Yayoi 2【わかれ】
高校を卒業してしまったね。
なんか寝てなかったので卒業式の最中、特に偉い人がなんか喋ってる時めちゃくちゃうとうとしていた。横に座る友人が定期的に私を小突いていたのでずっと“寸前”の状態だった。あと、組主任の先生の1人が名簿を台に置き、確認する事なく1人1人それぞれに目線を合わせていたのには並々ならぬ意志を感じた。「想いを込める」ってこういう事かと思った。
なんて良くない生徒なんだと思いつつ、高校時代の私の大人に対する態度をひっくるめて抽象化したらこれになりそうで、どう取り繕ったとしても私はこういう人間なのかと思った。
卒業式終了後、食堂での立食パーティーがあった。所謂ご馳走が沢山並んでおり、うちのクラスは若干遅れての到着だったのだが、うちのクラスの取り分を先生方が保護しており、随分と治安の悪い学年なんだなと感じた。
あらかた食べたぐらいの時に、先生が順にメッセージを述べる時間があった。その時にもう週1,2で会う様な関係性が終わるという事をようやく認識した。
先生の中でもそれぞれ違ったメッセージを最後に述べており、面白いくらいに性格が色濃く出ていた気がする。この先の人生この言葉を覚えていたり覚えていなかったりするのだろう。最後まで覚えているのは誰の言葉になるのだろうか。
あらかた終わりお開きとなったタイミングで、他のクラスの顔を覚えている(かなり良く喋った)人に挨拶回りをした。それぞれの人にじゃあねという度に、全然もう2度と合わない可能性があるという事がチラついた。
うちのクラスは2次会を別の会場でやるという事が決まっていたのだが、それまでに結構な時間が空いていたので親友や友人とぐでっとしていた。この辺はこれからも定期的に関わる気がするが、それでもやはり名残惜しい部分はある。
2次会のクラスのほぼ全員の生徒だけが居る部屋での立食パーティーが始まった。立食パーティーのはしごは私も聞いた事が無い。
立食パーティーと言ってもそれなりの食事が終わった後は駄弁る以外の娯楽が無く、せっかく最後だというのにそれで2時間半を消費して良いのかと疑問に思っていた。
中盤に差し掛かったタイミングでデザートが出てきた。そこで私はチャンスだと思い、デザートが複数種類ある事を利用して、デザートの選択権を得るためのじゃんけん大会という形にした。
何とかみんなもノってくれたので、私が真ん前に立って手を突き上げ、じゃんけん大会をスタートした。「グー出せ」とかのヤジも飛んできたが、あえて全て受け入れてじゃんけんをした。
途中でこれはもっと行けるなと思った私は、携帯で裏取りをして、「今から出す手は米津玄師がLemonの前に出したシングルです!」と宣言した上で✌️(ピースサイン)を出した。
その後、この形式の方が面白いだろうなと思った私は「∫[-1,1] x³ dxは? じゃんけんぽん!」(奇関数なので✊)みたいなのとか手を変え品を変えじゃんけんをやった。
あくまで私の手の予告なので、分かった嬉しさから普通に私とあいこになる人も多く、結構考えることの多いゲームになった。
私は楽しかったが、実際プレイヤー側は楽しかったのだろうか。楽しかった人が沢山いたら私は嬉しい。「じゃんけん大会やって〜」みたいな感じで親御さんに言っている人がいれば私の勝利だ。
その後、2次会もお開きということになり、1人また1人と帰り道が異なっていく。その度にいつ会うか分からない「じゃあね」を言っていく。
最後2人になった時、私は彼に「全然久しぶりに感じないぐらいネットにで有名になってたら良いのにね。」と言っていた。
よくよく考えると結構やばい事を言っている。SNSが発達した社会で私は同級生の記憶に私という存在をねじ込もうとしている。どう考えてもまともではない。
でも実際そう思ってしまっているのだ。元来私は寂しがり屋なので、一度作りあがった友情が今日を境に沢山認識出来なくなるのが怖い様で、そのせいで私は常軌を逸した手段を使ってでも友人の存在の薄まりを解消しようとしているのだ。
同じ学校の人々のSNSが色んな感傷の浸り方をしているのを眺めていると、色んな価値観があるなあと思った。先生の話の一挙手一投足で印象はすぐ変わる。
眠いのでこれで終わろうと思う。
(おわり)
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