趣味①

タバコ。
孤独とひとり遊びをこよなく愛する私の趣味のひとつだ。
タバコが趣味だと話すと、大抵の人に「イキってるの?」と言われる。たしかにきっかけは、大人ぶってカッコつけた私の精一杯の「イキリ」だったかもしれない。そして実際「イキリ」目的で煙草を嗜んでいる人も少なくはないと思う。

それでも私はこの「喫煙者イキリ節」に真っ向から反対したい!そもそもイキっていて何が悪いんだという話ではあるのだが、そうではなくて、私は煙草には単純な『嗜好品』としての魅力があると思うから。

 晴れた日のハイキングが楽しいように、空気が乾燥した日に煙草を吸うのはしあわせ。綺麗な水で研いだゴハンがとくべつ美味しいように、マッチで火をつけた煙草はとくべつ美味しい。珈琲の味わいが豆の産地によって変わるように、煙草にも、葉の種類と味にそれぞれ個性がある。

 そりゃ健康には悪いけど、マナーとルールを守って楽しむならいいでしょって思う。でも、どうやら世論はそういうふうになってないらしい。臭いからしょうがないかな。

私は、喫煙をつねに最大限に楽しみたいと思っている。だから、普段は1本も吸わないようにして、嗜好品が生活必需品の領域に侵略してこないようにしている。絶対に譲れないこだわり。だけど、旅先とお酒の場ではリミッターを解除して好きに吸う!

旅先のだだっ広い駅に一つしかないような喫煙所を探し回って、そこで窮屈そうに身を寄せ合っている人たちの隙間にするっと入って、早速煙草に火をつける。この人たちは出勤前かな。ニコチン摂取が義務になると毎日窮屈で大変だなあ、と思う。
そして、なんとなくみんなに話しかけたい気分になる。「ね、みんな苦労してますよねえ!こんなに税金納めてるのにねえ!私たちで暴動起こせばこの窮屈な喫煙所の面積が倍くらいにはなるかもしれないのにね!」

しかし喫煙者は団結しない。それどころか、自分は加熱式であそこでも吸えるからとか言って紙巻き喫煙者を裏切るものまで続出している!(ナンセンス!)その一方で、喫煙者はもっぱら「タバコミュニケーション」をやりたがるよな、とも思う。みんな孤独を愛していながらも、やはりどこかで誰かと繋がっていたいんだよね。きっと変えられると思うけどなあ。喫煙者は団結するべきだ。
 
狭い喫煙所で煙草を吸うたびに、分煙の徹底と喫煙所の増設のための演説が頭の中をぐるぐる回って、副流煙と一緒に口から出そうになるけど、たまにしか吸わない私の「こだわり」が壁となって立ちはだかってくる。頭の中がフワフワくらくらしてそれどころではなくなってしまうのだ…。




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