
採用成功のカギは”給与”ではなく◯◯だった!
奥です。
日本国内の人材不足が叫ばれる今日、多くの企業が人材確保に苦戦しています。
特に中小企業やベンチャー企業にとっては、新卒から中途、さらにアルバイト・パートまで、あらゆる雇用形態での採用が非常に重要な課題です。
こうした状況の中、採用の成功を左右する要素として“給与”の額面がよく挙げられますが、実はそれ以上に重要なポイントが存在するのをご存じでしょうか?
地方の中小企業が企業が限られたリソースの中で、いかに優秀な人材を獲得し、さらに長期的な活躍を促せるかを考えるうえで、参考になる内容になておりますのでぜひ参考にしてください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
1. なぜ“給与”は採用成功の絶対条件ではないのか
まずは「採用における給与の役割」について整理しましょう。
確かに、求職者が最初に目を引く条件の一つが給与であることは間違いありません。
しかし、それが決定的な要因になるかどうかは、職種や年齢層、働き方の志向性などによって大きく異なります。
たとえば、下記のような傾向が見られます。
若手人材:給与よりも成長機会や職場環境を重視する傾向が強い
ミドル層(30代〜40代):給与も重視するが、キャリアアップやワークライフバランス、家族との時間も大事
シニア層:定年後再就職の場合は生きがいを重視するケースも多い
また、求職者が複数の企業から内定を得た場合、ほんの数万円の差で決定することもあれば、社風や仕事のやりがいが決め手になることもあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
2. “給与”以上に大切な◯◯とは?
では、今回のテーマである「給与以上に採用成功を左右するポイント」とは何でしょうか?
さまざまな考え方がありますが、多くの人事担当者や経営者の声を総合すると、その要素として次のようなキーワードが挙がります。
ビジョンや理念への共感
仕事を通じた自己実現や成長機会
社内のコミュニケーションや人間関係の良さ
これらを総括すると、要するに「企業の魅力(独自性や人間関係、風土)」と「個人のキャリア観や価値観」が合致しているかどうかが大きなカギとなるということです。
単にお金だけでなく、人生観や働き方の哲学レベルで“この会社で働きたい”と思わせる"何か"が必要なのです。
そこで、採用に成功している多くの企業では「自社のミッションやビジョンを明確に発信する」「社内文化や働き方をリアルに見せる」といった取り組みを強化しています。
採用ページや説明会、さらにはSNSなどを活用し、どのような人材が活躍しているのか、なぜその会社で働くことが面白いのかを具体的に伝えることで、給与面だけでは伝えきれない魅力をアピールするわけです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
3. 実例1:ビジョンに共感した社員が会社を救う
①地方ベンチャー企業の成功譚
たとえば、ある地方で農業用ドローンを開発しているベンチャー企業A社の例をご紹介しましょう。
A社はまだ創業5年ほどで、資金力も大手には及びません。
そのため、給与水準では大企業や都市部の同業他社に勝てる見込みはほぼゼロでした。
しかしA社には「地域の農業をテクノロジーで変革したい」という強いビジョンがありました。
そして、そのビジョンに共感した若いエンジニアやデザイナーが集まり、給与額面ではなく“地方の課題を解決する”というやりがいを求めて入社しました。
結果的にA社は、優秀なメンバーを集めることに成功し、実際の製品やサービスも高く評価されるようになりました。
給与は決して高くなかったものの、社員は「自分たちの手で地方の農業をアップデートしている」という手応えを感じながら働くことで、高いモチベーションを維持。
さらに、その熱意が外部からの投資を呼び、成長資金を得ることで後から社員の待遇面も徐々に改善していくという好循環が生まれたのです。
これこそ、ビジョンや理念に共感した人材が会社の未来を切り開いた好例と言えます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
4. 実例2:社内コミュニケーションと柔軟な働き方で採用力UP
①従業員満足度を高めたIT企業B社
次に紹介するのは、都市部にあるIT企業B社のケースです。B社は企業向けのシステム開発を行っていますが、競合他社が多いため、エンジニア人材の確保が死活問題でした。
そこでB社が注目したのが「社内コミュニケーション」や「柔軟な働き方」の魅力化です。
具体的には、社内の風通しを良くするために以下のような取り組みを行いました。
フラットな組織構造:役職の上下関係よりもプロジェクト単位での連携を重視
リモートワークやフレックス制度:家庭の事情やプライベートを考慮した柔軟な働き方
定期的な社内イベント:オンライン・オフライン含めた勉強会やランチ会などで社員同士の交流を促進
これらの取り組みを採用サイトやSNSで発信し、社員のリアルな声を含めて積極的に情報を開示しました。
