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大規模修繕工事の施工会社はどうやって選ぶのか その2 見積比較

さて、マンションの大規模修繕工事を実施するにあたり、施工会社をどのように選ぶかは、管理組合としては、たいへん頭を悩めるところです。管理組合として、判断ができないということで、コンサルタントや管理会社などに任せきりにしてしまっては、それが管理組合として、正しい選択であったのか、疑わしい結果になることもあります。そうはならない為に大規模修繕工事の施工会社の選定として一般的に行われる1次選定の書類選考、2次選定の見積り比較、3次選定のヒアリングについて、3回に分けて、お話をしていきます。

今回は2回目として、2次選定で行う見積比較です。1次選定を通過した施工会社に見積の提出を依頼しますが、1次選定と2次選定の間に施工会社が現場を見て、見積内訳書や工事仕様についての質問をします。例えばその一例としては、「アスベスト含有調査を行う必要があり、それを追加してもいいでしょうか」とか、「足場を架設すると植栽が枯れることがありますが、枯れ木保証は含まないと考えてもいいでしょうか」といった質問があったりします。管理組合もしくはコンサルタントが回答しますが、その回答は見積に影響しますので、各社はそれを確認したうえで見積を作成します。

各社から提出されて見積については、比較表を作成しますが、仮設工事や防水工事といった、項目の合計だけを比較するのではく、全項目の単価も比較してみるとそれぞれの施工会社の特長を見ることができます。また、見積りの間違いを発見することもあります。管理組合でそこまでの比較や精査は難しいと思いますので、そのような比較はコンサルタントに依頼し、管理組合はその結果について、コメントを求める必要があります。また、コンサルタントが作成した設計予算との比較も重要です。大規模修繕工事の検討では、設計予算をもとに修繕積立金の残高で大規模修繕工事を行うことが可能であるかを判断しますので、各社の見積が設計予算を上回った場合は、大規模修繕工事の検討内容を見直さなければならないことにもなります。設計予算を実勢価格をもとに細かく作っていくと、本来、施工会社の見積りはそれに近くなっていきますが、昨今の建築資材や人件費の高騰などにより、設計予算に対して、施工会社から提出された見積りが大きく上回る事例も珍しくなくなってきています。

3次選定のヒアリングでは、施工会社を呼んで各社のプレゼンテーションと質疑応答を行いますが、その数はやはり3社程度がいいのかなと思います。それ以上になると聞いているのもたいへんですし、1社あたりの時間を短くして、多くの施工会社の話を聞こうということもあるようですが、それでは充分な比較検討ができません。また、5社から見積を取り、そこから3社を選ぶにあたり、1番安いところと1番高いところを切って、それ以外の3社にするというような意見をお聞きすることもありますが、1番安い見積りを提出した施工会社に何か問題があれば別ですが、そうでなければそのような選定には根拠がありません。5社であれば、見積金額が安い3社から選ぶことが多いでしょうが、それでも見積内容をしっかりと精査し、誤りがあれば指摘し、管理組合の予算を超えるようなことがあれば、見積項目や施工範囲の見直しなど、2次選定の際に検討する必要があります。

2次選定では、単純に見積金額の安い順番で選ぶということであれば、むずかしいことはありませんが、長期修繕計画に計上されている大規模修繕工事の金額を大きく上回ることが珍しくなくなっている現状においては、2次選定おいて、どのような見積が提出されるかも見込んで大規模修繕工事の施工会社の選定を行うことが重要です。


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