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05話-会津藩士敗走の様相と自刃

みちのくのエスカルゴ号車旅

4日目 2022.04.11 その2

 前編4日目その1の続き。
 下の俯瞰図は画面の右下が北で、赤の時歴痕が私の車移動経路、黄の時歴痕が会津盆地に入った私の歩行経路だ。

 新政府軍は画面左下から迫っている。金堀の黄色画鋲が会津11士が眠る墓標位置だ。戸ノ口原から離脱した会津軍は沓掛、金堀を経て飯盛山に向かおうとした。11士達はこの隘路の出口で仲間の脱出時間を稼ぐためここを死地としたであろうことは前回書いた。

戸ノ口原展開部隊の敗走の様相と飯盛山での自刃

 彼等11士の尊い援護下に戸ノ口原に展開の残存兵達は飯盛山に向かった。多くは金堀から飯盛山への地隙に沿った最短の山路と云うより、けもの道をたどったであろうし、中には私が車で走ったような経路で敗走した隊士もあったことだろう。

 私の車移動でも山道を西進し会津の街並みが見えたときには感慨があった。傷つき敗走する会津藩士達が生まれ育ち家族が残る街並みの、それも城下は火の手があがっている。お役に立つことができなっかったとする彼等の悲しみと悔しさはいかほどだっただろう。

 会津若松城は鶴ヶ城と呼ばれ親しまれている。これはここに7層の天守閣が建設されたときの城主蒲生氏郷(がもううじさと)の幼名が愛称となった。車を鶴ヶ城の駐車場に置き、街を散策しつつ飯盛山へ向かい登った。今は白虎隊はじめ会津藩士を祈念し弔う施設が置かれている。

 飯盛山のそんな場所から撮った。上の写真がそうだが平地部の上の方に左右に広がる森がある。ここが会津若松城だ。戸ノ口原から飯盛山のこの地点まで逃れた白虎隊士中二番隊20名の若者達は、ここで炎上する城を見てしまった。燃えていたのは城ではなく城外の家々であったのだが、彼らはそう信じた。自刃か敵陣突入し帰城を企図するか激論し、自刃を選び果てた。内お一人が蘇生し仔細が遺された。ここに大人の指揮官がいたならばどうだったろう。

 この日の午前中は沓掛、金堀付近でGPS時歴が消えていたが、ここでは一瞬首筋から脳天に駆け抜けるものがあり、同時にスマホのカメラ画像が振動を始め制御できなくなった。 もどって線香を求めお参りをしなおした。沖縄本島の戦跡を巡ったときも同じようなことが起きた。(←リンクで飛べます)

戸の口堰洞門水路の飯盛山出口

 会津藩は猪苗代湖から会津盆地に水道を整備していた。戸の口堰洞門である。白虎隊士自刃の地から北 200m にその開口部がある。彼等はこの水道を伝い潜り飯盛山に至ったと残る。

柴五郎少年の生家と家族

 私の会津ツアーの時計を僅かにもどす。
 城址駐車場周りは長野県高遠城由来のコヒガンザクラが咲き誇っていたのだが、それらは後回しにしてどうしても駆け付けたいところがあった。

 それは上の赤い鳥居の奥、青い屋根の家の手前、わずかに盛土されているかとみえる公園北の一画である。

 反対側からの撮影だ⇧。会津城の北城壁からたったの 200m。柴五郎大将の生家だ。会津危難のとき五郎氏5歳。男は生き延びて会津の行く末を担わなくてはならない。母は親戚に託して五郎を逃がした。(←リンクあり)
 自らの意志で城内に入らなかった女性は多い。五郎の2歳年上の姉、妹、祖母、母たちはこの屋敷で自刃する。男が憂いなく闘うことができ、また兵糧の保全のためだ。多くの藩士の女性がそのようにした。

 この日は朝から戸ノ口原古戦場、そして全くの予備知識なしに、現地の地形から闘いの様相を想像しながら車を走らせ出会ってしまった、沓掛、金堀。会津城から駆け付けた五郎大将生家。その足で、既に記した飯盛山を往復した。辛いが是非もない。良い悪いもない。最少の犠牲で日本を甦えらせた。悪いのは犠牲となった人々の想いを、その記憶を、歴史から忘れ去ることではないか。残念ながら世界の歴史は悪い意味で繰り返している。二千数百年日本が、変わらぬ日本でありつづけたように、未来もまた日本であり続けるように、今を生きる視点を忘れてはならないのだと思うのだ。


鶴ヶ城から宿泊地へ

 そうやって鶴ヶ城に戻ったのは 1400時。これからは美しい城を楽しみます。

三の丸跡の高遠城由来の桜、高遠城もまた悲劇の城だった
内堀の右は二の丸、その向こうに磐梯山が顔を出している
鶴ヶ城と呼ばれ出したころは7層の天守閣だったが地震で5層に改修、今は鉄筋建築幕末の姿に
天守閣から、磐梯山の手前真下、相似形コブが飯盛山、距離 3km

 1600 鶴ヶ城を出て北進開始、道の駅「北の郷」へ。最近の新しい道の駅は車旅の者にとって本当に使いやすくありがたい存在だ。

道の駅「北の郷」お仲間さんがいっぱい!
併設の温泉、ここの泉質いたく気に入る

 本日の車移動距離 56km、徒歩移動距離 11.9km 19325

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