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チームスポーツにおける「声出し」は高度な技術である

スポーツシーンにおいて、コーチや大人がプレーヤーに向けて「声を出せっ!」と叫ぶ光景を見たことがない人はおそらくいないのではないでしょうか。

私もご多分に漏れず、コーチングをスタートしたときには、そのような声かけをプレーヤーに日々していたように思います(今、激しく反省しています)。

しかし、今思うと「声を出せっ!」というのは「強いアタックを決めろっ!」「レシーブをなんとかしてあげろっ!」と言っているのと同じくらい抽象的で無茶なコーチングであり、プレーヤーからすると大変困惑する声かけなのではないかと思うのです。

まさか「強いアタックを決めろっ!」「レシーブをなんとかしてあげろっ!」とコーチングしているコーチはさすがにいないでしょう。しかし「声出し」に関するコーチングになると途端に、具体性のない無謀なコーチングになる傾向にあるように思うのです。

これは「声出し」の目的が十分に理解されないまま、ただ “なんとなく重要だ” という認識に留まっていることや、“自分自身が声を出すように厳しく指導を受けてきたから声を出して然るべきだ” と思っていることが原因にあると思います。

「声出し」が極めて高度な技術であるということがきちんと認識されていないからこうした事態が起こっているのだと思うのです。

本記事では特にチームスポーツ(バレーボールが中心)における「声出し」について考察していきたいと思います。

声を出すことはそもそも重要なのか

そもそも「声出し」はスポーツをする上で重要なのでしょうか?

声を出すこと自体が体力を消耗する行為でもあり「声出し」にメリットがないのであればそもそも「声出し」の必要性すらありません。

私自身、プレーヤーとしてバレーボールをする際は、比較的大きな声を出してプレーするタイプだと思います。これまで何の疑いもなく、声を出すことを非常に重要視してきましたし、その効果もなんとなく実感としては持ってはいます。

しかし、今唐突に誰かに、

スポーツをするときに、声を出す目的って何?

と聞かれると「声出し」の重要性について、ちゃんと心から納得してもらえるような説明ができないのではないか?という想いがありました。そんな想いもあって本記事を執筆することを決心しました。

次項からは、「声出し」の重要性を理解してもらうために、その目的と効果について大きく3つに分けて整理していきたいと思います。

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