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モテる話し方の極意。「ゆっくり」+「感情の波」で、相手を惹きつける方法
映画のワンシーンを思い出してほしい。
暗い部屋の奥、葉巻の煙がゆらゆらと立ち上る。部下が焦った様子で駆け込んでくる。
「ボ、ボス!どうしますか!?」
早口でまくし立てる彼に対し、ボスは一切動じない。ゆっくりと椅子にもたれ、静かに言う。
「焦るな。」
この瞬間、空気が変わる。どちらが余裕のある男か、一目瞭然だ。
話すスピードは、そのまま自信の有無を映し出す。早口な人間は「必死」「焦っている」「余裕がない」と見られ、逆に、ゆっくり話す人は「落ち着いている」「強い」という印象を与える。
これは動物の世界でも同じだ。サバンナの王者・ライオンは、普段ほとんど動かない。力のない動物ほど、素早く動き、せわしなく鳴く。
人間も本能的に、「ゆっくり動く=強い」「素早く動く=弱い」 と判断する。
だからこそ、ゆっくり話す人は無意識に「この人は強い」と認識され、モテるのだ。
しかし、ただ話すのを遅くすればいいわけではない。ゆっくり話すだけでは「退屈な人」で終わる可能性もある。
「モテる話し方」には、もうひとつ決定的なポイントがある。では、具体的にどうすればいいのか?
なぜ「ゆっくり」がモテの武器になるのか
「ゆっくり話す」ことがモテに繋がる。直感に反するようだが、これには明確な根拠がある。人間の本能と、コミュニケーションにおける非言語要素の重要性だ。
メラビアンの法則をご存知だろうか? 人はコミュニケーションにおいて、言語情報(言葉そのものの意味)から7%、聴覚情報(声のトーンや話し方)から38%、視覚情報(表情や身振り)から55%の影響を受けるという法則だ。つまり、何を話すかよりも、「どう話すか」が相手に与える印象を大きく左右する。
高級レストランを想像してほしい。早口でまくし立てるウェイターと、ゆっくりと落ち着いた口調で対応するウェイター。どちらに「余裕」と「プロ意識」を感じ、安心して食事を任せられるだろうか?
恋愛も同じ。早口は「自信のなさ」「余裕のなさ」を露呈し、自分を安売りするようなもの。「ゆっくり話す」人は、言葉を厳選し、丁寧に相手に届ける。まるで一点物の高級品のように、自身の価値を高めるのだ。相手は「大切に扱われている」と感じ、あなたに惹かれる。
進化心理学もこれを裏付ける。原始時代、早口は「危険」、ゆっくりとした声は「重要な情報」を意味した。人間は本能的に、「ゆっくり=落ち着き、自信、頼りがい」と判断し、モテに繋がる。
さらに、「ゆっくり話す」ことは会話の主導権を握る上でも有利だ。DJが音楽で聴衆を操るように、会話のペースをコントロールし、相手を自分のリズムに引き込める。
ただし、単に間延びさせるのはNG。下手なDJの無意味な沈黙と同じで、退屈させる。真にモテる「ゆっくり」とは、言葉を選び、思考を巡らせ、「間」を効果的に使うこと。熟練の職人が刀を鍛えるように、言葉に重みを与える行為だ。
しかし、「ゆっくり話す」は入口に過ぎない。次の章で、具体的な方法を解説する。
具体的にどうやる?
