあたる。この規模の川を越える橋は当然ながら数が少ない。迂回、迂回。橋のゆったりとしたアーチの頂点まで登ると、平野の際で山々が連なっているのがよく見える。橋を下ると住宅地、そしていつも

完成させるために塗っているわけじゃない かも

埼玉県北本市と桶川市の間あたりに、北本団地商店街はある。 1971年に北本団地と共に誕生して以来、長きに渡って団地の暮らしを支えてきたのだが、2022年現在では団地の少子高齢化も相まって立派なシャッター商店街となってしまっている。 私たちはそんな商店街の端っこに「ジャズ喫茶 中庭」という場所を作った。ジャズ喫茶、音楽ライブを中心に、レンタルスペースとしても開けているので、日替わりキッチン、福祉団体の交流の場、手話カフェ、フリースクールなど、様々な活動が行われている。 去年の