私のUXライティング入門
UIデザイナー・デザインエンジニアの斉藤です。
新規事業を担当するにあたって、今まであまり注力できていなかった「言葉」について、インプットしたこと、また合わせてプロダクトにアウトプットしたことをお伝えしようと思います。
きっかけ
昨年まで担当していたプロダクトで、「言葉の定義」のあやふやさが問題になったことがきっかけで、「言葉」への苦手意識と知識の浅さに向き合い、学びはじめるきっかけとなりました。
対象
はじめてUXライティングに取り組む人
UXライティングに興味をもっている人
普段からプロダクト開発に携わっていてUXライティングが気になっていた人
UXライティングとは
WebサービスなどのデジタルプロダクトのUIにおいて、ユーザーが簡単かつ直感的に利用できるように的確に情報を伝えるライティング手法全般を指します。
似たようなライティングの分類
コピーライティング:顧客の興味を引き付け行動を促すためのライティング
コンテンツライティング:ウェブサイトやブログの記事、ソーシャルメディアの投稿、ニュースレターなど、オンラインで読まれるコンテンツのライティング
テクニカルライティング:ソフトウェアドキュメント、ユーザーガイド、マニュアルなど技術的な情報をわかりやすく伝えるためのライティング
それぞれ異なるスキルと知識を必要とし、対象者や目的に応じてスタイルやアプローチが異なります。
UXライティングの目的
プロダクトの理解を助け、操作しやすさを提供する
問題に直面した際に、即座に解決できるようにする
ブランドらしさを演出し、ユーザーと効果的にコミュニケーションをとる
実際に行ったこと
🗣️1. ボイス&トーンの策定
はじめに🔗UXライティングの教科書を読み、ボイス&トーンの存在を知りました。
昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が進む中、人間同士のコミュニケーションがデジタルプロダクトとのやり取りに置き換わる機会が増えています。こうした状況において、言葉は人間らしさを感じさせるための重要な要素です。
そこで役立つのが「ボイス&トーン」です。
日本語では「語り口」と表現されていましたが、こちらの方が
しっくりきますね。
以下は、評価尺度に沿ってプロダクトのボイス&トーンを決める一例です。
私は、チームメンバーにヒアリングをしながら決めていきました。
プロダクトがどんな個性を持つのかを、ひとりの人間として想像してみてください。そして、ユーザーとの対話にどんな語り口を使うのか、大まかな方針を決めます。こうすることで、表現に迷った際に、このボイス&トーンをもとに言葉を適用することができるでしょう。
この記事では詳しく述べませんが、ボイス&トーンがひとり歩きしないためには、プロダクトの価値や目指すべき姿、ターゲットについてもあらかじめ
理解を深めておくことが大切です。
📄2. ガイドラインの策定
プロダクト単体ではなく、どのプロダクトでも共通して使えるように、UXライティングのルールを検討することにしました。
また、社内プロダクト共通で使えるデザインシステムを持っていたので、その1項目としてUXライティングガイドラインを組み込みました。
言葉をデザインするときの判断基準や表記ルール(大まかな方針)
日本語の文法(表記がブレがちな文法をピックアップ)
用語集(日付、迷う漢字orひらがな表記、似たような言葉などで何を起用するかの定義。NGの用語と合わせるとGood。)
UI表記ルール(ダイアログ、エラーメッセージなど具体的なコンポーネントでどのような表記をするかのルール)
の4項目でまとめました。1→4にかけて定義の解像度が上がっていくようになっています。
特に苦戦したのは、「日本語の文法」でした。
インプット時はひたすら国語の授業だと思っていました。笑😂
「正解がない」「どちらの表現も正しい」のようなキメの問題に遭遇する際に、判断基準にした資料を紹介します。
政府機関などの公に定められているもの
書籍やマニュアル化されているもの
🔗textlint
🌱3. 既存のライティングの見直し
実践です!
ここまで1、2を進めながら実際にプロダクトのUIデザインを進めていた経緯があり、これらのルールが守られている自信がなく、プロダクト全体のライティングを見直しました。
直した箇所
ボイス&トーンに沿っていない語り口
デザイン時に未定義のまま、実装者が考えてくれたメッセージ
プロダクト内でのシソーラスのズレ
どれも「あるある」ではないではないでしょうか…!?
デザイン時に一発で完璧なライティングを仕上げるのは難しさを感じるので、こうやって立ち止まる機会を作ることは大切だと痛感しています。(何事もね🌻)
不足していること
UXライティングにも関連があるプロダクトのドメイン関連の用語集は、まとめてられているのですが、以下の点が気になっています。
UIと用語集の定義でズレがないか
会話や議論で決まって言語化されていない用語がないか
なんとなくわかりそうだし定義しなくていいかな?と思っている用語
例)「ファイル」と「データ」の表記はどちらを起用するか
ガイドラインの「UI表記ルール」は、気づいたら共通して使っていてルールがあるので、まだまだ言語化の対象がありそうです。
まとめ
良かった点
プロダクトに人間味が増し、制作目線でもより親近感を持てるようになりました。
ふわっと決めていた言葉選びを正すことができ、さらにそれを言語化することで今後の再現性にも期待できます。
課題
UXライティングに携わるのはデザイナーだけではないため、デザイナー以外でもUXライティングのガイドラインにアクセスしやすくし、認知を高める必要がありそうです。
(今回はFigmaでまとめて、ナレッジ共有ツールの紹介記事にFigmaのリンクが貼られてはいます。)ナレッジ共有むずかしい… 🙃
UXライティングに取り組むことでユーザーの使い勝手が向上したかを定量的に測ることは難しいと感じます。
しかし、取り組む意義を伝え、その根を絶やさずにうまく運用できる体制を整えることが重要だと感じます。
現時点でのアウトプットで満足せず、今後もアップデートを重ねていきたいと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!🙇♀️
おまけ:レビューはChatGPTにお願いする
もう皆様おなじみですでに実践されている方ばかりだと思いますが、文章の添削ではChatGPTにお願いするのが今のところ一番安心感があります。
漢字のひらき具合や、口調などを直すのは忘れずに!⚠