「ゆっくり話す」がモテの武器となる理屈は分かった。だが、頭でっかちでは意味がなく、百考は一行に如かずだ。今日から実践できる、「モテるゆっくり」習得のための3つの方法を紹介する。
まず、チェスや将棋の対局を想像してほしい。名人たちは一手打つごとに深く考え込み、長い沈黙が流れる。その沈黙は、思考を巡らせ、最善の一手を探る戦略的な「間」だ。
会話も同じ。何かを話す前に、1秒間の沈黙を置いてみよう。たった1秒が、あなたの言葉に劇的な変化をもたらす。「考えて話している」という印象を与え、知的に見える。聞き手の注意を引きつけ、言葉に集中させることができる。高級ワインを飲む前に、色や香りをじっくり楽しむような感覚だ。言葉の前の「間」は、価値を高めるスパイスになる。
次に、絵画を鑑賞する際に注目するのは、色彩、構図、そして「輪郭」だろう。輪郭が曖昧な絵は、ぼやけて印象に残らない。
言葉も同じで、末をはっきりと発音し、明確に言い切ることで、輪郭が際立ち、聞き手の記憶に残る。自信と決断力を感じさせ、言葉に説得力が増す。知的で洗練された印象も与える。語尾を伸ばしたり、曖昧に濁したりするのはNG。自信のなさが露呈し、インクが滲んだサインのように印象を損なう。
最後に、好きな音楽を聴く時、無意識に体を揺らしたり、リズムに乗ったりしないだろうか? これは、音楽と気分などが同調し、一体感が生まれるから。
相手の話すスピードと差がありすぎると、相手を不快感を覚えるかもしれない。会話でも、相手の話す速度に同調することで、同様の効果がある。相手の7〜8割の速度で話そう。
安心感と心地よさを与え、親近感と共感を抱かせやすい。会話の主導権も握りやすくなる。ダンスパートナーと息を合わせるように、心地よいリズムを創り、「テンポ」を意識しよう。
これらの技術を習得すれば、「モテるゆっくり口調」を実践できる。しかし、これだけで本当に「モテる」のか?
ゆっくり喋るだけで、本当にモテるの?
「ゆっくり話す」技術を習得したあなたは、自信に満ち溢れ、落ち着いた印象を身に纏ったことだろう。しかし、ここで一つの疑問が浮かび上がる。「ゆっくり喋るだけで、本当にモテるのか?」と。
正直に言おう。答えは「NO」だ。
これまで、「ゆっくり話すこと」のメリットを力説してきたが、それはあくまで「モテる話し方」の土台に過ぎない。家を建てるのと同じで、土台だけでは住むことはできない。壁や屋根、内装があって初めて、快適な住空間が完成する。
「ゆっくり話す」だけでは、なぜダメなのか?以下のような側面がある。
退屈な人になるリスク
ただ単に話すスピードが遅いだけでは、「退屈」「自信がない」「話が長い」といったネガティブな印象を与えかねない。故障したレコードのように、同じフレーズを繰り返すだけでは、誰も耳を傾けてくれない。感情が伝わらない
一定のペースで淡々と話すだけでは、感情の起伏が伝わらず、相手の心を揺さぶることができない。あなたは、ロボットと恋に落ちることができるだろうか?「間」の意味がない
戦略的に「間」を取ることは重要だが、ただ間延びした話し方は逆効果。会話のテンポを悪くし、コミュニケーションを阻害する。
では、どうすればいいのか?
「ゆっくり話す」ことに加え、もう一つ、絶対に欠かせない要素がある。
それは、「感情の波」を創ることだ。
人は、感情の生き物だ。心が動かされると、記憶に残り、行動を起こす。そして、「モテる」とは、相手の心を動かし、あなたに惹きつけることだ。
「感情の波」を創るとは、話すスピード、声のトーン、表情、言葉遣いなどを巧みに変化させ、相手の感情を揺さぶること。
例えば、
重要なポイントを強調する前に、一瞬「間」を置く。
嬉しい気持ちを表現するときは、声のトーンを少し上げる。
悲しい/共感を表したいときはあえてゆっくり話す、
相手に質問を投げかけるときは、目を見つめる。
など。
映画監督が、シーンに合わせて BGM やカメラワークを変えるように、自分も会話の「演出家」になる必要がある。
「モテ」は、総合芸術。総合闘技。「ゆっくり話す」ことは、モテるための必要条件だが、十分条件ではない。「感情の波」を創り出し、相手の心を掴んで初めて、「モテる話し方」は完成する。
それは、まるで、絵画、音楽、演劇、全ての要素が絡み合い、観客を魅了する総合芸術のようなもの。少しの意識と練習で、誰でも習得できる。
次章では、この「感情の波」をどう創り出すのか、具体的な方法を解説していこう。
「モテないゆっくり話し」の例
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