採血の心構え〜コツを知る前に〜
こんにちは、採血先生Xです。
過去に某大学病院にて毎日100人以上の採血をし、今でも現役で採血をバリバリにとっている採血マニアです。
『趣味:採血、特技:採血』の変わり者です。
研修医や新人看護師、新人検査技師に採血の指導をしてきました。
今日は【採血の心構え】についてお話します。
これは採血のコツを知る以前の内容です。
なぜ、採血をするのか?ということを理解することが重要になります。
皆さんもご存知の通り、血管は全身をくまなく張り巡っています。
そのため、血管の中を流れる血液は体の状態を反映しやすいのです。
そして、血液は血中の細胞数や成分、酵素、抗体などを数値化することによって、病気の診断や治療効果の判定などに役立っています。
つまり、血液を検査する意義は、医師が診断のために患者さんの状態を知りたいからです。
その血液は採血という医療行為によって採取されます。
ただ、血液は血管の外に出てしまうと固まってしまうばかりか、壊れやすく、生モノという非常にデリケートな存在。
そんなデリケートな存在を検査するわけです。
採取の仕方や扱い方を間違えると、検査が正確に行えないばかりか、正しいデータが得られません。
誤診断につながったり、再採血など患者さんの負担になったりしてしまうのです。
そのため、採血は検査の一番最初のステップだということをしっかりと念頭においておこなうことが大切です。
ただ血が採れればいいというわけではないのです。
例えば、一番よくあるのが溶血という現象。
赤血球が壊れてしまった血液。
よく、しっかりと針が血管に刺さっていなかったり、血腫が起きているのに無理やり採った血液に起こりがちです。(ごくたまに赤血球の膜が弱い人がいたりと、完全に採血の手技のせいだけではない)
どのような状態かといいますと、
出典:http://www.kmuh.org.tw/www/clinlab/4_2.htm
左から通常、弱溶血、中溶血、強溶血といったところでしょうか。
中溶血や強溶血はもはやデータが違いすぎて判定不能です。
血清カリウム値が8とか9とか出ます。
医療従事者であればカリウム値がどれほど大事かわかると思います。
他にも溶血の影響を受けるメジャーな項目にASTやLD(主に細胞内に多く含まれる項目が影響を受ける)などがあります。
溶血を回避するコツはまた極意編として書いて行くので楽しみにしててください。
たかが採血、されど採血。
採血は患者さんの状態を把握するための最初のステップ。
ここがしっかりできていないと、検査技師さんがどれだけ正確な検査をしてくれても、間違ったデータが出てしまうということを理解しておいてください。
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