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マンションの修繕履歴の重要性
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さて、今回は、マンションの修繕履歴の重要性についてお話をさせていただきます。マンションなどの不動産を売買する際にその仲介を行う不動産業者は重要事項説明書を作成し、買主にその内容について資格者が説明することが義務付けられています。その重要事項説明書の中に「建物の維持修繕の実施状況の記録」という項目があります。
これは、マンションの共用部分および専有部分に関し、大規模修繕工事や各居室のリフォームなどの維持修繕に関する記録が保存されているかいないかを、仲介業者が管理会社などに確認し、その有無を記入して買主に説明するものです。
修繕の記録が保存されている場合は、その資料を重要事項説明書に添付し買主に交付します。この説明義務は、維持修繕の実施状況の記録が保存されている場合に限って課せられます。逆に管理会社などに修繕に関する記録の有無を確認し、その記録が無かった場合は、その確認をした事実をもって仲介業者は調査義務を果たしたことになり、その項目に無しと記入して交付することになります。
マンションにおいて修繕の記録が無いということだと買主の心証も良くないでしょうし、そもそも管理会社は仲介業者から重要事項説明に関する問い合わせについては、有償で回答しますので、管理会社はしっかりとそのマンションの修繕履歴を作成して仲介業者に回答する義務があります。
また、マンションの修繕履歴は長期修繕計画の見直しを行ううえでもたいへん重要です。これまで、数多くの管理組合の皆さまからご依頼いただき、長期修繕計画の見直しを行ってきましたが、そのマンションの修繕履歴の有る無し、またその内容の正確さによって、見直しを行った長期修繕計画の確からしさは変わってきます。
大規模修繕工事については、前回の大規模修繕工事の竣工図書や契約書がしっかりを保管されていることが多いですが、それ以外のポンプの交換工事や照明器具の更新工事などの設備工事については、工事完了報告書が保管されていないか、保管されていてもその内容が不明確なことがあります。修繕履歴の一覧表が作成されていても工事名が実際の工事と異なっていたりすることもありました。
機械式駐車場については、過去の修繕履歴とメーカーやメンテナンス会社などから提出される機械式駐車場の修繕計画を比べた時、大きな金額差が出ることがあります。これは、過去に部品交換をした実績に対して、これから計画される機械式駐車場の修繕のサイクルが短いということです。
機械式駐車場のメーカーやメンテナンス会社からは予防保全という観点から修繕の計画が提案されますが、実際にこれまでどのような周期でどのような工事が行われていたかをもとに比較検討するためには機械式駐車場の修繕履歴の整理はたいへん重要です。
過去の修繕工事の報告書がしっかりと保管されている、修繕履歴がしっかりと整理されているというマンションはごく稀だと思いますが、過去の修繕工事に関する記録は今後の修繕工事を計画するうえで重要ですし、マンションの売買の際にもそのマンションがしっかりと修繕工事が行われていることがアピールされればマンションの評価にも繋がります。