上津川、猿谷の石風呂。
佐伯市本匠、上津川(こうづがわ)をゆく。
山深く、朝の光も山の影をつくる。
この上津川に「猿谷の石風呂」がある。
佐伯市指定有形文化財である。
谷底に横たわる石の窪み。
これが「猿谷の石風呂」である。
風呂といっても、川の水は冷たい。
どうやって入るのかというと、焼いた小石を投げ入れて温めたという。なるほど。
風呂には、薬草「石菖(セキショウ)」も入れて、薬湯として入浴したとのこと。いわゆる菖蒲湯のこと。
薬草が手軽に手に入ったことも、石風呂としての利用に影響があるのかもしれない。昭和の初め頃まで、住民に利用されていた。
ところで、なぜ文化財の指定をされているのか。
それは「弘法大師がこの石風呂で疲れを癒やした」とされているため。
808年、諸国を巡り、僧侶が集まって修行をする場を探している際に立ち寄ったという。そのため、「一名大師風呂」という別名がある。