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なぜ“若い人”が応募してこないのか?意外な理由に驚いた!

「最近、本当に若い人が応募してくれないんだよなあ…」

採用担当や経営者の方からこんな声をよく耳にします。
特に地方や中小企業では、「若手がまったく来ない」「そもそも求人自体を見てもらえてない気がする」といった悩みが深刻化しているようです。

結論からお伝えします。
若い人が応募してくれない最大の原因は、

”応募者が欲しい情報を企業が発信できていない”

これにつきます。

ではどのような情報を発信すればよいのでしょうか?
給与や待遇だけが原因なのかと思いきや、実はもう少し意外な要因が隠れていることもあるんです。

本記事では、「なぜ若い人が来ないのか?」をざっくりとしたイメージや噂話だけで終わらせず、具体的な実例を交えながら掘り下げて考えてみたいと思います。

学生や若手がどんな目線で就職・転職を考えているのか、企業として何ができるのかを整理することで、ひょっとすると「意外とこういうところが原因だったのか!」という発見に繋がるかもしれません。



1. 給与や待遇だけが問題ではない?

「若い人に魅力を感じてもらうには、給与を上げるしかないんじゃないの?」なんて思いがちですが、実はそれだけではありません。

もちろん、ある程度の給与や福利厚生が整っていることは大前提かもしれませんが、それよりももっと若い世代が重視しているポイントがあるのです。

①仕事の内容や働き方の柔軟性

若い人は、案外「自分がどんな仕事をするのか」「その仕事で何が得られるのか」「キャリアにどう活かせるのか」という部分を気にしています。

給与以上に「やりがい」や「成長」「スキルアップの機会」などが与えられるかどうかが重要視されるケースも少なくありません。

【実例】

大学4年生のAさんは、都市部のIT企業と地方の製造業の両方から内定を得て迷っていました。

最終的にAさんが選んだのは、給与面では多少劣るものの「新規事業に挑戦できる環境が整っている」製造業の企業。

面接時に「若手の声を積極的に採用し、新しいプロジェクトを立ち上げたい」という社長の熱い想いが伝わり、「ここなら自分のアイデアを形にできるかもしれない!」と期待を抱いたのだとか。

②社風や社内の雰囲気

若い人は情報収集が得意で、SNSや口コミサイトなどで会社の雰囲気をチェックしています。

「給与はそこそこ良さそうだけど、パワハラとかきついノルマがあるんじゃない?」という印象が少しでもあると、すぐに候補から外されてしまいます。

【実例】

B社(中小企業)は以前、給与テーブルを引き上げて「これで若い人が来てくれるはず!」と期待していたのに、まったく応募が来なかったそうです。

後からわかったのは、過去に入社した若手がSNSで「上司が細かいことで怒鳴る」「完全な縦社会で意見を言いづらい」といった不満を書き込んでいたこと。

企業研究をした学生からは敬遠される要因になっていたのです。
B社は慌てて社内の風通しを改善し、若手からの意見を取り入れる努力を始めました。


2. 情報発信不足が招く「知られていない」という問題

①若手が応募以前に“存在を知らない”

どんなに素晴らしい企業文化や事業内容があっても、そもそも「企業の存在を若い人が知らない」状態では応募には繋がりません。

大手企業や名前の通った有名企業なら自然と知名度があるかもしれませんが、中小企業や地方企業の多くは、名前を見たときに「どんな会社なんだろう?」とイメージが湧かないのが現実です。

【実例】

C社は、地方で農産物の加工を行う老舗企業。
品質の高い商品を作り、地元では有名でしたが、大学生や若い人からすると聞いたことがない社名でした。そこでC社はSNSやYouTubeを活用し、製造現場の動画や若手社員のインタビューを公開。

すると「この会社、結構面白そうだな」と興味を持つ学生が増え、応募者が一気に増加したそうです。

② 「魅力の伝え方」がそもそも弱い

せっかく募集要項を出しても、「必須スキル」「仕事内容」の羅列だけでは若い人に魅力が伝わりません。

彼らが求めているのは、“自分がそこで働くことで得られる体験”です。
職場の雰囲気、具体的な業務フロー、社員の声など、リアルな情報が不足しているとイメージが湧かず、「ここで働くとどんな未来があるの?」と疑問を持ったままになりがちです。

【実例】

D社は自社サイトの採用ページを徹底的にリニューアル。
若手社員の一日を追ったブログ形式の記事や、仕事のやりがいを語る動画を載せるなど、具体的な情報発信に注力しました。

