時代遅れの競馬ファン、ウマ娘に触れる
少し前からTwitterで、20代のフォロワーさんの呟きの中に「タマモクロス」や「ミホノブルボン」など往年の競走馬の名を見かけるようになった。これはどういうことだ?と首を傾げる私は、かつての競馬ファン。夢中で見ていたのは91年~99年頃と、まさに90年代の第二次競馬ブームに乗った世代。トウカイテイオー、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン……名前を挙げればきりがなく、毎週末に行われるレースの予想や結果を追っていると1年があっという間に過ぎていた。
※ちなみにギャンブルにはとことん向かない性格ゆえ、馬券は最低限。ひたすら「推し」馬を追いかけ、純粋にレース展開を楽しんでいた。JRAへの貢献度は申し訳ない程低いがグッズに随分使ったので許されたい(笑)
特に好きだった馬の1頭、タイキシャトルが引退したのを機に、レースを見に行くことも競馬雑誌を買うこともなくなった。GⅠレースをテレビで見る程度になり、2010年頃からはそれすらしなくなるほど離れてしまった。なので尚更、若い世代にかつての名馬たちが認知されているということに驚いた。そこで出てきた「ウマ娘」という聞き慣れないワード。恐る恐るググってみたら、実在の競走馬を擬人化したアニメ、ゲーム等のメディアミックスコンテンツとのこと。あぁ、おばちゃんは時代について行けませぬ……
しかしながら若い女子達がウマ娘の影響で過去のレース動画を見る機会も増えていると聞き、それこそフォロワーさんが「ブルボンのダービーが」「ブライアンの菊花賞が」なんて呟いてるのを見ると気持ちがうずうず。我慢できずに詳しい内容を見てみると、競走馬たちを擬人化、しかも美少女化した設定とビジュアル。さすがに回れ右しそうになったが、もしかすると私の最推し馬がいるのでは?とちょっとだけ希望を持ってみた。
結果的に私の最推しはキャラクター化されていなかった。オーナーサイドの都合というのは納得。そもそもGⅠ馬とはいえイマイチ勝ちきれないレースが多く、名馬と語られることもあまりない(しかしコアなファンは居てファンサークルも存在した)ので、万が一各馬主様方の許可が下りたとしてもまずはディープやブエナビスタ、バブルガムフェローら錚々たる面子が控えている。まあ、まず無いと思うけど実現したらゲームをやってみようかな、くらいに思っていた。
しかし魔が差すことはあるもので、正月休みの間にAmazonプライムでアニメ版を見てしまった事を白状する……
……可愛いじゃないか!
数多のツッコミどころと違和感は置いといて、素直に可愛いな、と思ってしまった。あり得ない設定の中に、ちょいちょい史実を織り交ぜてこられるとヲタクは容易く陥落してしまう。サイレンススズカの天皇賞・秋のくだりでは当時TVで観戦していてしばらく呆然として動けなかったことを思い出したりするなど、リアタイ勢には史実が甦ってきてテンションが上がったり悲しくなったりとうっかり心を揺さぶられてしまった。ウマ娘でのスズカは助かったので、ちょっと二次創作に救われた感が(笑)
但し今のところ夢中になる程度ではなく、寧ろもう一度競馬をちゃんと観たいと思うようになってきた。Youtubeで過去レースを掘り起こしてみたり、今年は久々に競馬場に行ってみようかと思っている。今は競馬場に入るにも事前のネット予約が必要で、電子チケットのQRコードで入場するとのこと。ライブ会場のようだと思いつつ、ひとまず登録だけはしてみた。
「ウマ娘」にハマるとは思えないが、自分がかつて応援した馬たちが話題に上るのは純粋に嬉しい。元ネタとなった馬たちの多くは既に亡くなっており、当然ながらもう応援することはできない。そんな中で彼ら、彼女らに思いを馳せることが出来るという意味で、私にとっては有難いコンテンツなのかも知れない。当時の競馬シーンを肴に、酒を飲みたくなるくらいには。