緋田美琴を担当に加えた話
緋田美琴の担当になって2年半が過ぎようとしている。
今までたくさんの美琴Pと言葉を交わしたが私と担当理由が全く同じ人は誰一人としてお会いすることが叶っていない。
いつか同じ理由で美琴を担当する人とお会いできるのを楽しみに、(加えてキャンペーンもありちょうどいい機会なので)記事をしたためる。
前段 時は2021年春
アイドルマスターシャイニーカラーズ(通称シャニマス)は3周年のタイミングで2人のアイドル(とユニット)を発表した。
発表されたのは2人。「七草にちか」と「緋田美琴」ユニット名は「シーズ」である。
発表当初から注目を集めていたのはやはりというか七草にちかであった。当然である。事務員のはづきさんと同じ七草という苗字に加え事務所の妹と称された一見すると可愛い人当たりの良さ。これで第一印象に残らない方がどだい無理な話である。
しかし私は違った。この発表を2ndライブの現地会場で見た瞬間に「みんなは七草にちかが気になってるみたいだけど自分は緋田美琴って娘の方が気になるな」と感じていた。
思えばこれがシャニマス2人目の担当になるとはこの時思いもしなかった。
本章 ノー・カラット
時はそこから進んで2022年7月。シーズのシナリオイベント「ノー・カラット」が開催された。
それまでにシーズ両名のWING編は優勝しており準備は万端であったが、この時点での評価を簡単にまとめる
にちか→自己肯定感が低くそれでいて他者との距離感を取るのに難がある。
美琴→ストイックすぎて私生活に影響が出るが生活できないほどではない。
という認識であった。
今回のシナリオもこれまで通り各ユニットのお披露目となるシナリオとしてどんな感じだろうと読み進めたが、このシナリオにおいて文字通り運命の出会いを果たしてしまう。
場面は第5話「Ⅵ」のワンシーンである。
ステージのリハーサルをしていたかと思えば事務所に場転し、社長がコマの大会に出場した女子高生チームを題材にしたドキュメンタリーを見ている。
内容としてはリアルのテレビ番組でもよくある話だ。コマの町に生まれた女子高生3人がアピールの為に大会に出場する。そこにある想いや友情をこれでもかとカメラに捉え、視聴者の感情に訴えかける所謂「お涙頂戴モノ」である。これだけ見れば何気ないシーンであるが、このコミュはドキュメンタリーの展開に合わせて美琴の幼少期が描かれる。私に刺さったのはこの一連のシーンである。
以下に対比となっているシーンを示す。
この時点で美琴の幼少期におけるシーンであるのは容易に想像がつく。そしてここから対比が始まる
対比1 コマにせよピアノにせよ想いを乗せたということを示している。
対比2 相応の実力を持った者であるということが示されている。
ご理解いただけるだろう。リアルのドキュメンタリーにせよこういった物語にせよ人間というのは女子高生側にフォーカスを当てやすい。こういった人間模様の方が絵になるし見る方も感情を揺さぶられるからだ。
ドキュメンタリーでは工学部チームが勝利。おそらくこの後は泣きじゃくる女子高生の姿や周囲の温かい言葉などで「お涙頂戴」のストーリーが描かれたのは想像に難くない。テレビとはそういう側面もあるし人間はこういうものを見ると感情移入が強くなるものだ。
しかしピアノの発表会では美琴が最優秀賞を逃したばかりでなく「想い」の塊である発表者が最優秀賞という(言ってしまえばよくありがちな)展開に。
私はこのシーンまでを読んで心拍数がどんどん上がっていった。
というのも自分の考えに非常に近いものを感じ取っていたからである。
実際このようなドキュメンタリーは幼少の頃から親と一緒に見る機会があったし、物心ついてからも目に入っていたからだ。
しかしずっと思っていたことがある。それは「なぜ勝つ側ではなく負ける側を取材するのか」「こんな人間模様など描く必要はない」「どーせ負けるなら放送しなければいい」ということである。
さらに言うと勝負の世界は優勝劣敗。技量が優れている方が勝利し、劣っている方が敗北する。それが当たり前である。そして私は強い存在が力を発揮し当たり前のように勝利する展開がとても大好きだ。もっと言えば「敗北はすべてを無に帰す」「勝つことでしか得られない経験があるからそれを見てみたい」というのが勝負事を見るときの本音である。よって自分は消費者としてずっとこの考えで様々な勝負事を見ているわけだが、このシーンでは明らかに技量が勝っている美琴が敗北するという勝負事の常に反する展開である。見ている側としてもつまらない。
そして極めつけに出てきたのが次の発言である。
「勝つための努力など、一瞬の想いの輝きに消し飛ばされてしまうこともある」
もう衝撃だった。これほど今まで感じていたモヤモヤを表現する言葉はこれ以上ないと思ったからである。
言葉を借りるなら美琴が自身の努力を一瞬の想いの輝きに消し飛ばされてしまったのは明らかで、このことが美琴の「パフォーマンスで、感動を与える」というアイドル像のきっかけのひとつになっていると私は感じた。
そしてこのシーンを見てからWING編を思い出すと面白い考え方が浮かぶ。
それは完璧で整った技量は人の感情をも支配できるということである。
他者と比較して圧巻のパフォーマンスをすればそれだけで人の目と心を釘付けにできるはずだし、そうでないならパフォーマンスが完璧でないということ。そして美琴には完璧なパフォーマンスができるだけの技量と姿勢が備わっている。こんな素晴らしいアイドルであればぜひとも担当に加えたいに決まっている。
アイドルマスターシリーズにおいて先述の勝つべく存在が勝利するという理論は今まで見たことが無かったし、どちらかと言えば一瞬の想いの輝きに重点が置かれていたのは間違いない。しかし私の考える強者の在り方にここまで合致するアイドルが出てきたのは事実である。これで琴線に触れない方が無理である。
しかしこの時点で担当にするのは見送った。それはひとえに「美琴の意志」が判然としなかったからである。当時は美琴が完璧なパフォーマンスで感動を与えるのを渇望している描写を読み取れず、次のシナリオコミュかSSRでそれが描かれるだろうと思ったからだ。しかしこの判断は大きなマチガイであったと後々思い知らされることになる。
後段 Xデーは突然に
それから約5ヶ月が経過した頃、美琴のSSR2枚目が追加された。担当に追加するかどうかで悩んでいたこともあり恒常ではあったがその日のうちにお出迎えしてTrue含むコミュを全て読んだ。しかし描写はPとの距離が縮まったというのがメインで、美琴のアイドル像に触れるような描写はあまりなかったのである。
さぁここで悩む。このまま待っていても進展はないが今までの情報だと足りない。そこで私は過去のコミュをもう一度読んで考えてみることにした。そこでまずWING本選出場時のコミュを読んでみたわけだが・・・
まさに灯台下暗し。ノー・カラットを読んでからこのセリフを読むと全くと言っていい程捉え方が違う。
プロデューサーがいたからパフォーマンスで感動を与えるようなアイドルになれるかもしれない。
美琴がパフォーマンスで感動を与えるのを目指していると解釈するには十分である。それと同時に先述のノー・カラットの解釈を合わせて担当に加えるには十分な言葉であった。
完璧な技量を以って観客の感情をも支配する。美琴がそれを望むのであれば、その手伝いがしたい。
目指そう、最高で最強のトップアイドルを。
2021年11月19日
ここに一人の美琴Pが誕生した。
最後までお読みいただきありがとうございました。