すると「実際に働くイメージが湧きやすい!」という声が集まり、若手からの応募が着実に増えていったそうです。


3. 社会や時代の流れが若い世代に与える影響

①働き方への価値観が変わってきている

若い世代は、バブル期や高度成長期の世代とはまったく異なる価値観を持っています。
終身雇用や年功序列を重んじるよりも、「自分に合った働き方」「自分のペース」を大切にする人が多いです。

特にZ世代などは、SNSなどで自由なライフスタイルを実践している人をたくさん見ているため、「仕事だけに縛られたくない」「プライベートも大切にしたい」と考えることが増えているようです。

【実例】

Eさん(大学生)は、長時間労働が当たり前のように語られる職場を敬遠しがち。
「がっつり残業しろと言われるより、定時に帰ってプライベートや自己啓発に時間を使える職場を探しているんです」。

それでも仕事が全く嫌いなわけではなく、「やりがいは求めるけど、私生活も充実させたい」というバランス重視の考え方を持つ若者が非常に増えています。

②“安定”の意味が変わってきている

かつては「大企業や公務員こそ安定」というイメージが強かったかもしれませんが、近年では組織の大小に関わらず事業環境が急変する時代でもあり、“自分のスキルで稼げるようになる”ことが安定だと考える若手も少なくありません。

すると、「この会社に入ったらどんなスキルが身につくのか?」「将来的に転職やフリーランスになっても活かせる経験はあるのか?」といった観点で企業を選ぶ人が増えてきます。

【実例】

F社(小さなITベンチャー)では、今どきの学生が最も興味を持つのは「この会社でどれくらい成長できるか」というポイントだと気づき、採用説明会では「新人でもプロジェクトリーダーに挑戦できる」「週に一度、スキルアップ勉強会を開催」など、“自分を磨ける環境”を前面に打ち出しました。

その結果、知名度は低くても「経験を積めるなら…」「成長できるなら…」と応募する学生が増えたそうです。


4. 企業側に求められるアクションは?

①若い人が感じるハードルを知り、取り除く

若い世代が「ここはちょっと合わなさそう」と感じるハードルには、以下のようなものが考えられます。

  • 企業文化が硬直していそう

  • 意見を言いづらい雰囲気がある

  • 残業が多くて休暇が取りにくい

  • 研修制度やサポート体制があまりなさそう

  • どんなスキルを得られるかが不透明

これらのハードルがあまりにも高いままだと、応募を検討する段階で「うーん、やめとこうかな…」となりがちです。

逆に言えば、これらの部分を丁寧に改善したり、きちんと情報発信でカバーしたりすれば、若手から魅力的な職場に映る可能性は高まります。

【実例】

G社は「若手の離職率が高い」という問題を抱えていました。
分析すると、「新人が何をやればいいのか分からないまま放置される」という実態が判明。

そこでOJT担当を明確に決め、新入社員1人ひとりに先輩がついてフォローする制度を設けたところ、次年度から離職率が大幅に低下。
しかも、新人がしっかり育つことで業績も伸びてきたそうです。

②企業情報を積極的に発信する

若い世代はインターネットやSNSで事前にしっかり企業研究をしています。つまり、「どんな会社なのか」「どんな働き方をしているのか」を企業側から積極的に発信しなければ、若い人の目に留まることすら難しい時代です。

リクナビやマイナビといった定番の就職サイトだけではなく、自社のホームページやSNSを通じて、職場の雰囲気や若手社員の声などをリアルに届ける工夫が求められます。

【実例】

H社は小規模なベンチャー企業ですが、毎週SNSで「社内勉強会の様子」「ランチタイムの写真」「社員が作ったプレゼン資料のスナップ」などをゆるく発信しています。

すると、そのSNSを見た学生が「この会社、堅苦しくなくて働きやすそう」「若手が結構自由にやってるな」と感じ、興味を持ってエントリーしてくれるケースが増えたそうです。

いわゆる“映え”を狙うのではなく、リアルな雰囲気が伝わるコンテンツが効果的だったとのこと。


5. 若い人が来ない最大の理由は「相互理解不足」にあるかも?

