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私とa flood of circleのあゆみ

巷では、大人気ロックンロールバンドa flood of circleとの出会いを紹介することが流行っているようです。
私もフラッドを知って今年でちょうど10年。出会った日のことや、初めてライブに行った日のことを思い出してみようと思います。

さいけ少女は学生の頃から浅い邦楽ファンだった。ジャキジャキしたうるさい音楽が好きだけど、どっちかというとバンドよりも漫画やアニメ、ボーカロイドとかのほうが好きな、まじでどこにでもいるちょっとインターネットが好きな学生だった。

  4人体制の頃のソリッドなandropが大好き

高校を卒業する前の自由登校の期間に、今も仲良しの親友にandropのライブに連れて行ってもらったのがきっかけでライブの楽しさに目覚める。(親友ありがとう、おかげで今この人生です)社会人になったタイミングでもあり、就職した会社が事務所でずっとZIP-FMをかけていて、使えるお金に余裕もできて、ラジオで流れていた良さげなバンドをディグって色々聴き始めた頃だった。サカスプとか行って小さい箱への入り方も覚えて、「あたし、バンド好きですけど?」とドヤ顔していた、そういう時期。(今思うとマジで恥ずい)

その時が来たのは、2013年の秋ごろ。
元々絵を描いたり、人の描いた絵を見ることが好きで、当時はまだそれほど沢山はいなかったバンドのFAをツイッターで夜な夜な検索しており、その中にほんの少しだけフラッドの絵を描いてる方がいた。「革ジャンとイケメンと網タイツの人がいるんだ」と思って興味本位でDancing ZombiezのMVを見た。

  グロテスクな表現が苦手な方は視聴を控えることが推奨されているMV

最初の感想は「うわっ、すごい声だな…」だった。易しい音楽に甘やかされた少女の耳には少し刺激が強かった。楽器の音も全部攻撃的だ。なんか最後にボーカルがゾンビに食われててビビった。
それだけなら「うるさかったな…もう聴かねっ」となっていた可能性すらある。だけど、網タイツの美女が軽快なステップを踏んでいるのに釘付けになった。さいけはバイオハザードのアリスみたいな、美しくて強い女性が昔から好きだった。Bメロの「お、お、お」の部分のステップ、もう一回見たい…。てか男の子たちに混じってこのゴリゴリサウンド弾いてるのかっこよすぎ…、リピってたらあの声とビートが脳から離れなくなった。仕事中に何度も思い出し、気が狂いそうになりながらTSUTAYAに駆け込んでCDを借りたのがPARADOX PARADE、ZOOMANITY、LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL、I'M FREEだった。

  名盤中の名盤

世界が輝き始めた。
正確に言うと世界はめちゃくちゃ汚くてつらいけどその中に光っているものを見つける力を佐々木亮介の歌声、メロディ、歌詞は与えてくれた。
(めちゃくちゃクサいけど本当にそう思ったし、今でもそう思わせてくれる。)

  これも名盤だよなあ(名盤bot)

本格的に好きだと確信したのはコインランドリー・ブルースを聴いた時だった。朝早くに家族を駅まで送り届けた帰り、車の中で聴いていた。朝焼けの街の光景と、悲痛な歌声。明るいロックが好きだった二十歳そこそこの私はこれを聴いて衝撃を受けた。ゾンビ、歩き回っちゃうもんね🎶と歌っていた同じ人が、沸々と、悲しみを歌っている…
私はオタク気質なので、同時期にフラッドのことを色々調べてインターネットの端っこに落ちてたインタビューの記事とか古いブログとかを読んだ。そこでコインランドリー・ブルース(というか佐々木さんが書く多くの曲)は殆どが実体験から出来ていることも推察できた。いなくなってしまったメンバーを、失った悲しみとやるせなさを歌った曲。「そんな…」て言いながら打ちひしがれて床に大の字になったりした。それがわかってからはもう戻れないところまで来ていた。
聴く曲全部が、佐々木亮介という人間の生き様そのものだった。歌詞もギターもドラムもベースも全部。
この人は自分の言葉で本当のことしか歌わなくて、だから説得力がある。心に突き刺さる。そして私の中に存在していた「怒り」「悲しみ」「やるせなさ」「感動」「一生懸命生きる」これらの気持ちを浮き彫りにされたみたいで、ハマると言うより、やっと出会えたような感覚だった。

次名古屋に来たら絶対ライブ行こうと思ってるうちに長くサポートギターをしていたお兄さんが刺青バキバキのイカチーギタリストに選手交代した。(曽根さんとニアミスしたことはずっと後悔している)

