ブロック・プレーの過去・現在・未来【2/5】
ブロック・プレーの過去・現在・未来【1/5】からの続きです。
ブロック・プレーに影響を与えたルール変更
まずは、守備的プレーであったブロック・プレーに攻撃的要素を付加することとなったルール変更に触れておかなければならない。以下の通りである。
このブロック・プレーにおけるオーバー・ネットの許容というルール変更によって、後でも述べることになるがキル・ブロック、つまりブロック・プレーそのものによって直接得点をする機会は圧倒的に増えたと考えられる。オフェンスとディフェンスのパワー・アンバランスを、このルール変更によって調整するという意図があったわけだが、同時にブロック・プレーに攻撃的要素を付加することにもなり、ブロックをユニークなプレーにしたと言うこともできるだろう。
さらに、上記ルール変更から約10年が過ぎたタイミングで、ブロック・プレーをよりユニークな存在へと押し上げるルール変更が起こるのである。3回以内の"hit"でボールを相手コートに返球するというバレーボールの本質に関わるルールさえも揺るがすような大きな変更である。以下の通りである。今から約50年前だ。
上記のルール変更前は3回以内の"hit"の一回分としてブロック・プレーはカウントされていたということになる。しかし、このルール変更によってブロック・プレーは3回以内の"hit"にカウントされなくなった。"contact"プレーとして完全に独立したのである。これまでの数あるルール変更の中でもバレーボール・ゲームの本質を揺るがし得るほどの変更であったことをここでは強調しておきたい。
ブロック・プレーの本質
ブロック・プレーの本質を探っていくには、やはり"contact"と"hit"それぞれの意味について熟考する必要がある。"contact"の語源はラテン語で「お互いに触れる」であり、日本語に訳すなら「接触」である。これに対して"hit"は「打つこと・命中させること」である。明確に違う意味を持った単語であると分かるだろう。
では、両者の違いをバレーボール・ゲームにおける用語として解説するとすれば、次のようになるのではないだろうか。
ブロック・プレーの本質が浮かび上がってくるように思わないだろうか。
その本質は、ボールの主導権を握る相手アタッカーに対し、自コートの最前線において数的同数もしくは数的優位の状況で対峙することができるオフェンス的な性質をも併せ持つ唯一無二のディフェンス・プレーだと言えはしないだろうか。
相手アタッカーのアタックに対してネット上方から相手コート側に身体の一部を侵入させ、状況によっては1人のアタッカーに対して最大3人の前衛プレーヤーが直接対峙することができる。そして、ディフェンス・プレーの一つとしながらもオフェンス・プレーとしての性質も兼ね備えている。それが、ブロック・プレーなのである。
そんなバレーボーラーを魅了するブロック・プレーの歴史は実はまだ浅い(50年程度である)。つまり、バレーボール・フロンティアなのだ。ワクワクしてはこないだろうか。
ブロック・プレーの過去・現在・未来【3/5】へ続きます。
※本記事は以下3名の共著となります。著者プロフィールは50音順。
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