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どのようにすれば大規模修繕工事は成功させることができるのか その⑤大規模修繕工事の工事監理とは


①   工事監理の役割

大規模修繕工事を実施するにあたり、管理組合の皆さんが分からないことやできないことをフォローするのが工事監理の役割です。当然、管理組合の立場に立って、その業務を行わなければならず、施工会社となあなあなでは、管理組合の立場に立った工事監理とは言えません。かといって施工会社に厳しいばかりでは、大規模修繕工事はうまくいきません。大規模修繕工事を成功されるために工事監理はたいへん重要な役割を担うことになります。

②  工事監理は工事着工前から始まっている

工事監理というと大規模修繕工事期間中に施工会社が手抜きをしないかチェックするのが役割だと思っている方もいらっしゃいますが、必ずしもそういうことではありません。工事期間中だけではなく、施工会社と管理組合の工事請負契約の内容のチェックや工事説明会の指導など、工事監理は工事着工前から始まります。
工事請負契約では、工事金額、支払い条件、約款の内容などが適切であるかを確認します。工事請負契約は大規模修繕工事を実施するうえでの約束事になりますので、その内容のチェックはたいへん重要です。

③  工事説明会を指導する

大規模修繕工事の着工前には必ず工事説明会を開催します。工事説明会は施工会社が開催するものですが、工事監理者は工事説明会で施工会社がどのような説明をするのか確認し、指導する必要があります。工事期間中に居住者の皆さんにご協力いただかなければならないことや注意事項をご理解いただくのが工事説明会の目的ですので、それがしっかりと伝わる工事説明会でなければなりません。工事説明会で出た質問などを議事録としてまとめ、出席できなかった方にも議事録を配布したり、最近んは動画を撮って視聴できるようにすることもあります。工事説明会の内容が居住者の皆さんに伝わるような配慮が必要です。

④  工事期間中のチェックポイント

工事期間中の工事監理としては、一般的に週1回程、現場に行き、施工会社の現場代理人との打ち合わせを行います。その際に工程に遅れはないか、施工の状況に問題はないかを確認します。特に重要なのがタイルやひび割れなどの補修工事が適切に行われているかです。それらの工事は大規模修繕工事の仕上がりとこの先の大規模修繕工事を先に延ばせるかということに大きく影響します。また、それらの工事は、補修する数量によって工事費を精算する、いわゆる実数精算工事となっていることが多く、施工状況の確認の他、施工会社から提出された補修数量が適切であるかの確認は工事監理の重要なチェックポイントです。工事期間中、工事監理者として検査を行い、特に重要なことは重点的にチェックを続けます。

⑤  引渡しまでの工事監理

大規模修繕工事が完了すれば管理組合への引き渡しとなりますが、その為には工事がしっかりと終わっているかの検査の他に竣工図書についても検査を行います。大規模修繕工事は、手直しも含め工事が完了し、それを記す竣工図書が揃ってはじめて工事完了となります。大規模修繕工事の竣工図書は、10数年後となりますが、次回の大規模修繕工事を検討する際の重要な資料となりますので、その内容が適切であるか確認し、管理組合が施工会社から引き渡しを受けれるまでを工事監理としてフォローする必要があります。

大規模修繕工事は、計画から工事の完了までに多くの時間と人の労力と費用が必要がたいへんな工事です。大規模修繕工事の設計監理方式を委託されたコンサルタントは、そうした多くの時間と人の労力と費用を要した大規模修繕工事が完了したときに管理組合の皆さんが今回の大規模修繕工事をやってよかったと思っていただけるような工事にする必要があります。それが大規模修繕工事のコンサルタントの役割であり、目的だと思います。

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