  初めてリアルタイムで購入した、私にとってとても特別なアルバムだ

2014年11月にGOLDEN TIMEが発売された。イカチーギタリストのいるフラッドのアー写は強者(つわもの)の集団だった。(でもあの時の佐々木さんとなべちゃんが今の自分より年下と思うと可愛くてウケます)イカチーギタリスト、もといデュランは今まで聴いたどんなバンドより強くて重くて切れ味がすごいギターを弾いていて、何よりそのギターに触発されたかのような他メンバーの気迫までディスク越しに伝わってくる。ボーッとしてたら怪我をしそうだった。ゴールデンタイムを初めて聴いた時、すべての曲で「わあああああ!!!!!」って叫んでなんとか耐えてた。フラッドのアルバムを全部闘技場みたいなところにぶち込んで戦わせたら最終的にズーマニとゴールデンタイムの一騎打ちになり、僅差でゴールデンタイムが勝つと今でも思っている。(※個人の感想です)

ほぼ同時にアルバムツアーも発表された。名古屋は土曜日、ダイアモンドホール、行ける…!!!激しいフロアは怖かったけど即チケットを取った。どうしても近くであのバンドを見たかった。
着ていくTシャツがなくてユニゾンのTシャツを着ていった。(初心者丸出し)
2015年2月28日。凍えるように寒い日だったのに、ダイアモンドホールを出た私は汗と涙でビショビショになっていた。

  まだ音源を持っていなくてライブで初めて聴いた大好きな思い出の曲

脇目も振らずめちゃくちゃになってしまったライブは、同時期にハマっていたTHE BAWDIESとフラッドだけだった。
多くの邦楽のライブには「サビや、来るべきタイミングで、手を上げましょう。静かな曲は手を挙げずに聴き入るのがマナーです。みんなと違うタイミングで手を挙げることや、人と違う踊りをすることは恥ずかしいことです。」みたいな暗黙の風潮を感じていた。(そんなものはないのだが日本人の国民性がそうさせてしまってることはきっとあると思う)
フラッドのライブには、それが、まっっったくなかった。好きなタイミングで手を挙げ、好きなリズムを見つけてそれにのる。好きな曲を自分の好きなように楽しむことが許されていたし、みんなステージと自分の踊りに夢中で誰も他人のことなんか見ていなかった。なのに自分勝手な人はほとんどいなくて、それはみんなフラッドが大好きで愛しているからだというのはすぐにわかった。
ライブ中はライブのことしか考えられない。それがどれだけ楽しいことか、私は知ってしまった。

あの頃の佐々木さんはガリガリに痩せていて(今も細いけど)、鬼太郎みたいに前髪で片目を隠していた。一般的に言ったら全然イケメンとかではない。でもステージ上で声を張り、グレッチを掻き鳴らす佐々木さんは今まで見てきたどんな人間よりもかっこよかった。激しいアクションでボルドーの革ジャンが翻って、見えた裏地のチェック柄が可愛らしかった。
姐さんは今じゃ考えられないほど露出の多い衣装で(黒いチューブトップ+赤のミニスカにお花みたいな柄のタイツ)でも全然いやらしくなくて、白い肌とツヤツヤの髪が本当にステージ上で発光していて眩しかった。夢にまで見たあのステップ。美しくてかわいくて一瞬で虜になった。
なべちゃんの記憶はあんまりない。(記憶のキャパの限界を超えた)なんか金髪に近いモジャモジャでタンクトップ着てて今よりかなりチャラくて佐々木さんとの対比がすごかった。月と太陽じゃん。(今もそうだよ)(?)
デュランはいかつくてギターはもちろんだけどコーラスの歌が上手すぎて、誰もこいつに勝てんやろ。と思っていた。(ツアーが終わったら脱退しててあまりのスピードに驚く暇もなかった)(今となっては大爆笑案件)

  家訓

そこからは怒涛のフラッド追っかけ人生の始まりである。
それまで遠征なんてほとんどしたことない私が様々な交通手段を駆使して西へ東へ奔走しては感情をめちゃくちゃにして帰ってくるさまは異様だったと思うし、普通に親には呆れられた(わかる)。そこまでするほどに、見られるチャンスは出来るだけ取りこぼしたくなかった。
「歌ってくれロックンロールバンド 今日が最後かもしれない」←フラッドファンが家訓のように反芻している歌詞だけれどたくさんの別れを経験してきた佐々木さんが歌うと本当に説得力が違くて、その言葉に取り憑かれたみたいにフラッドばかり観た。
そして副産物としてメンタルが驚くほど強くなった。元々お気楽な性格だけど、やはり社会に出ると自分のキャパシティに見合わないことをしなければいけなかったり、それが祟ってミスしたり、理不尽に怒られたりする。法定速度で走ってんのに追い抜きされるし。(あれマジでなんなん?)そんなときも心の中に棲んでいるイマジナリー佐々木亮介が上司、およびムカつきの対象に向かって中指を立ててくれる。(反省しろ)
ライブの前の日の仕事は「これが終わったら佐々木」で頑張れたし、ライブ後のつらい労働は「ま、私は佐々木を浴びた人間なので…」で乗り切れた。

  人生のピークが動画として世界中に発信されています。現代に生まれてよかった。

2018年2月17日、2年ほどサポートを勤めたアオキテツが正式加入した。
経緯はインターネットにたくさん書いてあるので私が言うまでもないですが、デュランが抜けてからテツが入るまで、楽しかったけど本当に長い長い辛抱の日々だった。
テツの加入が発表されたその日、私もO-EASTにいて、ありえんほど泣いた。待ち望んだ4人のa flood of circle。フロアを出て階段に新しいアー写が張り巡らされていてまた泣いた。

