宗教の代わりに何をなすべきか?No.8 法華経の「変成男子」は「女人成仏」ではない。
創価学会の婦人部は、ひたすら献身的に、熱心に布教活動や選挙運動をして、実行部隊の中心勢力として、組織を支えていることは有名です。その熱意の根源になっているのが、法華経の提婆達多品に説かれる「女人成仏」の教えと推察されます。
かいつまんで書けば、サーガラ竜王の娘(龍女)は、悟りを開こうと幾万刧(刧とは宇宙の始まりから終わりまでの時間)もの長い間、熱心に修行し、計り知れぬほどの理知をもっていたと言われます。
しかし、居並ぶ長老たちは、どんなに修行しても女性は成仏出来ないと、決めつけます。
しかし、そのような決め付けにひるまない龍女は、世尊(仏)に三千世界(宇宙)の価値に匹敵するような宝珠を寄進し、世尊はそれをすみやかに嘉納します。
すると衆人環視の中で、龍女の股間から男性器が生えてきて、龍女はたちまち男子に変成したと語られます。
男子に変成した龍女は、菩薩行を行い、あちらこちらに赴き、成仏して法を説き、人々は喜んでそれを受け入れ、敬礼したと説かれます。だから女人でも成仏できると言うのです。
ここで明らかなように、龍女は女性のままで、女性として成仏したのではなく、男性器が生えてきて、男性として成仏したのです。考えようによっては、これほど女性を侮辱する話しは有りません。
このようなトンデモナイ空想話しにどれほどの価値が有るのでしょうか?
女性抑圧、差別の問題は、人類の長いあいだの歴史的過程の中で出てきた問題です。もともとの自然的状態の中では、女性も男性も自然的な生理的役割を果たして、協力しあって生きてきたのでしょう。むしろ女性の方が生まれてきた子供が明確に自分の子と分かり、一族の中では尊重されていたと思われます。母系社会が普通にあり、「原初女性は太陽であった」のとおりです。
しかし農耕の発達、生産力の増大により、私有財産ができ、富める者と貧しいものの分裂と階級社会成立、やがては王や支配階級ができて来ると、より多くの富を求め縄張りを巡って戦争が頻発します。
相対的に身体が大きく体力、軍事力、戦闘力が強い男性が優位に立ち、権力を握り、女性を性奴隷化し、後宮やハーレムをつくり、あるいは妾や売春制度をつくります。女性は跡継ぎを産むための道具に貶められた感も有ります。
そういう経済的・物質的土台の中で、女性は自己決定権を奪われ、政治にも参画できず、差別され続けてきたものと思われます。
女性への抑圧が、その社会全体の抑圧のバロメーターとも言えます。
そういう歴史的経緯を踏まえて、社会全体の階級社会、支配抑圧や収奪を無くしていく全体の運動の中で、女性自ら女性の解放を実現しくことが重要であるでしょう。
法華経のように、「女性の股間から男性器が生えてきて、男になれるから、女性も成仏できるのだ」などと説くことは、女性がそのままで成仏(現代的に言えば、つまり解放)することを否定し、女性を蔑視するものであり、全くトンデモナイ愚論と言わざるを得ません。
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