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淡路島バイク初上陸。淡一はほろ苦く・・・。「地獄に堕ちました。編」


50歳を超えた女性初心者ライダーが、出会えた最高の相棒、Kawasaki Ninja250に乗って、ソロツーリングという名の冒険を通して人生を再起動していく記録です。

2020年2月15日。明石海峡大橋を渡り大鳴門橋を見て、快適に帰路のワインディングを楽しむはずが、完全オフロードの道に入ってしまい、夕暮れに地獄のツーリングをしてしまった私とNinjaちゃん。

なんとか日没前に普通の道に戻ることができ、もう心身ともにクタクタな私は、早く普通の道で家に帰りたい、そして帰ってNinjaちゃんを洗車することしか考えていませんでした。実は、その思考力のなさこそが、本当の地獄を招いたんですね。

車の往来が途切れない淡路島の生活道路に入ろうとしたとき。

ガッシャ~~~~~ン!!

こけました。交差点は、下りの一時停止から入るUターンだったのです。
本来なら絶対にそこは無理しない判断力があるはずなのに、もしくは、走行のラインどりをきっちりするはずなのに、その時は普通の道へ戻りたい一心で気持ちが焦っていて、ラインどりもせず、そもそも難しくて曲がれないことが分かっていませんでした。

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トロトロとUターンをして生活道路に侵入した時、対向車が目に入って
「ぶつかりたくない!」
と急ハンドルを切ってしまいました。
地獄に堕ちた瞬間でした。

倒れたNinjaちゃんを体に感じながら、スローモーションで、対向車のタイヤがメット越しに私の目の前を通っていくのが見えました。3台は通ったと思います。なんで事故の時ってスローモーションになるんだろ?

でも慌てて起き上がり、左にこけて倒れているNinjaちゃんを、
「これ、勢い余って反対側にこかしたら、間違いなく対向車にぶつける・・・。どうしよう。」
と考えながらも起こそうとしたのですが、すでにカチカチになってしまっている体が全然言うことを聞いてくれず、ますます気持ちは焦ってしまって、そこからはあまり記憶がありません。

気が付いたら
「大丈夫ですか!」
の声とともに、Ninjaちゃんが起き上がりました。私は何を考えたのか、手でNinjaちゃんのスタンドを出そうと掴んだことは覚えています。どうやって出したのかな?足で出したのかな?

一旦停止の所にとりあえずNinjaちゃんを戻してくれたのは、30歳代と思われる男性でした。そしてその横から女性が、
「怪我してませんか?」
と声をかけてくださいました。ご夫婦が車から降りて助けてくださったのでした。

そして私に怪我がないことを確かめてくださったり、色々な声掛けをしてくださったのですが、これもどんな会話をしたのか、ほとんど覚えていません。私はメットをとることもなく、ひたすら
「有難うございます。大丈夫です。」
とペコペコ頭を下げていたように思います。

そうこうしているうちに、一旦停止のところに軽トラックがきて、私のNinjaちゃんがいるために前へ進めない状況になりました。そこで私は再度パニック。
「え、今Ninjaちゃんをまた動かさなきゃいけないの?押して移動?エンジンかける?でも早くしなきゃ。」
とメットの中で脂汗がにじみ出てきたその時、Ninjaちゃんを起こして助けてくださった男性が、バイクの右側からNinjaちゃんを押して動かそうとしました。

自転車でさえ、右から押して動かすことがろくに出来ない私は失礼にも
「右からバイク押せない!」
と、またNinjaちゃんが倒れるかもしれないという恐怖で叫んでしまったのです。

そうしたら男性はすでに動かしながら
「僕、長い間バイク乗ってるから大丈夫!」
と、交差点奥の通行の邪魔にならない場所にNinjaちゃんを避難してくれてたのでした。

車の往来があるかどうかも確認せず、Ninjaちゃんのところに走ってついてきてしまった私。今思えば、冷静なつもりで完全にパニくってます。けれどもとにかく、居ても通行の邪魔にならない場所にNinjaちゃんと場所を確保できた事にほっとして、メットをとり、ご夫婦にひたすらお礼をいいました。

ご夫婦はとにかく私に怪我がないか質問してくださったあと、おそらく私が冷静に戻れるようにと思うのですが、男性は
「これ新しいモデルのNinjaですよね。かっこいいですね。見た感じでは、どこかが曲がっているとか破損しているとかはなさそうですよ。」
と言ってくださり、私はこのNinjaちゃんのことを知って下さっていることが嬉しくて、
「はい!新しい真っ黒なNinjaです」
と答えたのじゃなかったかな?

でも今思えばメットをとった顔は、髪の毛もぐちゃぐちゃ、顔は涙でぐちゃぐちゃ、で悲惨な顔をしていたと思います。そうしてご夫婦は、
「慌てずゆっくり、気を付けてくださいね。」
と言い車に戻って去っていかれました。

あの時のご夫婦さま。顔もまともに覚えていません。もちろん、ナンバーやお名前をひかえるとかもできてなくて、ロクにお礼も言えてなかったと思います。
けれど、本当に本当に、あそこで助けてくださらなかったら、私、もっと悲惨なことになっていたかもしれません。本当にありがとうございました。そしてお礼がきちんと申し上げられずすいませんでした。

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そこからは、いったんその場で休憩して、Ninjaちゃんに乗れることを確認して生活道路に入ったものの、すぐに道沿いに現れたスーパーマーケットに入ってNinjaちゃんを駐車場にとめてまたNinjaちゃんから降りました。

ホットコーヒーを飲みながら、そこで買ったチョコレートを2箱を一気に食べました。ただひたすらチョコレートをムシャムシャしていました。そして気が付いた時には1時間以上が過ぎ、辺りはすっかり暗くなっていて、暗闇の中に光る街灯が、まばらに止まった車とNinjaちゃんを照らしているのでした。

私「Ninjaちゃん、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

Ninjaちゃん「お互いに怪我がなくてよかった。」

つづく。

サポートいただきましたら、マーケティング支援、どなたかの再起動を支援する資金に充てたいと思います。