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リレーストーリー「どすこいスパイ大作戦#15」
第15話「罠」
仕掛けられた爆弾の位置は分かった。
あとは黒幕を捕まえて、爆破を阻止するのだ。
蒙古龍と黒豹丸は、蒙古龍が推理した黒幕が立ち寄るであろう場所へと急いだ。
「ここです!」
「ここか!」
着いた場所は、スカイツリーがよく見える場所にあるお茶屋さん。
入り口に立っている幟には“名物スカイツリー饅頭“と書かれている。
「ここ…なのか?」
黒豹丸が蒙古龍の顔を覗き込んで、今度は確かめるように聞く。
「ええ、テロリストというのは自己顕示欲と自己満足の塊です。自分達が仕掛けたテロをまるで作品のように満喫したいはず。となるとスカイツリーの展望デッキ、地上から350メートルから上の倒壊を見届けるには、ここが一番です。昨日、食べログで調査しまくった結果」
最後の方は小声で伝える蒙古龍。
「なるほど。だが、誰もいないぞ」
見回すと店内には、誰もいない。
「ちょっと早く来すぎましたかね?饅頭でも食って待ちますか」
その時、スカイツリーのあたりが少し明るくなった。
見るとスカイツリーにいくつものライトが当たっている。
「今日のライティングショーのリハーサルですね。何としても爆破を阻止して素敵なショーをみんなに楽しんで貰わないとですね。モグモグ」
1つ目の饅頭を頬張りながら蒙古龍がつぶやく。
「しかし、レーザーの中の爆弾が囮とは言え、見つけられて良かったですね。モグモグ」
2つ目の饅頭を頬張る蒙古龍をよそに、黒豹丸の目がカッと見開いた!
「そうだ、囮だ!」
「ええ、そうっすよ」
「違う!展望台の爆弾が囮なんだ!」
「えっ⁈」
「考えてもみろ、何故レーザーに火薬を仕掛ける?レーザーの機械を爆破したところで何になる?」
「!」
「ダブルトラップだ!」
黒豹丸が立ち上がる。
「火薬を見つけさせることで、俺たちに凶器は爆弾だと思わせる罠だ」
「ということは!」
「レーザーだ!ライティング用として設置されたレーザーが、実は破壊兵器だ!戻るぞ!」
駆け出す黒豹丸。
まだ1つ皿の上に残っていた饅頭を口に放り込むと、蒙古龍はその後を追った。
スカイツリーに戻った二人は今日のライティングショーの本部に向かった。このショーを中止させねば。
ショーのスタッフは自分達が仕掛けたレーザーが、破壊兵器であることを知らない。
素敵な一夜を生み出す為のスイッチがオンされた時、とてつもない悲劇が訪れることを知らない。
自分達の説明を信じてくれるだろうか?
不安を胸に抱えながら本部がある地下へと向かって階段を駆け降りた。
「オット、ココマデネ、オデブチャンタチ」
二人の前に立ちはだかる人影が。
“ん?この声どこかで聞いたことがある・・・あ、新宿の壁越しに聞こえた声だ!“
蒙古龍の記憶が甦る。
「黒豹丸関、こいつらです」
「ああ、どう考えてもそうだろ」
「オデブチャンタチ、アナタタチニハ、ココデシンデモラウネ」
二人の前に立ちはだかった人影の後ろから、バラバラと屈強な男たちが現れる。
「単なるおデブちゃんだと思ったら、怪我するぜ」
蒙古龍と黒豹丸、二人は顔を見合わせるとニヤリと笑った。
(つづく)