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マンションの配管からの漏水について ①給水管、給湯管からの漏水

マンションの設備配管からの漏水について、専有部分に関係する給水管、給湯管からの漏水と排水管からの漏水について、2回に分けてお話をさせていただきます。今回はその第1回として、専有部分の給水管、給湯管からの漏水についてになります。

マンションの設備配管は大きく分けると給水管、排水管、汚水管が共用部分の配管としてあります。その他に専有部分には、給水管、排水管の横引き管と給湯管があります。一般的に長期修繕計画には、共用部分の給水管、排水管、汚水管の更新工事などは計画されていますが、専有部分にあるそれらの配管は、各戸で対応することとなります。特に給湯管は専有部分にしかありませんが、実際に一番最初に漏水が発生することが多いのは銅管で施工されている給湯管です。銅管は経年劣化により、ピンホール状の穴が空き、そこから漏水します。給水管については、共用部分の給水管はパイプスペースにあること多いですし、漏水するのは主にメーター廻りなどなので、被害は専有部分まで至ることは少ないですが、給水管において漏水のリスクが高いのは、やはり専有部分内の横引き管です。給水管は水を使っていなくても水圧がかかっているので、漏水し続けます。気がついた時には大きな被害になっていることがあります。

2年ほど前にある管理組合の長期修繕計画に関する説明会で、「この長期修繕計画には、設備配管については、共用部分の各配管のみが計上されており、専有部分の配管については、各戸で対応することになります。特に専有部分の給湯管については、銅管が使われており、過去の経緯と築年数からも共用部分の配管が劣化し更新なければならないような状態になる前に専有部分の給湯管から漏水が発生することが考えられるので、設備配管については、専有部分も含め検討する必要があります」とご説明したことがあります。

今回、そのマンションにおいて、専有部分に漏水が発生し、床の一部を撤去して調査したところ、給湯管にピンホール状の穴があり、その部分から漏水が発生していたとのことをお聞きしました。そのマンションは、築36年になり、以前にも同様に給湯管からの漏水が発生したことがあるとのことでしたので、いつ専有部分の給湯管から漏水が発生しても不思議ではない状態でした。

いつ漏水が発生しても不思議ではないと言っても漏水が発生した時の対応が準備されているのかと言うとそうでもなりのが現状です。設備漏水の場合、漏水が発生した際には、その配管を使わなければ、漏水は止まりますが、マンションは居住者の方々が生活をする場ですので、なかなかそうはいきません。専有部分の給水管や給湯管からの漏水の場合、住戸の玄関ドアの横などにあるパイプスペースの中にあるバルブを閉めれば漏水は止まりますが、それでは水もお湯も使えず、生活ができません。

管理組合で加入している保険の中に漏水原因調査に関する保険が含まれていれば、専有部分に発生した漏水について、その保険を使って原因調査を行うことができます。早急に的確な調査を行い、復旧工事を行わなれればなりません。但し、保険を使うことが多くなると次回の保険の更新の際に保検料が高くなる要因になりますので、それも踏まえて設備配管に関する更新工事については、専有部分も含めて全体として考えることをお勧めしています。

マンションにおいて経年劣化によって起こることは、過去の事例や状況によって、多少の幅はあってもほぼ予想ができます。本来はそれをもとに準備をすればいいのでしょうが、それがなかなかできないのが多くの管理組合の大きな課題です。設備配管に関することは普段は目に見えないだけに余計になおざりにされることがあります。先ずは皆さんのマンションでは、どのような配管が使われているか確認することも重要です。

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