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FIVBコーチ・コース・レベル1~3(FIVB COACH COURSE LEVEL Ⅰ~Ⅲ)まとめ#2

本記事では、実際にFIVBコーチ・コース・レベル1とレベル2を受講するまでの流れ、実際に受講しての感想などについてまとめていきたいと思います。

FIVBコーチ・コース・レベル1

活動拠点を北海道に移し、FIVBコーチ・コースの受講に向けて様々な手続きを急ピッチで進めていきました。日程調整から申請書類の作成、移動手段の確保など慣れない作業に四苦八苦しながらも多くの方々のサポートを受けながらなんとか、バーレーンで開催されるコースに参加することが決定しました。実施日程は2018年9月8日から12日の5日間。これでまずは受講する準備は整った。一安心と思っていました。

参加者への招待状

しかし、人生は本当に何が起こるのか分かりません。私のフライト予定日であった9月6日未明に北海道胆振東部地震が発生します。

この地震により、私の予定していたフライトはキャンセルされ、代替となるフライトがないか調整を試みましたが残念ながらコースの参加に間に合うフライトを調整することはできませんでした。自分の力がどうしようもない事態にとても落ち込みはしましたが、すぐさま気持ちを切り替えて他の国で受講できないかを検討しました。

結果的には多くの周りからのサポートのおかげでフィリピンにて受講できる運びとなりました。開催日まであまり時間もなく、急な対応であったにも関わらず受講を許諾してくださったフィリピンのバレー協会の皆様には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、2018年10月1日から5日の5日間の日程で、フィリピン・マニラ市内にて実施されるFIVBコーチ・コース・レベル1に参加することとなりました。

参加者は私を含め総勢47名。国際的なコースだから国際色豊かな面々が揃っていると思っていましたが、私以外はすべてフィリピン国内からの参加(1名のみアメリカ出身のコーチ)でした。この圧倒的アウェイ感の中、オールイングリッシュでの私の初めてのコーチ・コースがスタートしました。

このときは理解していませんでしたが、レベル1やレベル2に関しては開催国内のコーチを主なターゲットとして実施することがあるとのことです。

FIVBインストラクターはセルビア人のモーロー氏。各国を渡り歩いている方で国際経験も非常に豊かな方でした。コースの終盤には彼の友人が私の知り合いであることも分かり、世界は広いけれど、バレーボールの世界は狭い(繋がっている)ということを強く感じたのを覚えています。

コースの内容としてはレベル1ということでバレーボールの基本を学ぶというスタンス。座学とオンコートレクチャーの2部構成でコースは進んでいきました。最終日には、クイズ形式のペーパーテストと実技テスト(サーブでターゲットを狙う、球出しをする)が実施され、無事合格することができました。

クイズ形式のペーパーテストは、問題の難易度というよりは英語でその内容を理解できるかという点が私にとって課題でしたがそれほど問題なく解けたように感じます。また実技テストについても、以前にJSPOのコーチ研修で実技テストを経験していたのであまり不安はなく、内容的にも似通っていましたので自信を持って取り組めたように思います。私の感覚的な話にはなりますが、日本人コーチのボールコントロールの技術は一般的に世界的に見ても高いと感じています。

レベル1を受講して一番強く感じたことは、インストラクターからだけではなく一緒に参加しているコーチたちからもいかに多くを学べるかが大切だということです。私にとっては海外のバレーボールコーチとしっかりと時間をかけて対話をしたのは初めての体験でした。

日本の育成システムとの違いやバレー界が抱えている課題などについて真剣に話し合うという機会は私にとって本当に貴重であったと思います。また、普段日本では使用する機会がほとんどない英語だけで数日間を海外のコーチとともに過ごすという経験も大きな自信となりました。簡単な意思疎通をするだけではなくバレーボールについて語り合えたという喜びを感じることができたのはその後の私の行動を加速するという意味において、とても大きな収穫でした。

しかし、その一方でインストラクターや参加者の話を100%理解できないという悔しい思いもたくさんしました。

FIVBコーチ・コース・レベル2

レベル1での経験は私がコーチとして活動していく上でも大きな一歩となり、次に進むための勇気を与えてくれました。

そして、2020年8月18日から22日の5日間の日程で開催される「はず」であったクロアチア開催のレベル2への参加手続きを進めます。

しかし、またも私の進む道を阻むかのように新型コロナウイルス感染は拡大していきます。結果的に新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、クロアチア協会よりコースがキャンセルされたとの通知を受けます。

このときは、さすがに私も何か目に見えない力によって行く手を阻まれているのではないかと真剣に考えましたがすぐに切り替えました。どこか受講できる国はないのか、何か別の方法はないのか、様々な方に相談をしたり、調べたりしたりするうちにタイが開催国とした完全オンラインでのコース開催をするとの情報を得ました。

そして、2020年11月16日から20日の5日間の日程にて完全オンライン(ZOOM使用)でのコース受講が決定しました。

私の憶測の範囲は超えはしませんが、おそらくFIVBの歴史至上初となる完全オンラインでのコーチ・コース実施だったのではないかと思います。

インストラクターはフィンランド出身のシャイレン・ラムドゥー氏でした。私が受講したこのコースは完全オンライン実施ということもあってか、タイ以外のアジア各国、さらにはヨーロッパからの参加者もいて国際色豊かな印象を持ちました。

当コースでは、完全オンラインということもあったのだと思いますが、コース開催期間中に非常に多くの課題が出されたように思います。実際、私の場合はコース開催期間中は完全に書斎に引きこもっており、1日のコースが終了次第、すぐに課題に取り掛かり、終わったら就寝。次の日にはコース受講という毎日を過ごしていたように思います。なかなか私にとってはタフな5日間でした。

また課題の一貫として、指定されたトレーニングの実践と実技テストを実際に体育館で行い、ビデオで撮影して提出するというものが課されました。当時のコロナ感染拡大状況は非常に深刻であったため体育館の確保やトレーニングの実践に協力してくれるプレーヤーの確保に大変苦労したのを覚えています(協力してくださった皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。)

あるコース参加者は自宅から数時間かかる体育館まで移動してこれらの課題をこなしており、それぞれ本当に大変な状況の中でベストを尽くしているのだと感じました。

当コースの評価方法としては、レベル1同様にクイズ形式のオンラインテストとトレーニングの実践と実技テストのビデオ提出をもって評価がなされました。コースの中で、それぞれのトレーニングの実践を撮影したビデオを全体で共有しながら、改善点はないかを議論し合う機会もあり、オンラインでありながらも多くの学びを得ることができたと感じています。

また、完全オンラインという点に関して、英語でのコミュニケーションには非常に不安を感じていました。レベル1では時間が経つにつれ人間関係ができてくるので、分からないことや確認したいことがあれば、周りに聞いたりすることも比較的容易でしたが、知り合いが一人もいない状況での完全オンラインという環境ではそれが正直難しく、終始不安を感じていました。

誰一人として会ったことがある人がいないバーチャルの世界で新たに人間関係を築いていくというのは非常に難易度が高いということを実感したコース受講でした。

またレベル2では、残念ながらその後にも繋がるような深い人間関係を築くことは正直できませんでしたが、多くの課題をこなしていく中で確実に新しい学びを得ることができたという実感を得ることができたように思います。また、オンラインであったとしても十分に多くの学びを得ることができるのだと実感することができたのは私にとって素晴らしい経験であったと思います。

▶︎雑賀雄太のプロフィール

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バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。