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2024.7.27パリ五輪ドイツ代表戦を振り返る

最終スコアは97-77での敗戦。
前半を8点ビハインドに留めて喰らいつくも、フィジカルで劣る分スタミナを削られ後半にジリジリ差を広げられ、20点差をつけられてしまった。

「ふーん、八村も渡邊もいるのに結局世界の上位チームには勝てないじゃん」

勝ち負けの結果に限っていうのなら、その意見は確かに事実だ。

しかし、結果とはマフィアのボスが時間を飛ばすスタンドでも使わない限り常に過程の先にしか存在しない。

日本にとってこの試合の収穫は、日本のここまでの過程が「勝ち」という結果に正しく向かっているという手応えを得られたことだと思う。


40分ガチラインナップのドイツ


この試合、ドイツはきっちり選手のタイムシェア(20分オーバー出場はシュルーダーとヴァグナー弟の2人だけ)をしつつも、ナメたラインナップは一切敷いてこなかった。掛け値なしのガチのドイツだった。そのステージに日本が立ったということだ。

前半で早々に勝負を決められ、後半主力を下げられて流されながらの20点差とはまるで意味が違う。

戸愚呂弟の100%をようやく引きずり出し、本気での力の差がどの程度なのかが分かるほど幽助が強くなったというわけだ。

冷や汗をかかせるには至らず…!


しかし、「本気の勝負のステージに立つこと」と「勝ち負けの分からない試合にもちこめること」はまた別物だ。

この試合、ある程度外を捨ててでもインサイドへの侵入を警戒した日本。当然、キックアウトからパスを回されてスリーを撃たれる場面が出るわけだが、日本としてはギャンブル的に「捨てた」(=守りきれないので無理にディフェンスに行かない)外のショットをアイザック・ボンガとダニエル・タイスがことごとく沈めてきたのは相当痛かった。

ここを無難に決めることで、ドイツは日本に対して常に優位に立ち、冷静さを失わずにゲームを進めることができた。

勝ち負けの分からない五分の勝負に持っていくためには、ドイツの冷静さを失わせ慌てさせる手段がもう1つ2つ必要だったと思う。


日本のディフェンスは間違いだったのか?


とはいえ、ある程度外を捨てるという作戦自体は絶対に間違いじゃない(断言)。

特にオーランド・マジックで平均20点近く取るケンシロウ弟ヴァグナージャギ兄ヴァグナーよりもさらにタチが悪く、個では到底守りきらん。ここを好き勝手させると5分で試合が壊れる可能性がある。

どこかでシュートを許すなら少しでも確率の低いところで撃たせるのは作戦として合理的だし、彼我戦力差を考えたらベターな選択があったとも思えない。

しかし改めて思い知らされたのは、「ドイツレベルになるとほぼワイドオープンのショットを落とすやつはいない」ということだ。


ボンガくんに言いたいこと


お前そんなにケビン・ランデルマンみたいな野獣フォルムの見た目でスリー刺すのはやめてくれ。そういうのはやってないんだ。



タイスくんに言いたいこと


お前はガタイからして得意技はベビーフックとかだろ。しれっとスリー刺すのはやめてくれ。そういうのはやってないんだ。


黄金聖闘士:吉井


この試合のサプライズは間違いなく吉井だった。

31分の出場で10得点2アシスト6リバウンドとバキバキに貢献。ホーキンソンのスタッツだと言われても信じてしまいそうだ。オリンピック本選という舞台でチームに違いをもたらす戦力になれることを証明した。

ディフェンスでシュルーダーとマッチアップしてやられてしまったのは、現時点では致し方なし。普段Bリーグでマッチアップしたりアルバルク東京で練習相手だったりするのは、基本4番の外国籍のはず。駆け引きの引き出しに富んだNBAの上位ガードであるシュルーダーとやり合うには、身体能力だけでは不十分だ。

ただ、じゃあここの経験を積ませることができるかというとなかなか難しいかもしれん。


迷いの見える富樫


この試合の富樫には迷いがあったような気がする。

何度か相手のビッグマンを釣り出してトップから1on1仕掛けようかというシーンがあったはず。普段Bリーグで千葉の試合を観ている人は、「1.2秒後には富樫がプルアップスリー撃つ」と容易に予知できる場面だが、撃たずにドライブしかけるでもなくパスをさばいていた。

