コウモリを保護して…②【よこはまの動物園へ】
皆さん、こんばんは。
最近なかなかnoteを更新出来ていない猫目です。
今日は、前回の続きである【片腕を失くした吸血鬼】の私が知る限りの
結末をここへ書き留めていきたいと思います。
とりわけ今回のお話は事実であり、
小説でも何でもないのですが。
それでもここへ残していきたいと思ったので
僭越ながら書留めさせて頂きたく思います。
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さて、そういうわけで私は早速
横浜にある動物園へ連絡をしました。
結果から言いますと、動物園の方は皆とても
親切に対応してくださりました。
A1(保護したアブラコウモリ)を連れて行った当日
には獣医さんらしき人物が2人も大雨の中
正門までお迎えに来てくれました。
食欲旺盛で元気なA1ですが、
やはり腕の負傷は大きく、私に出来ることは
もはや何も無い、しかし獣医さんに出来ることはある。
そう思うと自分の無力さがひしひしと伝わり、
涙も頬を伝い、なんだかA1とお別れするのが切なくなってきました。
結局のところ、A1を保護してから約10日間
ほど経ってしまいました。
どうぶつ大好きな私です。
これはさすがに寂しくなりました。
ですが、動物園の方々の温かい対応を
受けると希望が湧いてきました。
うまくいけば(絶対にうまくいって欲しい)
A1は助かるかもしれない、という強い期待
が胸に宿ります。
元気に水も飲むし、
頬張るようにミルワームを食べるし、
日中はよく眠っているし、
夕方からは騒がしく動いているし、
きっと大丈夫。
A1はこんなに生きたいと思っているんだから。
きっと大丈夫。
腕が一本なくたって、A1は生きていける。
そう、飼育下ならば……。
「自然に還せなかった場合は最悪、安楽死も…」
その後に続いた言葉を私はあまり覚えていない。
無意識にそうして聞こえないふりをしていたの
かもしれないし、バケツをひっくり返すような
大雨のせいだったかもしれない。
けれども確かにそう獣医さんはそう言った。
仕方のないことだ。
解っていたのに。
彼らは自然に生きてこそ、なのだ。
腕が一本なくなるということは、
むろん空を飛べなくなるということ。
空を飛べないということは、
昆虫を自ら取れないということ。
主食である昆虫を取れないということは、
いずれ餓死してしまうということ。
つまり、いずれは地面に寝転がって蟻に囲まれる。
過酷だ。とても。
そしてまさしくその光景は、
私がA1を拾った時と重なる。
自然と目頭が熱くなる。
「よろしくお願いします」
そうやって、私はA1を引き渡す他なかった。
アブラコウモリを無断で飼育する?
例えそれが違法でなくとも、
あの子にとってそれが幸せでないことは
分かってる。ついこの前まで
空を自由に滑走していたのに、
人間の過ちで、
たった一瞬の出来事で、
彼ら野生動物はその尊い命を失う。
なんと遣る瀬無いんだろう。
全生物にとって最も有害なのは
私たち人間に他ならないのに。
それなのに、人間は彼らのことを
時に「害獣」と呼んだりする。
少なくともA1からしたら
害獣は人間のほうだ。
せめて私はA1のくれた勇気を、
生き抜く強さを、
ちいさな光を、
忘れないように生きていく。
そしていつか物語で空をはばたいて!
これだから小説は、物語は
生きていなきゃ意味がない。
ありがとう、A1。
これでまた、書き続ける理由ができたよ。
皆さん、最後までお読みいただきありがとうございました。