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ゲームで学び、ゲームを学ぶ(9)-「2対2」の「2本目以内返球」ゲームで何を、どうやって学ぶか-(2)

 前回の記事では「2対2」の「2本目以内返球」ゲームについて、特徴は「パス」(連係プレー)が生じるということを述べました。導入段階では、たくさんボールに触れて「パス」を経験できることが最優先されるべきであり、「パス」が成立しやすい環境を考慮しなければならず、無理なくパスが続き、ボールの接触回数が増えるためには「コートの広さ」が重要であることを解説しました。今回は、「2対2」の「2本目以内返球」ゲームにおいて「パス」(連係プレー)を経験する中で具体的に何を学ぶのかについて解説していきたいと思います。

「連係プレーを学ぶ」

(1)判断を伴った連係プレー

 「連係プレー」を成立させるには、すべての状況で判断が伴った「パス」が必要になります。これは、ゲームの中でこそ養われる技能です。そのためには、お互いの認識が一致してないと有効な返球にはなりませんし、ともすればボールは簡単に落ちます。例えば、1本目のボールがネットに程よく近いボールを上げる事が出来れば、2本目がプレーしやすいという認識を育てることができます。逆に、ネットに近すぎると、2本目がプレーしづらいことを認識することができます。そのような試行錯誤する過程で、状況に応じたボールのコントロールを高めていきます。このように、味方同士の「認識」を合わせようとすることが、「連係プレー」において大切で、それが結果的にボール操作技能につながっていきます

 また「連係プレー」で大事なことは、ボールを持たないとき(2本目をプレーする方)に「準備」しておくことです。そのために、相手コートから飛来してくるボールの方向に身体を向けることはもちろん、1本目にプレーする味方の方向(味方から飛来してくるボールの方向)にも、毎回身体を向けることが、大切です。ボールが飛んでくる方向にまずは身体を向かせることで、コート上の色々な方向から来るボールを、色々な方向へボールをコントロールすることに繋がっていきます

 そして、これは基本技術の中でも「セット」を学習することに繋がります。相手からの返球(1本目)を「セット」する状況になりますが、それを「アタッカー」(2本目)にどのようにつなげるか、そう考えながらプレーしている時点で「セット」の意味があります。2本目以内返球ゲームで「連係プレー」をすることは、結果的に自然と「セット」の練習になることを意味しています。

 「セット」を想像すると、セッターが行うもの、ハイセットで特定の場所から行うものが多く、セッター以外の選手が時間をとり、練習することは少ないと感じています。その現状を解消するのに有効なこととして、2本目以内返球のゲームからでも、自然と「セット」に必要な「認識」と「準備」を養うことができます

 また、2本以内返球のゲームは「ディグ」や「レセプション」の技能を高めることにも結果的になっています。前述の通り「セット」をイメージして、1本目をネット近くにの適度なボールを上げるというプレーは、それからもう1度「連係プレー」(セット)ができる、すなわち3段攻撃の選択肢がある条件になれば、1本目は結果的に「ディグ」と「レセプション」と呼ばれるものになります。要は、2本目以内返球のゲームにおいて、有利な状況をつくること(ネットの近くで2本目をアタックさせること)は、ネットの近くに運ぶプレーが必要で、それは「3本目以内返球」の条件、いわゆる公式ルールになった際にも、活かせることになります

 このような観点で見ると、3本目以内返球がルールのバレーボールは「連係プレー」が「2回」繋がっていることを、改めて感じることができます。このような特性を考慮すると「2本目以内返球」という条件も、十分にバレーボールの技能を高めることができるのではないでしょうか?

次の記事に続く

▶︎縄田亮太のプロフィール

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バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。