呼吸が吉井と合わずにTOになってしまったのも、多分吉井は普段の富樫ならスリー撃つタイミングだと分かっているからオフェンスリバウンドに入るために0度からペイントにダイブしたんじゃないかと思う。

代表戦の富樫は基本黒子に徹してパス供給を優先するが、もう少し「いつもの富樫のタイミング」でショットを撃ってもよかったような気がする。

フランス戦でウェンバンヤマ釣り出してプルアップ決めてくれたら吾輩は絶頂してしまいそうだ。



これはブルックリン・ネッツ雄太


34分の酷使で相当スタミナもキツかったと思うが、16得点(スリー4本)で苦しい時間帯を救ったのはさすがだった。

このチームと契約したBリーグのチームがあるらしいですぜ



八村の存在感でかすぎる


八村のシュートタッチはかなり死んでた。ただ、それならそうでインサイドでファウルドローンしてFTで得点稼ぎまくるのは素晴らしすぎた。

特に後半はチーム全体でスタミナが切れてしまい「お願い八村」の傾向が強めに出てしまったが、それに応えるのはさすがの一言。

しかしこのレベルの試合で36分出るのは流石に八村でもスタミナがキツすぎる。
日本代表は、いい意味で「八村はあくまでオプションの1つに過ぎない」という割り切ったマインドでいったほうがいいような気がする。



富永、49秒…


この試合の冨永の出場時間はわずか49秒(!)に留まった。

このプレイタイムの要因にたどり着くためには、そもそもホーバスにとってのこの試合の意味は何かに考えを巡らせる必要がある。

これは吾輩の勝手な想像に過ぎないのだが、ホーバスはあくまで「ベスト8」を目標としており、そもそもドイツとの試合を「現実的に勝てる可能性のある試合」とは考えてなかったんじゃないかな。

撃破すべき相手として実際にフォーカスしているのはブラジルであり、ドイツ・フランス戦での優先事項はあくまで「得失点差をいかに最小限にするか」ではないかと考えている。

そう考えたとき、ディフェンスに難がある富永を出すのはリスクのほうが大きい。スリーはバクチだが、ディフェンスの難はほぼ確実に突かれるからだ。

ただでさえ日本は基本的には富樫・河村というアンダーサイズのどちらかが必ずコートにいるという布陣だ。ここに富永が入るとディフェンスが一気に決壊する可能性があり、スリー2〜本を決めたとしてもそれ以上に失点することになるだろう。ホーバスは、それは嫌ったんじゃないかな。

多分、ブラジル戦ではある程度まとまったプレイタイムがあるんじゃないかと予想している。

馬場、リベンジしいや


この試合の馬場は相当厳しかった。わずか3分40秒の出場時間でTOを2つ犯し、その内容も良くなかった。

特に0度の位置でペイントにカットしたとき河村のパスに驚いて取れなかった場面では、5ちゃんねるバスケ男子日本代表スレにはQBKの文字が踊った。

QBKとは…
 2006年サッカーW杯クロアチア戦において、柳沢敦選手が無人なゴール前で絶好のパスを受けながらあさっての方向に蹴ってしまいゴールを逃した場面について、本人が試合後のコメントで「急にボールが来たので」と言ったことから、とっさのパスに対応できず好機を逃すシーンが「急に(Q)ボールが(B)来たので(K)」、QBKと呼ばれるようになった

このままじゃ終われない気持ちは馬場自身が一番強く持ってるはず。倍返しだ!

フランス戦のチャンスは?


個人的な意見だが、ドイツ戦よりも苦しい戦いを強いられるんじゃないかと思う。

日本にとっては、個が人外の力で蹂躙してくるチーム(スロベニアとか)のほうがキツイ。ウェンバンヤマとゴベアのイカれた(褒め言葉)ツインタワーを擁するフランスがまさにそれだ。

最悪、ペイントに放り込まれるだけで試合が壊れる可能性がある。とにかくペイントにボール入れられたら自分の子どもが死ぬくらいの強い気持ちで、奴らを狩り場から追い出してほしい。

Go,Japan!!!


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