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言葉は、ラブレター

言葉は贈り物。
言葉があるから、誰かに何かを伝えられる。

言葉はもともと、「コミュニケーション」目的で発達したもの。

孔雀が羽広げるとか、ハチがダンスで花のありかを教えるのと同じ、
「他者に何かを伝える」ための合図の一つなんだよね。

心理学、哲学の世界の話をすると、
木が倒れても、その木が倒れた音を聞く鼓膜がなければ(音の震動は、壁にぶつかって初めて音になる。鼓膜とかね)、と音を音として認知するものはない。
だから、誰も何もいない森で、木が倒れても「音はしない」とされるんです。

つまり、「認知されて、初めて存在する」ってこと。

これは、言葉も同じ。
「相手がいて初めて、存在できる。」

ラブレターだって、「誰かに届けよう」と思って書くじゃん。
結局、出さない時もあるけどさ。
(私なんて、出さなかったラブレターがすごい量あるけど。笑)



自分発で、「誰かに」「何かを」届けるって、日本人は考えてない


中学で、幼児向けじゃない作詞作曲を初めてした時から、
無意識に「誰か」に「何か」を伝えようとしてた。
(当時は自問自答だったから、自己完結してて発表しなかったけど)

「誰か」に「何か」を伝えるって、日本人は案外やってないよね。
小学校の作文なんて、道徳の延長だしさ。

「言いたいこと」じゃなくて「これを書いたら評価される」ことを書けば、
成績は高いし、褒められるしで、
本当に思ったことを言う気なんてサラサラなかったし。笑

そもそも、「誰かに」「何かを」言うって、根底に思いがないといけないわけ。
フロイトの、氷山から突き出た部分が言葉で、下に大きな思いがあるのよ。

「あいつに言いたいこと」がたまり溜まって、
ついに、口から出ちゃうのが言葉なのよ。



「たった一人に届けたい言葉」

皆に向かって言っても、心を動かせることはある。
実際、ヒトラーの演説とかで、何十万人は心を震わせたわけだし。(良い悪いではなく)

でも、総体として言われて、熱狂する人って少ない。

ライブのMCでも、「皆がいたからここまで来られました」って言った後に、
「だから、もっとお前らの声を聞かせてくれよ!」とか言うしさ。
(日本人のライブだったけど、それを聞いて、
 無意識だろうけど上手だなと思ったよね笑)

相手の心が動くのは、やっぱり「総体」ではなく、「個人」に呼び掛けた時なわけね。

過去の自分、過去の自分に似たような人でも良いんだけど、
「あの人に言いたい」が積もり積もって言葉になるんです。

言葉の目的は「気付いてもらうこと」

実際、言ったところで、相手がどう反応するかを全てはわからない。

セールスレターには「最後には、こう反応させたい」って答えが明確にあるけど、
最後以外は、ほとんどの言葉と同じように、ひたすら
「疑問を投げかける」が目的だし。


誰かが、その言葉を聞いて、

「間違ってた」
「自分はこれで良いんだ」
「その言葉を聞くまで、それについて考えたことがなかった」

みたいな、「何かに気付くきっかけ」になる。
それが、現代の言葉の大きな役割の一つだと思う。


「たった一人に届けたい言葉」は、
たった一人に気付いて欲しい思いでもある。


言葉の力は、本当にすごいんだよ。
誰かを絶望の淵から救ったり、
逆に誰かを絶望の淵に追いやったりできる。(しないけど)


だから、自分のためだけに文章を書いている人以外は
「届けたい相手」と「届けたいこと」を明確にすることが大事。

言葉は、ラブレターですからね!

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麻生さいかについて

「書いても書かなくても良い出版社」
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