わたしと深夜アニメの出会い
最近、新しくアニメ見るまでの腰が重いです。
「ウマ娘2期」「のんのんびより3期」と続きものをだらっと見るだけで力尽きてしまいました。単純にオタク趣味と自分の趣向が乖離し始めているのか、それとも保守的な傾向になっているのか定かではありませんが、どうしても新しい作品に「よっこいせ」とする気概が湧いてこないのでした。
すると、やるべきは自ずと過去の作品を振り返ることになるわけですが、ただ「昔のアニメは良かったけど今のはな~」と管を巻いても仕方が無いのでわたしが深夜アニメと出会った頃の話をしようと思います。
そもそも、いまはネットフリックスなどサブスクでアニメを追っている人も多いと思うので、深夜アニメという括りで考えるのも古いのかもしれないですね。ただ、わたしが深夜アニメと出会った10年ぐらい前はまだそんなサービスも一般的ではなかったので、深夜アニメとそれ以外のアニメには大きな断絶があるような時代でした。
ゴールデンタイムからアニメが追い出されて、朝か夕方に移った国民的アニメを視聴している層と深夜アニメを視聴しているキモ=オタク層がまだ区分けされているような肌感がありました。オタクがキモいのではなく、深夜アニメを見るようなオタクがキモいと思われるのでは、なんて危惧があったのではないかと思います。鬼滅の刃や呪術廻戦が国民的ヒットを飛ばしている今では隔世の感ですが。
そんな時代の空気感で2011年、当時中学生だったなびくちゃん(筆者)はキモオタクではないライトなオタクでした。ジャンプ作品を読んでいてラブコメを一番楽しみにしているようなエロガキではありましたが、夕方のバトルマンガ原作のアニメを見ているような健全な男の子でした。
ただ、今でもよく覚えているのですが、その年東日本大震災がありまして、わたしは首都圏の人間だったので直接被害はなかったものの、その当日は保護者が迎えに来てくれる夜まで学校に幽閉される体験なんかをしたりしつつ、なんだか世の中が終わっていくような若干の終末感を感じているものでした。家に帰ってテレビをつけたら、星明りしかないような中で町が全て赤く、黒く燃え上がっているのですから、とても現実とは思えなかったものです。
そんな折、余震の影響などもあって部活動も大きく制限され、家に帰る時間は早まっていたのでした。当時はTwitterも数千RTで「バズった」状態になっていたので、ネットの盛り上がりも世間的なものというよりは局所的なもののように感じていました。Youtuberも少ない、iPhone3GSの時代です。
すると中学生が見るのはテレビが中心で、早めに帰宅してテレビをつけ、その時間にやっているアニメを見るくらいしかやることが無いのでした。
そして出会ったのが「神のみぞ知るセカイ」アニメ第1期の再放送です。
いま考えると深夜アニメで放送した作品を翌週から夕方の枠で再放送するのは贅沢な話のような気がしますが、2010年10~12月に本放送、2011年1月~3月に再放送、そして4~6月に第2期が放送されるというリレー形式でしたので、どうしても追い続けてもらいたかったのだなと思います。
「神のみぞ知るセカイ」は週刊少年サンデーに連載されていた作品なので必ずしも深夜アニメ的なものではなかったのですが、題材が美少女ゲームのラブコメでした。ヒロインズの心に巣食った悪魔を美少女ゲーム的手法で心を満たすことで追い出す、とオタク要素が強いうえにラブコメ作品のメタのような構造もオタク狙い撃ちです。
そんな作品を全12話のうち11話で初めて見たので普通なら話についていけなさそうなものですが、なぜだか惹かれてしまったのです。たしか主人公が本の山に埋もれたヒロインを引き上げるという演出で、ひたすらに格好良かった記憶があります。ヒロインもCV花澤香菜さんだったので可愛かったです。
余震で地震情報が断続的に入ってきていたため、青色のL字に囲われた小さな画面でしたが、わたしはくぎ付けになっていたのでした。
そして、その惹かれる気持ちの名前が分からないまま次の週を待ちました。今までにない興奮と、オタク的なラブコメ作品を見ているという背徳感があったので、録画番組表に番組名が載ることで親に言及されるのが怖く、放映開始に間に合うようテレビの前に陣取ったことを覚えています。
パックで淹れた麦茶を片手に、見逃し配信などないため目に焼き付けるようにして最終第12話を見ていました。そして自分が先週に感じ取った胸の高鳴りは錯覚ではなかったのだと確認し、EDではたった2話ながら大きなカタルシスを感じられたのでした。
するとそこに突然新キャラが登場し、4月から深夜時間帯で第2期が開始だと告知したのです。
この続きが、深夜アニメに…?
高ぶりながらも2話だけの消化不良に収まっていたわたしに舞い込んだ、続きを楽しむことができるという朗報。そしてわたしは深夜アニメという領域に踏み入れてしまったのでした。
その後にどうやってアニメ第1期を見たのか、もしかしたら違法視聴をしていたかもしれないので怖くて思い出したくないのですが、第1期を見てから「神のみぞ知るセカイ」の原作を揃えて第2期を待機しているころには、心も体もすっかりキモ=オタクになっていました。
そして迎えた2011年4月、俗に言う春アニメクールでは、心待ちにしていた「神のみぞ知るセカイII(第2期)」、初めて涙を流した「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、女の子が中心に展開する「花咲くいろは」、オタクの濃度を高めてしまった「シュタインズ・ゲート」、ライトノベルの扉を開いた「電波女と青春男」に価値観を決定づけられてしまうわけなのですが、そこから先は長くなるのでまた別の機会に書ければと思います。
また、文芸として読んでいたはずの西尾維新がライトノベルという括りだと知ったり、「グッズ買うオタクにはならんw」と豪語していたのに特装版を買うようになってしまったりだとか、逃れえぬオタクの呪縛との戦いの話もいずれしたいなと思います。
十年一昔という言葉もあるので試しに振り返ってみたのですが、老人が昔の話ばっかりして盛り上がる気持ちが分かってしまったので最悪でした。まだ若くいたいので、アニメだけじゃなくても色々見ていきたいなと思います。
ではまた。
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