用語理解はバレーの本質を探すタビへの大きな一歩である
『レセプション・アタック』
『トランジション・アタック』
これらの用語の違い・その背景を考えてみると色々と気がつくことがある。本記事では、用語の違いを考える中で気がついたことをまとめている。
『レセプション・アタック』と『トランジション・アタック』
『レセプション・アタック』とは、相手チームのサーブをレシーブしてからのアタックを指す。
『トランジション・アタック』とは、相手チームのアタックをレシーブしてからアタックを指す。
このように並べてみると、違う点は「サーブをレシーブする」か「アタックをレシーブするのか」だけである。
『レセプション・アタック』と『トランジション・アタック』の違いを分析してみる
しかし、これだけでは両者の違いを十分に理解しているとは言えない。違いを分析していく上で、2つの視点から眺めてみるとその本質に近づけるのではないだろうか。
▶︎「セット・プレー」と「アンセット・プレー」という視点
『レセプション・アタック』は、サーブを起点としたセット・プレーとも表現することができるのではないだろうか。
バレーボールはゲーム中、常に両チームのポジショニングが完了し、サーバーがサービス位置につき、両チームの戦闘準備が完了した時点で、審判の笛によりラリーが開始される。
このことは何を意味するか。
『レセプション・アタック』時は、いわゆるポジショナル・プレーを行う時間的な猶予が十分に与えられているということを意味する。
しかし、これに対して
『トランジョン・アタック』時は、ポジショナル・プレーを行う時間的な猶予が十分に与えられているとは言えない。そこには、常にいかに高速で適切にポジショナル・プレーを行うのかという課題が存在している。
この違いを一言で言うなら、『レセプション・アタック』は「セット・プレー」であり、『トランジション・アタック』は「アンセット・プレー」なのだ。
さらに言うなら、
『レセプション・アタック』はコスモス(秩序ある世界)でのプレーであり、『トランジション・アタック』はカオス(無秩序な世界)でのプレーと言えるのかもしれない。
▶︎「パーシャル・ディフェンス」と「トータル・ディフェンス」という視点
『レセプション・アタック』はパーシャル・ディフェンス(部分的守備)からのアタックと表現することができるのかもしれない。
この表現を使用する上で、サーブの質的変化の歴史を無視することはできない。ここでは詳しくサーブの歴史についてレビューすることはしないが、ルール改正やそれに伴う戦術トレンドの変化等の影響を受け、サーブの攻撃性は日々増してきている。サーブが一つの攻撃として認知されてきているのだ(サーブのアタック化)。
しかし現状のところ、こうしたアタック化しているサーブに対して、レセプション側はブロック・プレーをルール上禁じられている。
このことは何を意味するのか。
これは『レセプション・アタック』時においてトータル・ディフェンスを禁止されているとも言うことができるかもしれない。ブロックを除いたレシーブのみでディフェンスを行う、つまりパーシャル・ディフェンス(部分的守備)からアタックをしなければならないとも言える。
しかし、これに対して
『トランジション・アタック』は、トータル・ディフェンス(全体的守備)からのアタックと表現することができるだろう。
用語理解=バレーの本質を探すタビへの大一歩
本記事では、2つの用語の違いについて自分なりに分析をしてみた(正直、この分析にどんな意味があるかは不確かだ。ただ好きでしただけである)。
バレーボールに関わっていると様々な用語に出会う。きちんと定義された(しようとしている?)用語もあれば、極めてジャンクな用語もある。
用語によってはバレーボールを考える際の共通言語としては不十分で、その存在自体がバレーボールの本質の理解を妨げてしまう害悪となるものもあるだろう。
だからこそ、漫然と思考停止状態で耳にした用語を鵜呑みにし、知ったつもりになってはいけないと思う。耳にした用語、既知の用語を自分なりに分析し、本質的に理解しようとする努力を怠ってはいけないと思う。
そのプロセスではもちろん失敗もあるし、恥ずかしい思いをすることがあるかもしれないが、本当にバレーボールを愛し、その本質を理解したいと願うならその地道な作業を避けては通れないのだろう。