物語のタネ その壱『お留守番ヒーロー #6』
俺の名前は、滝沢さとし。
表の顔は、高齢者向け介護士だけど、もう一つの顔は
「お留守番ヒーロー」
ヒーローの留守を預かり、出現した怪獣、怪人をもてなすのが俺の役目。
先日は、ライダー史上初のライバルキャラ「アポロガイスト」さんとのお話をしましたが、さすが若くして組織の重要なポジションに立ち、その後もずっと活躍をしていた方は違いますね、人格者です。
あの後、悩みがあるとたまにLINEとかするんですが、いつもとっても丁寧に返信をくださるんですよ。
ありがたい話です。
今回ですが、これまた大メジャーな方。
ただ、こちらも私、初めてお目にかかったんですが。
ウルトラ史上最も有名なロボット。
「キングジョー」さんです。
この時は、確か、ウルトラの父が誕生日で、ウルトラ一族が全員M78星雲に集合!状態になっていまして。。。
キ「こんにちはー、どうも、ジョーでーす」
お「あ、どうも」
キ「あれ?今日はどなたもいらっしゃらないの?」
お「はい、そうなんです。本日はウルトラの父さんのお誕生日会ということで、ウルトラの一族の皆さんは皆、M78星雲に集合なさっておりまして」
キ「あら、そうなの?」
お「はい、、、あ、申し遅れましたが、私、今回の留守を預からせて頂いている、お留守番ヒーローと申します」
キ「あー、噂の。初めて会えた」
お「よろしくお願いします」
キ「いや、こちらこそ、よろしく。で、さ、そのウルトラの父さんの誕生会、他の怪獣達は知っているのかな?」
お「いや、今回は完全身内でやるということで、どの怪獣さん達にもお知らせはしないでとのことだそうです」
キ「あ、そうなの。そっか一人に教え出したら、あれもこれもでキリがないもんね」
お「はい、そう仰っていました」
キ「了解です」
お「よろしかったら、折角なんでちょっとお茶でもいかがでしょ?」
キ「はいはい、是非是非。時間空いちゃったし」
お「キングジョーさんと言ったら、もうウルトラ史上知らない人はいない!っていう方ですからね、私、今日はラッキー。お話し出来るのを楽しみにしておりました」
キ「それは光栄だね。何でも聞いてよ」
お「ありがとうございます。キングジョーさん、正確に言いますとロボットなんですよね」
キ「そうよ、不正確に言おうとしてもロボットよ笑」
お「最初はペダン星人さんがお造りになられて」
キ「そう、ペダン星人さんが生みの親にして、初代オーナーだね」
お「その後は、アンドロメロス時にはナックル星人さん、ウルトラマンマックス時にはゼットン星人さん、メビウスの時はヤプール人、ウルトラマンゼロ外伝ではビートスターが」
キ「そう。ロボットだからね、まあオーナーがいるわけよ。オーナーもさ、いい時もあればしんどい時もあるじゃない。そうなるとこう、次のオーナーのところに譲られていくわけよ」
お「なんか、高級ビンテージスーパーカーみたいですね」
キ「そうそうそう、まさにそういう感じよ。自分で言うのも何だけど、イメージとしてはフェラーリと同じだね。フェラーリでもそうね、ディーノみたいな。作った人&初代オーナーがエンツォ・フェラーリで、その後オーナーが変わりながら乗り継がれていく、というね」
お「どんどん価値が上がっていく、お値段も」
キ「笑 値段は知らないけどね。ただ、乗り継いでもらうからには、その時その時のオーナーさんには満足のいく時間を過ごして欲しいなとは思っているから。自分磨きはね、欠かせないね」
お「なるほど」
キ「バージョンアップしてね」
お「そう言えば、ヤプール人さんの時、スーパーキングジョー、そしてキングジョーブラック、とバージョンアップしていましたね」
キ「そうなの。でね、大切なのはバージョンアップする一方で、最初の魅力?本質的な部分の魅力はね、失っちゃいけないのよ。ほら、フェラーリもさ、電気系統弱いとか、レーシングカーの遺伝子があるから普通の人には運転しづらいとかさ。きっとね、今のフェラーリはそんなことないんだろうけどね。そういう、なんて言うのかな、ダメなところというか。例を変えると、水戸黄門の印籠みたいなもの。そういうところの価値を失っちゃいけないのよ」
お「なるほどー、で、それがキングジョーさんの場合は、、、」
キ「『直立後ろ倒れ』だね」
お「おー、あれ!」
キ「そう。これだけコンピューターとロボット技術が発達した現代においては、倒れないようにするプログラムは簡単よ。ASIMOだって倒れないよ。でもね、あの、バターン!がいいと皆言うわけよ。お、あ、来るなーってね。うわー、来たあぁぁうぁ〜、ドカバターンンンン!ふ〜。それがね、変わらぬ魅力ってもんで」
お「分かります。おっしゃること」
キ「そう?嬉しいね」
お「そこに、皆さんハマっちゃうんですね〜」
キ「そうね。ロボット好きの人にね、いつかはキングジョーっていつまでも言われる存在でいたいよね」
お「素晴らしいですね。まさにモノ作りとはなんだ?の答えがそこにありますね」
キ「そうねぇ、変わるべきものと変わらざるもののブレンド、普遍的価値を楽しんで貰う為に時代にアジャストしていく、って感じかな」
お「キングジョーさん、内閣府の地域創生セミナーで講演したら良いですよ」
キ「そうかね?私の話でお役に立てるなら、いつでもやるよ」
お「じゃあ、推薦しておきます」
キ「そんなルート持っているんだ、すごいね」
お「あ、たまたま。じゃ、聞いておきます」
キ「はい、いつでも」
日本にイタリアに、職人というかモノ作りのあるべき姿勢みたいなものをキングジョーさんには教えてもらいました。
永く愛されるブランドの秘密みたいなものを垣間見た気がします。
勉強になるなー。
あ、内閣府に電話しなきゃ!
・
・
・