
排水管工事の注意点

今回は、排水管工事の注意点についてお話をさせていただきます。
マンションは築30年を超えた頃から排水管の漏水が発生することがあります。その漏水発生箇所はもっぱら立管と横引き管のつなぎ目です。給水管の立管はパイプスペースなどの共用部分にありますが、排水管の立管は、キッチンの裏側などの専有部内にあります。その為、共用部分の排水管が漏水といっても被害が発生するのは専有部分内となります。
一般的に排水管については、長期修繕計画では、築30年目から築35年目頃に更新工事が計上されています。排水管は専有部分内にある為、専有部分の壁などを一部壊して、排水管の更新工事を行うことになります。当然、工事を行う際の在宅も必要となります。
専有部分の壁を壊したくない、工事中の在宅はできないなどということをよくお聞きします。そのようなことにより、排水管を更新するのではなく、更生工事で検討されることがあります。更生工事とは、排水管を交換することなく、排水管の中に幕を作るようなイメージです。
この場合、問題になるのは排水管の横引き管をどうするのかということです。排水管は、防火区画となる壁を貫通する場合、貫通部分から1メートル以内を不燃材料で作るという決まりがあります。排水管で用いられる不燃材料とは鋼管になります。その先の専有部分内の横引き管は塩ビ管であっても、それまでの配管は鋼管だということです。
排水管の立管の更生工事を行っても、漏水のリスクを高い横引きを管を残すことになってしまします。その為、排水管の立管は更生工事を行っても鋼管となっている横引き管については、更新工事を行いましょうということになります。管理組合としては、排水管立管の更生工事のみを行い、横引き管については、専有部分として各戸が対応するとの考えもありますが、各戸がその部分の交換の手配や漏水が発生した場合の対処をするのは簡単なことではありません。
また、更生工事を行った排水管が何年持つのかという問題もあります。更生工事は2回はできない為、長期修繕計画においては、次回は更新工事を計画します。その為、更生工事の費用が余計にかかることになり、それであれば更新した方が長い目で見れば費用が安く済むということになります。排水管を更新した場合は、おそらくマンションを建て替えるまでは、もう1度交換するようなことはないだろうとも言われています。
設備配管工事のうち、特に専有部分に関する工事については、建築系の大規模修繕工事以上に細かい検討と管理組合内の周知が必要です。検討の段階で意見がまとまらず、計画がとん挫してしまった管理組合もあります。その後、漏水が発生した場合は、その対処に追われることになります。また、設備配管の劣化は共用部分のみならず、専有部分についても考える必要があります。共用部分の配管を交換してもその後すぐに専有部分の配管から漏水したということは起こります。