【ピアノ】
隅々まで、満ちる、満ちる、満ちる。
身体と空間は音に凌駕され、
自分はその
小さな小さな一部の塵。
圧倒的な存在の
大きさと繊細さに絡め取られて
もう逃げ場はどこにもない。
もうとっくに
余白はないのに、
絶え間なく、
降り注ぎ、浴びせられ
拾おうとすれば、零れて
追いかければ、散って
触れようとすれば、もう去って
捉えようとすれば、重なって
留めようとすれば、溢れて…………
思考は、
五感と理性を追い越して、
アンコントロールの
怖さと快感の
主導権を手放して、
響きと揺らぎの中に
ただただ、
入って
受けて
震わせて
浴びて
狂って…
また、
小さな小さな、
大きな一部の塵になる…
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