その結果、「自分のライフスタイルに合った働き方ができる」「風通しのいい職場で、人間関係のストレスが少ない」という評判が広がり、給与面以上に働きやすさを求めるエンジニアの応募が増加。
離職率も下がり、結果的に採用コストの削減にも成功しました。
この事例からわかるように、会社の雰囲気や制度、文化を“魅力”として打ち出すことは、求職者にとって大きなアピールポイントになります。
現代の働き手は、ただ高い給与を得るだけでなく、自分のライフスタイルや価値観に合った職場を探しているケースが増えているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
5. ◯◯を高めるための具体策
ここからは、企業が“給与”以上に大切な◯◯、つまりビジョンへの共感や社内文化の魅力を高めるために実践できるポイントをご紹介します。
①自社の理念・ビジョンを言語化し、共有する
経営者やリーダーが明確に発信:言葉だけではなく、具体的な行動やプロジェクトで示す。
社員を巻き込む:定期的にミーティングやワークショップを行い、“なぜこの仕事をしているのか”を再確認する機会を設ける。
ストーリーを大切に:会社が目指す未来像や、そこに至るまでのストーリーを語り、社員や求職者に共感を促す。
②社内環境とコミュニケーションの改善
風通しの良い職場づくり:個人のアイデアを歓迎する文化や、失敗を責めない風土を醸成する。
多様な働き方を許容:リモートワークや時短勤務など、社員のライフステージに合わせた柔軟な制度を設計する。
相互理解の場を設ける:チームビルディングのための合宿や懇親会、オンラインランチなどで社員同士の距離を縮める。
③社員の“やりがい”を育む制度
キャリアパスの見える化:社内でどのように成長していけるのかを明確に示す。
成果の可視化と評価:給与アップのみならず、社内表彰やスキルアップ支援制度などを充実させる。
自己啓発サポート:セミナーや研修参加の費用を負担する、資格取得を支援するなど、社員の成長意欲を後押し。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
6. 実例3:数値的に見えてきた“給与”以上の魅力
①小規模事業所C社の調査データ
ある小規模事業所C社では、自社で働く社員50名に対し、匿名アンケートを行いました。
「もし同じ職種で、今より年収が50万円高い企業からスカウトが来た場合、転職したいと思うか?」という質問に対して、実に70%以上の社員が「転職は考えない」と回答しました。
その理由として最も多かったのが、「今の職場の人間関係や社風が好きだから」という回答でした。
次いで多かったのが「仕事を通じて成長できる実感がある」という理由です。
C社の給与水準は業界標準かそれよりわずかに低い程度ですが、社員が会社に定着し、かつモチベーションを高く保っているのは、このような定性的要因が強く働いているからなのです。
この調査結果は多くの経営者や人事担当者にとって興味深いデータと言えるでしょう。
給与条件が改善されるという魅力があっても、社風ややりがいが勝るならば、人材は簡単に離れていかない。
むしろ離職防止やロイヤリティ向上のためには、“給与”だけに頼らず、組織文化やビジョンをしっかりと育むことが重要だとわかります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
7. まとめ:採用成功のカギは“給与”だけにあらず
ここまで、3つの実例を通じて「採用成功のカギは“給与”ではなく◯◯だった!」というテーマを掘り下げてきました。実例から見えてくるポイントは、以下のとおりです。
給与以上に大切なのはビジョンや価値観への共感:会社が何を目指し、どんな未来を創りたいのかを明確にし、その思いに共鳴してくれる人材を採用する。
コミュニケーションと働き方の魅力:オープンな社内文化や柔軟な勤務形態は、求職者にとって大きなアピールポイントになる。
やりがいや成長機会の提供:社員が自己実現を感じながら働けるように、スキルアップやキャリアアップの制度を充実させる。
もちろん、給与がまったく関係ないわけではありません。
しかし、ただ高い給与を提示しても、長期的に人材が活躍し続ける保証にはなりにくいのが現実です。
むしろ、“給与”以外の要素をしっかりと整備し、社内外に発信することで、企業は「自社にマッチした優秀な人材」を引き寄せることができます。
今後、人口減少や国際競争の激化など、企業を取り巻く環境はさらに厳しくなると予想されます。
その中で生き残り、成長していくためには、社員一人ひとりのモチベーションと能力を最大限に引き出す組織づくりが必須です。
その出発点となるのが採用活動であり、そこでは“給与”以上に大切な◯◯を理解し、実践に移すことこそが最大のカギとなるでしょう。
最後に改めて、本記事のタイトルを振り返ってみましょう。
『採用成功のカギは“給与”ではなく◯◯だった!』――あなたの会社にとって、その◯◯は何でしょうか?
企業の理念やビジョン、社内文化、あるいは社員が自由に挑戦できる環境かもしれません。
ぜひ、自社が持つ独自の強みを見つめ直し、求職者に伝わるかたちでアピールしてみてください。
きっと、給与以上の魅力に惹かれて、あなたの会社に入りたい!という人材が現れるはずです。