見出し画像

Amazonの段ボールにマタタビ

Amazonの段ボールにマタタビがはいっているんだと思う。そう真剣にこたえたのは猫目がペットショップ店員だったころの先輩だ。

先輩は猫を2匹飼っていた。犬はそれ以上に飼っていた。会話のキッカケはあるお客さんが「うちの子はAmazonの段ボールにしか興味がない」と言い出したことだ。お客さんはもちろん、猫を飼っている。そして猫についてやけにくわしい。猫の専門家と呼んでもいいくらいに。

だから猫目も「Amazonの段ボールにしか興味をもたない猫」ということに興味をもった。さっそく猫目はAmazonの段ボール箱でキャットタワーなるお手製のキャットハウスをつくってみた。

するとこれまで座布団ダイスキだったひのでさん(猫)がスルスルとAmazonの段ボール箱へとはいっていった。そして何時間もどってこなかった。ちょっとさみしかった。そのあともトイレや水、ごはんの時に顔を出すもすぐにまたAmazonへと帰っていく。さみしさでマグロ節をさしあげる。

しかしこれだけでは、むろん、検証にはならない。
猫目は比較対象としてAmazon以外の段ボールを用意した。

結果はじつにおもしろい。

ひのでさんはAmazon段ボールを選んだのだ。なんの躊躇いもなしに、である。しかし、いくら段ボール箱の匂いを嗅いでみてもマタタビの香りはしない。むしろどの段ボールだって同じ、段ボールの匂いしかしない。

段ボールの匂いとはいったいどんな匂いか。

それはいくえにも重ねられた厚紙の匂い……かすかに湿気がいり混じった紙の匂い……。ここで猫目は段ボールの匂いを表現することの難しさを知った。

ともあれ

そのことを、さっそく、例の先輩に報告してみる。すると先輩はさも当然かのようにこういった。

「Amazonの段ボールにはマタタビが練りこまれているんだよ」

「そんなバカな」

と、猫目は得意の苦笑い。

注意しておきたいのだがこれは事実ではない。Amazonの段ボールにマタタビが練りこまれているかどうかなんてわからない。しかしそんな面倒なことをAmazonという大企業がするとは到底思えない。先輩には申しわけないがきっとこれは間違いだ。しかし。

あまりにも件の先輩や、例のお客さんが真剣になってAmazonの段ボールを絶賛するものだから猫目はなにも言えなかった。ひのでさんがAmazonの段ボールを好んだのは事実だったのだし、それ以上、反論してみたところでとくに何の意味もない。そんな気がしたので黙って頷いておく。

と、後日。

なんとまた別のお客さんが似たようなことを言い出した。つまり、「うちの猫ちゃんはAmazonの段ボールがお気にいりなの」である。お客さんはスマホでよく飼い猫の写真を見せてくださっていた。

そこに映っていたのは・・・

Amazonの段ボールからひょっこり顔をのぞかせた可憐な猫ちゃん。

そしてその背後には・・・

それはそれは立派なキャットタワー。ぱっと数えただけでも三段以上あった。しかもあきらかに段ボールよりもふかふかとした素材の寝床までくっついている。にもかかわらず、猫ちゃんは手前の段ボールの中にいる。

Amazonの段ボール箱の中で、くつろいでいる。


もう一度言う。

Amazonの段ボールにマタタビが練りこまれているという事実はない。その確率は非常に低い。というよりも考えられない。ほとんどあり得ない。これは愛猫家たちによる勝手な憶測だ。が、Amazonの段ボールはどうやら多くの猫たちの支持を得ているらしい。猫目はAmazonの段ボールを撤去した。

ひのでさんはもとの通り、今では、座布団で丸くなってねむっっている。勘違いしないでほしい。なにも猫目はさみしさのためにAmazonの段ボールを撤去したわけではない。理由はちゃんと、ある。

Amazonのみならず他のどのような段ボールにしろ、段ボールには寿命がある。とりわけ猫の住処となっている段ボールの寿命はそう長くはない。なにしろ毎日のように猫たちが使っている。暮らしている。

隅から隅まで毛だらけになるし、爪あとだってつく。とうぜん段ボールはゆがんでくる。段ボールでつくったお手製キャットハウスは随時取りかえる必要がある。その点においてキャットタワーはいい。掃除機やコロコロ(フローリングクリーナー)を使用すればいつでも簡単に掃除ができ、清潔を保つことが可能だ。

