【絵本プレゼンテーション】子どもが楽しみながら自然と”自分は生かされている”と感じることのできる絵本 「いわしくん」
いわしくん
作 菅原たくや
発行者 大沼 淳
発行所 文化出版局
初 版 1993年11月15日
あらすじ
海で泳いでいたいわしくん、捕まえられて、お店で売られて、お母さんに買われて、夕食のおかずになりました。ある家庭で元気な男の子に食べられたいわしくんの命を描いています。
子どもが面白がるところ① ユニークなキャラクター
「ぼくはいわし。日本の海でうまれた」。まんまるの大きな目が親しみやすい「いわしくん」が主人公。仲間とともに海の中を泳ぎ回っています。捕まったり、売られたり、食べられたりしますが、「いわしくん」がそれを悲しむことはありません。淡々とした語り口で、焼かれた時も、食べられて骨と頭だけになった時も、「いわしくん」は大きな目を見開いて、運命を受け入れています。
子どもが面白がるところ② ちょっとしたハラハラ
いわしくんは「パックにつめられ ならべられ うられ」「かわれて」「やかれて」「たべられ」ます。そして「ぼくの肉は 人の体の一部になった」と言います。この辺りから子どもたちは、いわしくんが急に身近な存在になって、次の展開が気になりだします。正直に言って私は、このあとどんな展開になるのか、想像もつきませんでした。
子どもが面白がるところ③ 思いがけない展開
食べられちゃったいわしくんですが、この後も、男の子の体の一部になった「いわしくん」の言葉で語られます。
「ぼくは学校へ行った」「その日はプールだった」。そして・・・。
まとめ
よく昔話に、教訓であったり、知恵を授けるためのものがあったりしますが「いわしくん」が、そういった類の絵本であるとは思えません。
なぜなら、絵本はあまりにも淡々と事実を伝えているだけだからです。そこに教訓めいたものや、食育といった意図を感じるのは大人だけで良いでしょう。
子どもたちには、食べたものが自分の力になって、自分と一緒に生きてくれているのだという、ただただ温かいものを感じてほしいなと思います。
「あなたの命は生かされていて、いつも応援されているのだ」と、読む者に気づかせてくれる絵本です。幼児から中学生まで読み聞かせでも使える絵本です。
子育て中にお母さんたちの絵本の読み聞かせあい会から絵本にハマり、図書館や小中学校での読み聞かせボランティアをしてきた経験をもとに絵本の紹介をしています。絵本はコスパの良いおもちゃ!親子で活用しやすくなるお手伝いができればと思い、思いつくところから書いています。自分が持っている絵本を撮影して使っていますが、著作権の問題等ありましたら、お知らせください。