報酬10倍振込み事件

何も振り込め詐欺の話をしたいのではない。

また、私が詐欺をしたという話でもない。

年末も押し迫るある日のこと。
あるクライアントからのその月の報酬支払日を迎えていた。

いつものようにネットバンキングをスマホで見ると、なんだか違和感があった。

あれ? 今月は1万円程だったはずだけど

残高が10万に増えているな(ニヤケ顔)

そのクライアントは報酬振込を一桁多く振り込んでしまっていたのだった。

その日は会社の日だったのでそのまま出勤し、連絡を待ったが連絡がない。
仕事納めも近いということもあり忙しいのだろうと推測したが、やはり落ち着かなかった。

それは、陳腐な使い古された言い方だが、天使と悪魔が戦っていたのだ。

天使「相手の会計担当者が間違えたんだよ。これを言わなかったら、これからの信用問題になるよ」

悪魔「こんなクライアントは他にもいっぱいいる。また探せばいいじゃないか。それよりもこの金で...」

悪魔がほくそ笑む。

そうだよ。ちょうど欲しかったsurface goがこの金で...

私の気持ちは悪魔になびきかけていた。

待てよ。

冷静になって考えてみろ。
請求書も送っていて、振込の事実もある。
客観的に見れば間違って振り込まれたのを黙っていた事実が残るじゃないか。

この葛藤の末、私は普段しない電話連絡をして間違って振り込まれていたお金を返金し、正規の報酬をもらった。

ちょっとだけ残念な気持ちとともに、スッキリした気持ちがあった。

約半日の葛藤だったが、自分には悪いことはできないんだなと実感できた事件だった。

仮に振り込め詐欺を自分がしていたとして、その金額が増えていくのを見ても、おそらくは気分が悪くなっていくのだろうということを疑似体験できた。

今回の事件は大きかった。

そのクライアントの会計担当者に、いい素材を提供してもらい、感謝したい気分だ。
正々堂々とするのが性に合っているのかもしれない。

このエントリーの最後に、いつものように小さいことを言います。

それは

返金時の振込手数料分の仕事は回してくださいね。

お金に関する小さなことが気になる限り、私は会計担当者のほうが向いているのかもしれない。

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