メイキング『警視庁01教場』装画イラスト
2023年11月24日刊行『警視庁01教場』装画イラストを担当しました。
刊行:角川文庫
著者:吉川英梨さん
デザイン:bookwall 村山百合子さん
KADOKAWAオフィシャルサイトにて第二章の途中まで試し読みできます。
①依頼のご相談
角川文庫の編集者の方からご依頼のメールをいただきました。
著者吉川先生の「警視庁53教場」シリーズに続く新しいシリーズの今作。彩田が描くイラストの雰囲気が物語に合うとのことで選んでくださいました。
ミステリアスな雰囲気を出しつつ想像の余地もあり、既存シリーズの読者も違和感なく手に取れる
郷愁を誘う部分は警察学校の青春要素にピッタリ
教えていただいた選考理由を念頭に置いて制作を進めます。
求められているイラストのイメージをはっきりさせるための大切なヒントです。
②打ち合わせ
編集者・デザイナー・イラストレーター3名で打ち合わせをしました。
打ち合わせまでに原稿を読んで、資料を集めておきます。警視庁警察学校のHPが参考になりました。
シリーズ1作目なので主役の甘粕をメインに
教場+女性教官で新鮮味を出したい
顔は見えすぎないように
事件が起こりそうな暗さのあるトーンで
光の入り方を印象的でミステリアスな雰囲気に
イメージの擦り合わせと、服装や階級章などの詳細、スケジュールを確認しました。
③ラフ
構図ラフ
打ち合わせで「教壇の前に立つ」「教場の窓辺から外を眺める」「廊下に立っている」などの具体的なシチュエーションをご提案いただいたので、一度かんたんなラフを数パターン描きました。とてもたのしい工程です。
あとでトリミングすることを考えてかなり引きの状態で描き起こしました。
デザイナーの村山さんがすべて(!)の案に仮デザインをしたものを見せてくださいました。この時点では縦書きのパターンも想定されています。どれもカッコいいです。
編集の方とデザイナーの方の相談の上、今回はE案で進めることになりました。
引きの構図で奥行きを出すか、寄りの構図で人物の存在感を強めるか現段階では決めかねるとのこと。いったん引きの構図で色ラフまで制作を進め、改めて検討していただくことになりました。
カラーラフ
E案と併せて、奥行きと人物の存在感が両立している構図のカラーラフも追加で2点お送りしました。
色味は2パターン提案しました。
書店での見栄えを考えて今回はブルーで進めることになりました。
天井の暗さが不穏さを醸し出していて良いね、とのことで追加でご提案した後姿のラフに決定しました。
④本制作
カラーラフの提出時に
もう少し甘粕の体形を大人の女性らしく
トリミングの都合上、もう少し引きで背景を描き足すように
と指示を頂いたので修正しながら進めます。
腰周りのラインが見えるようなシルエットを作りました。
実際の警察の制服よりはボディラインが出るように、かつコスプレ衣装やコミック調にならないように意識しています。
手は上品で自然な形に
少し頭身を高く、細めの首を見せて女性だとわかりやすく
日誌(こころの環)や階級章や日章ボタンの描き込み
全体が青みがかっているので黄系の色がよいアクセントになりました。
背景も描き込んで完成です。
⑤完成
デザイナーの方が制作してくださった最終デザインです。
前作シリーズの流れを汲んだ赤と黄色が目を引くデザインと、グッと甘粕に寄ったトリミングで迫力があります。
帯が巻かれた見本誌を頂きました。煽り文も入ってたくさんの人に読んでいただけそうです。書店に並んでいるところを見るのがとても楽しみです!
制作期間
原稿読み 6.5時間
構図ラフ 11.5時間
カラーラフ 10.5時間
本制作 39時間
打ち合わせや資料集め、資料作成、メールの時間も含めると
約87時間(11作業日)のお仕事でした。
ご依頼~納品までの期間は1ヵ月半程度です。
おわりに
『警視庁01教場』は2023年11月24日刊行です。
どうぞよろしくお願いします。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
装画、挿絵のお仕事お待ちしております。
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