給与や待遇、知名度、企業文化…といろいろ列挙してきましたが、突き詰めると「相互理解不足」というキーワードに集約されるかもしれません。

企業側が「若い人はこうだろう」と思い込み、若い人側も「会社ってこういうものなんでしょ?」と勝手にイメージを固めてしまっていると、お互いが実際にコミュニケーションを取る前にチャンスを逃してしまうのです。

①企業説明会やインターンシップの活用

企業と若い人材との間に生じる“溝”を埋めるには、できるだけ早い段階で交流を増やすのが一番。

インターンシップや会社見学会を実施して、実際の職場環境や先輩社員との会話を体験してもらうと、若い人からすれば「ここって意外と雰囲気いいじゃん!」と感じるきっかけになるかもしれません。

逆に、「ちょっと合わないかも…」と思えば、ミスマッチを防いで早めに撤退できる利点もあります。

【実例】

I社(地方の製造業)は、地元の高校生向けに職場見学の機会を積極的に設けています。

見学のあとは若手社員との座談会を用意し、仕事のやりがいやしんどいところを正直に伝える場を作ったところ、「想像していた堅苦しさがなかった」「社長や社員の人柄が良かった」と好印象を持ってもらえることが増えました。

その後、実際に高校卒業後に入社を希望する若者がじわじわ増えているとのことです。

②双方向のコミュニケーションを重視

若い人との接点を作る際、企業が一方的に説明するだけでは意味がありません。

むしろ、「あなたはどんなことに興味があるの?」「どんな職場を理想としているの?」など、若い人が抱える希望や不安をしっかり聞き出すことこそ大切です。

その過程で、「実はこの会社なら、こういうキャリアパスができるかも」「こういう勉強をしたかったら、サポートできる制度があるよ」といった具体的な提案ができれば、グッと距離は縮まります。


6. さいごに

ここまで見てきたように、若い人が応募してこない理由は一つではありません。

給与や待遇だけが問題のときもあれば、社内文化や情報発信の不足が原因になることもあるし、そもそも会社の存在が知られていないというケースもあります。

また、若い世代の価値観自体が「安定=大企業」ではなく、「自分が成長できるかどうか」「プライベートとバランスが取れるか」といった別の軸で企業選びをしている場合も多いのです。

そこで重要なのは、まず企業側が「若い人たちがどんな気持ちで就職活動や転職活動をしているのか」を深く理解しようと努めること。

そして、その理解に基づいて、社内環境の整備や情報発信を見直すこと。
それによって若い人から「ここなら自分らしく働けそう!」と思ってもらい、さらに実際に入社してからも「イメージどおりで働きやすい!」と感じてもらえるような環境を作ることが、採用成功への近道になるでしょう。

最後に、一つだけ強調しておきたいのは、“若い人が応募しない=企業に魅力がない”とは限らないという点です。

むしろ、「企業の魅力を若い人にうまく伝えられていない」ことが原因かもしれません。

ここをクリアにできれば、「意外と面白い仕事ができるんだ」「自分の夢を叶えられるかも」と注目される可能性は十分にあります。


まとめ

  • 若い人は給与だけではなく、働きがいや成長、社内の風通しを重視している

  • 企業側の情報発信が不足していると、存在すら知られないまま候補外になってしまう

  • 若者の価値観やライフスタイルの変化を理解し、対応策を整えることが大切

  • 相互理解不足が最大の原因。インターンや見学会などで早期に交流を深めると効果的

  • 企業には魅力があるのに、それを適切に発信できていないケースが多い

企業としては「若い人が来ない!」と嘆く前に、一度自社の採用ページやSNS、求人票の書き方、社内の育成体制や雰囲気などを総点検してみてはいかがでしょうか。

意外な落とし穴が見つかるかもしれません。
そして、一つひとつを地道に改善していけば、きっと「お? この会社、気になるな」と思ってくれる若い人は増えていくはずです。

もし「うちは小規模だから無理だよ…」と尻込みしてしまうのであれば、もっとラフに情報発信をしてみるのもアリです。

社員の日常や職場の和気あいあいとした雰囲気をSNSで見せるだけでも、若い人からすると「あ、意外と面白そうな会社があるんだな」と思ってもらえます。

凝った動画やデザインでなくても、ちょっとした工夫で「リアルな会社の顔」が伝わることが大切なんです。

「若い人は応募してこない」という現象の裏には、多くの可能性と課題が隠れています。

そこをきちんと読み解いていけば、新たな打ち手はいくらでも出てくるはず。今回の記事が、少しでもそんな気づきのきっかけになればうれしいです。


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