パンと出会った人たち
ある日のことです。
Aさんが一人暮らしの家に着くと、玄関のドアノブに紙袋がかかっていました。
中を開けるとパンでした。
たまたま、とてもお金に困っていたAさん。
知らない人が届けたものなんて怖いけど、おそるおそる食べてみることにしました。
すると・・・
えええええ!?
なんと!!
なんと!!
美味しいのでしょう( ゚д゚)!!
そして数日後
またパンが届きました(驚)
紙袋にうっすら何か文字が見えます…
が、よく見えません。
お店のロゴ??
とりあえず、Aさんはまた気にせず食べてしまいました(笑)
そして…
更に数日後、
また数日後…と、パンが届きました。
そしてなぜか次第に、
食べると号泣するようになりました。
よく分からないけど…
何年も気付かなかった気付きや、何か「これは!」という驚きの発見に出会うのです。
気のせいでしょうか…
困り事も早く解決できるようになりました。
それが何度も続きます。
段々、回を増すと
なぜか、パン屋の紙袋のロゴがハッキリ読めるようになり、ある日チラシを発見しました。
どうやら提携店舗がいくつかあるようで、毎週イベントをやっているようです。
パンの素晴らしさを十分に知ったその人は、提携店舗に行くことにしました。
誰が届けてくれたのか分からないけれど、こんなに素晴らしいパン♪
これからも食べたいし、多くの人に広めたい!
そんな思いで出かけました。
到着すると・・・
まず最初に
みんながパンは素晴らしいと歌いはじめました。
(心の声:あ、、うん。えーと、えーと、まあ、、確かに、歌いたくなる美味しさだよ…ね…)
次に、そのパンを信じ、求めようという歌や踊りがありました。
(心の声:え・・・?パン食べたことないのかな?まさか💦)
と思いつつ…
まあ・・初めてということもあり、そこに居続けました
すると次に
講座が始まりました。
内容は
「パンとは、どのようなものか?」
「パンを信じますか?」
「パンを味わう方法」
「パンのレシピ」等
参加者は、真剣にパンについてのテキストを見ながらメモを取っています。
もしくは全く逆で眠っています。
(心の声:え?ちょっと待って😥
みんな食べてないの?こっちはもう食べて感動したから来たのに、もしかして…食べてないのに、わざわざ来てる?なぜ?)
そして2時間後
最後に受付の人がやってきて
「どうでしたか?」
と、言われました。
うーん・・・
さすがに
「意味わからん」
とも
「みんな普段パン食べてないんですか?」
とは言えません………
よくよく話してみると、遠回しな表現でしたが受付の人は食べたことがあるようです。
Aさんは、少し頭を抱えつつ…その後も数回、そこに行くようになりました。
そしてその内に、そのパンを常食してる人は少ないことが分かってきました。
そこの所属スタッフになった人でさえ、心の奥で「あのパンは幻だったかも」と言う人もいます。
どうやら、パンを食べるライフスタイルをシェア拡大するより、「パンはきっと最高なはずだ!」という人達でワイワイする空気感が強いと分かってきました。
また同じ頃
他の提携店舗に行き始めた友人Bによると、そこはパンを求めて皆が嘆いてばかりだと言います。
ネットで知り合った友人Cさんによると、Cさんの行くイベントでは、パンのレシピで討論ばかりしてるといいます。
Aさんは段々…内心で
(「パンパン」論じてないで、さっさと本社に連絡しろよ、まず実際に食べろよ)
と思うようになりました。
そして、ここに通うよりも
ネットで
「不思議と美味しいパンに出会った!」
「変なパンが届いたんだけど…これ何?」
と、リアルにつぶやいてる人と集まるようになりました。
理由は、パンのレシピや味わい方の理論なら、本や参考書、動画で学べる一方、パンのリアルな素晴らしさをシェアできるのは「人」しかいなかったからです。
そうして今日も、Aさんは
「"パン"ってところまでは同じみたいだけど…」
と思いつつ、
提携店舗に所属しないまま、たまに顔は出しつつも、店舗外で届いたパンを味わったり、自然に訪れた人とパンのシェアをして過ごすのでした。
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