タイトル『情緒』

上手のギタリストは佐々木さんの片腕。何度も何度も何度も何度も腕を失ってボロボロになって、でも止まれないと転がり続けてきた佐々木さんがやっと、「フラッドに骨を埋める」覚悟のできたギタリストを手に入れたんだ!!!
夜行バスに遅刻しそうになり、夜中の東京駅をベストライドを歌いながら爆走した。(不審者すぎ)(てか5分弱遅刻したのに待っててくれてた。本当にご迷惑をおかけしました。)息が上がったまま座席に着いて、ウォークマンのシャッフル再生を開始したらDreamers Songが流れ出した。

ウォークマンの中に片平実住んどる?

バスの中で嗚咽を押し殺して泣いた。泣きすぎ。
今までの人生で一番最高な日は?て聞かれたらまだ全然2018年2月17日と答えられる。

そこからフラッドファンにさらに拍車がかかったと自覚しています。↑のテツ加入の3ヶ月後に当時大好きだったTHE PINBALLSとの対バンが決まって突然大分に飛ばされたり、その年はロッキンにも呼ばれて姐さんのステージ上衣装早着替え(伝説のパフォーマンス)を間近で見て本当にキャー‼️て黄色い声出したり。中津川もこの年にデビューしました。(日曜日のトリだったので終わって即宿帰って風呂入って寝て4時半に起きて岐阜から愛知の端までエクストリーム出勤したのもいい思い出です。)自分の持てる、"若さ"という免罪符をフル活用して全力で駆け抜けた1年だった。代償に預金が尽きかけたりしました。でも後悔は微塵もしていません。

a flood of circleって少年漫画みたいなバンドだ。長期連載のやつ。ずっとハラハラドキドキして、頑張った分だけ嬉しいことがあって、その先をもっと見たくなる。
ボロボロになりながらも、仲間と力を合わせて転がり続ける主人公は色んなことを教えてくれる。

  「俺がいなくなっても明日はどうせ来るんだろう」

  「俺が死んでも変わることのない世界 知ってるよ、もう救いようがない」

https://youtu.be/zEcR2IXerA0?si=M_Mjyyh0hf9MTGM3

  「世界を塗り替えるんだ 今日こそ」

佐々木さんは絶対に自分の考えを押し付けない。私たちに何かを教えているつもりも全然ないと思う。ただ佐々木亮介を全力で生きてて、私たちには「好きにやれ、でも元気でいて」て言うだけ。あんなに激しい歌を歌うのに、優しいよな。
自分がいなくても変わらないと歌っていることが多いけど、それと同じくらい、「世界を変えてやる」と歌っている。そしてその言葉で本当に世界が変わってしまった人はきっと少なくない。
あんたのせいだ 何もかも捨てて俺はゴール狙ってる…(この前、別バンドのファンのフォロワーにフラッドのファンはすぐ歌うからすぐわかると言われました。気をつけます。)


そしてあの時、フラッドのファンアートを描いていた方。私とフラッドが出会うきっかけを作ってくださり、ありがとうございます。感謝してもしきれません。
私もファンアート(と呼べるほど立派なものではないけれど)を描いて載せるとき、心のどこかで私みたいに、誰かの何かのきっかけになったらいいなあと、淡い期待を込めてしまいます。
まあそんなことはオマケ程度で良くて、いつもツイッターや絵を見てくださっていいねって言ってくださるみなさま、本当に嬉しいです。俺にはもうこれしかないんだ(歌うな)

  人はいくつになっても髪をいろんな色にしていいし爪をキラキラにしてもいい

今年でフラッドを知ってちょうど10年。佐々木さんの見た目は随分と変わった。いたいけな少女だったさいけももうMISOJIMAEです。10年経ったらそりゃお互い色々あるよな。(誰?)
まあ俺たちの先頭にはHISAYO姐さんというロックンロール界を代表する素敵な美魔女がいるので何も怖くありません。嘘。今は税金の支払いと揚げ物食った後の胸焼けが怖い。佐々木さん、「胸焼けしてるお前もいいぜ」みたいな曲書いてくんないかな。(何を言ってる?)

出会いを書けと言っているのにめちゃくちゃ自分語りをしてしまいこのためにnoteまで登録しちゃったの後から絶対後悔しそう。中津川2023年が終わり年内のフラッドのライブ予定が暫定で無くて、気が触れそうなんで許してください。

最後に、こないだの中津川帰りの車の中でのフォロワーとの会話を書いてこの散文を結びたいと思います。

「佐々木亮介になりたい…」
「俺たちは!!!!佐々木亮介にはなれない!!!!!!」
「でも、佐々木亮介みたいに"自分でいる"ことはできる!!!!!!!!!!!」
「うおおおおおお!!!!」
「自分でいよう!!自分でいよう!!!」

     糸冬
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制作・著作
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