そんなこんなで現在。

ある方の言葉でこの「Amazon段ボールにマタタビ疑惑」がふたたび猫目の頭に浮上した。その方はウサギを飼っている。

「うちのヤツ(ウサギ)はね、Amazonの段ボールきらいなんだよ」

なるほど。

Amazonの段ボールは猫には支持されているが、どうもウサギには不評らしい。理由はなんとなくわかる。ウサギという動物の歯は犬や猫とは違う。一生のび続けるのが特徴だ。ハムスターの前歯と同じである。

ハムスターの前歯は生涯ずっと伸びつづける。しかし、だからといって、わざわざヒトがハムスターの歯を手入れすることは滅多にない。代わりにかじる木が必要だ。かれらハムスターは自分たちで木箱やら、かじる用につくられた木やらをかじって歯を削っている。そうでないと前歯がのび続けてしまうからだ。

ウサギだって同じである。前に飼っていたネザーランドドワーフという小型のウサギは、木箱(巣箱)をひどくボロボロにしていた。

つまり

ウサギはかじるのが好きだし、かじることが仕事のようなものだ。そう考えると、かれらに段ボールは不向きだ。段ボールはやさしい。段ボールをかじったところであまり嚙み応えはない。下手をすればヒトにだって噛み切ることができる。Amazonの段ボールをかじったことはないけれど、きっと同じ結果にたどり着くりと想像している。
(※ ウサギが段ボールの破片を飲みこみ、誤飲するリクスがあるので注意)

ともあれ

多くの猫がAmazonの段ボールを好むという実態についてはおもしろいと思う。その要因をぜひとも知りたい。

さいごに、せっかくなので、マタタビという植物について触れておきたい。

マタタビ科マタタビ属の植物

山や林などを探すと、わりとすぐに見つけ出すことができる。

マタタビは日本の各地に自生している植物だ。山や林などを探すと、わりとすぐに見つけ出すことができる。

マタタビには・・・

マタタビラクトン
・アクチニジン

などの成分がふくまれている。これらの成分が猫に酩酊(めいてい)効果を示すといわれている。脳の中枢神経が刺激を受けることで軽い麻痺状態となる。もっともこれは一時的なもので、作用によるが、たいがいは数秒~数分程度の効果だ

食べる or 嗅ぐ

猫にマタタビを与える場合は2つの方法がある。

ひとつは食べさせる方法で、もうひとつは嗅がせるという方法だ。嗅がせる方法の場合はねずみなどの玩具に仕込んでおくのがおすすめ。効果は弱いが継続して効果を得られる。

また、食べさせる場合というのは効果は高いが、持続性は乏しい。なぜなら猫が飲みこんだその瞬間からマタタビの効果は途切れてしまうからだ。すると効果は必然的にうすれていく。

マタタビは粉末で市販されてあるものが多い。基本的には「粉末」よりも「液体」のほうが作用が強いといわれている。また、自然のものは「実」よりも「枝」のほうが強い作用があらわれるので頭にいれておきたい。

自然のものは「実」よりも「枝」のほうが強い作用があらわれる。

すごいマタタビ効果

マタタビがもっている効果はいろいろある。まとめると以下のとおりだ。

・運動不足の解消
・ストレスの軽減
・食欲が増進する
・老化の防止につながる

※ 食欲のない猫には、なんらかの疾患が隠れている場合があるので注意したい。

マタタビ注意点

ただし注意も必要だ。マタタビを過剰に使用した結果、猫がおかしな行動を取ることも知られている。その場合は迷わずに動物病院へ行かれることをおすすめする。

さらに幼少の猫にマタタビを与えるべきではないとの見解もある。猫目もこれには賛成だ。子猫というのはまだその個体の体質や性質に不明慮な部分が多い。ヒトでもそうだが幼児というのは大人と比べ、作用が広く、大きくあらわれる場合が多々ある。そのため幼少の猫にマタタビを与えるのはいささか不安だ。

お歳をとった猫さんにも留意したい。とくになんらかの疾患(心臓など)がある場合には深い注意が必要である。無理にあげるのはやめたほうがいい。過度の負担がかかってしまう可能性が否めないからだ。

また、毎日与えるのも考えものだ。

マタタビをプレゼントするのは”たまに”でいい。毎日与えていては慣れが生じ、効果がでないことはもちろん、個体によっては猫のからだに負担となる場合がある。ご褒美か、もしくは喧嘩した際の仲直りのときに使うのがいい。ごめんねと謝罪するさいにはマタタビを添えると猫も機嫌をなおしてくれるかもしれない。バラの花束よりもひとかけらのマタタビがいい。喧嘩した相手によって添えるお品は変えるのは必然だ。


さいごまで目をとおしてくれて感謝でふ。

Amazonの段ボールは多くの猫に支持されている。




いいなと思ったら応援しよう!