飛人忘年会/12月オケ練習会②
所属するパラグライダークラブの忘年会があった。
「忘年会出席、いつ振り?ものすごく久しぶりじゃない?」
スクールの校長に言われた。
「新年のパラツアーに行けないから、せめて忘年会には出席しようと思って。」
とお返事する。
忘年会は例年仕事が重なってなかなか出席できなかった。今回は大丈夫だった。
近くに座った人たちと「今季は飛べる日が少なかったね。」と話す。
パラグライダーは天候に左右されやすいスポーツだ。雨はもちろん飛べないし、お天気が良くても、風向と風速によっては飛べない。
「私、今季は低山1本しか飛べなかったよ。」
と、Hさん。
「私もマイエリアで飛んだのって、大会1本だけですよ。」
と答えた。
「ええ?!あのとき1本飛びに来ただけで優勝掻っ攫っていったの?!」
Hさんだけでなく周囲5人が割って入ってきた。
大会当日天候不良の年が続いたが、今年、数年振りに大会が成立した。
「うん…そうなりますかね。」
と答えた私に、
「何それ、カッコいい!」
「ずるいぞ!」
の声が飛び交った(「ズルい」の声が多かった)。
斜め向かいに座ったKさん、お着物で登場。
素敵すぎる。
しかも、反物をご自身で織ったのだとか!かっこいい。
私もこんなふうに歳を重ねたいものだ。
私が着て行った手編みのセーターも、たくさん褒めていただいた。
ありがとうございます。
「パラして、編み物して、チェロ弾いて、フルタイムで仕事してるって、どこにそんな時間があるの。」
つい先日、チェロ師匠にも同じ質問されたなぁ。
「さあ…?」
やっぱり自分でもわからない。
★
翌日は12月2回目のオケ練習会。
今回はH先生の指揮に加え、ヴァイオリンソリストOさんが初めて参加してくださった。
Oさんとはほとんどの人が「初めまして」である。
Oさん、とっても好青年。発掘したコンマス、グッジョブ!
「Oさん、このテンポで遅くないですか?もうちょっとテンポ上げましょうか?」
H先生がOさんに確認する。
我々アマチュア、プロの演奏とは程遠い。
Oさん笑顔で「大丈夫です。私が皆さんに合わせますから。」と。
この瞬間、みんなOさんが好きになったと思う。
★
前半の練習が終わり、20分の休憩。
お昼食べていないから、お腹がすいた…。
バッグからおにぎりを出したところで、
「夜さん、役員打ち合わせ!こっち来て。」
代表のSさんと、2ndヴァイオリンKさんからお呼びがかかる。
ああ、おにぎり…。
打ち合わせ内容は、本番で配布するプログラムの校正だった。
コンマスがチューニングを始めたので、強制的に打ち合わせ終了。
★
後半は、チャイコフスキーの弦セレ。
Oさん、なんと後半のチャイコフスキーの練習にもご参加くださった。
手薄だった1stヴァイオリンの厚みが一気に増した。
「1楽章から。」の先生の指示で、最初から通す。
弾き終えると、
「皆さん、指揮について来られるようになりましたね。」
と先生。
おおー!先週のパート練習会の成果が現れたか?
先々週、チェロ隊がコテンパンにされた“練習番号B”のやり直しもなかった。
2楽章、3楽章と進み、さらに細かいニュアンスについてご指導いただく。
チェロ隊で引っかかったのは、4楽章の最後のチェロソロ。
「1回目のソロは良かった。2回目のソロって1回目より弾きにくいの?ちょっとやってみて。」
4人で弾く。
「あれ?弾けてるね。なんでさっきはバラバラだったの?」
直前に譜めくりがあるからです。
「じゃあ、高速でめくって直ぐに入れるように練習しておいて。」
席が裏である私の仕事だ。練習しておきます。
★
練習終了後、Oさんも交えて全員で写真撮影をした。プログラムに載せるのだ。
撮影時、隣になった2ndヴァイオリンSさんに話しかけた。
「カルチェラタンのHさんってご存知ですか?」
カルチェラタンはフランス語教室だ。
Sさん、目を見開いた。
「ええ?もちろん知ってる。なぜHさんのこと知ってるの?」
「趣味仲間なんです。」
「ということは、夜さんってパラグライダーもやってるの?」
実は、昨日一緒に飲んだHさん、フランス語教室に通っていて、「教室でクラスが一緒のSさんって、夜さんと一緒の楽団のはずだよ。」と話していた。
「はい。Hさんとは昨日忘年会でご一緒したんです。Sさんによろしくって言ってました。」
「びっくりー。世間って狭いわね!
あなたも空飛べるのねー。いい趣味ね!チェロにパラグライダーにって、どこにそんな時間があるの?」
…また同じことを言われた。
★
帰り際、チェロパートKさんに楽譜を3枚渡された。
「チェロパートの定演出席人数が減ったから、ロビーコンサートのパート分けを変更するから。
夜さんは、3rdから2ndに変更ね。」
渡された楽譜は2曲。オペラ座の怪人と白雪姫のワルツ。
オペラ座の楽譜を読んでみる…最初に渡された3rdより難しいことは一目瞭然だった。
「夜さーん。チェロパートのみんなでお茶しに行こうよ。」
リーダーKさんが声をかけてくださる。
お昼食べ損ねてお腹ぺこぺこだし、低血糖のせいで眠い…何よりこの楽譜、すぐ練習に取り掛からないとマズい。
ロビコン練習は来週なのだ。
「すみません、今日もすぐ帰ります。」
「わかったー。また来週ね。お疲れ!」
ロビコン練習に間に合うかな…無理そうな気がする。