【すな】
ひとつひとつを
掴もうとすると出来なくて、
1度すくって、
ひとつひとつを捨てて、
やっと、ひとつが見えてくる。
*
何があろうと
微動だにしない
「ただそこに在る」だけの
岩石だった君。
度重なる雨風に
殴られ続け、
ついには離れ離れで、
小さな礫(へき)へ。
ついには、
頼る者もいなくなり、
水と重力の言われるまま、
破壊され続ける旅へ。
下流へ下流へと堕ち続け
その間もずっと
壊され削られ、
刷り減らされ、
永遠の混沌は続く。。。
*
個性も何もなくなって
見分けも付かないほどになくなって
目指す場所もゴールもなくて
あの子と くっ付いても一瞬でバラバラ。
ずっと そこにしか 居れなくて
でも、
ずっと そこには 居られなくて。
でも、だから…
一緒にいられて
寄り添えて
どこにだって軽やかに行けて
どんな形にだってなれて
どんな風にも吹かれるまで軽くなって
ただただ委ねて。。。
*
こんなに削られて
こんなに傷つけられて
こんなに奪われ続けても
微動だにせず
「ただそこに在る」。
最初から最後まで、
ずっと 変わらないもの。
いくら形が変わっても
変わらないもの。
それは、見えないけれど
確かにあるもの。
*
この一粒に
壮大で永遠が見える奇跡。
この一粒が
果てしなく無限に拡がる砂浜に
私が今、立っている奇跡。
奇跡はいつも目の前に。。。