【Eden ~Lemuriaの記憶~】
この遠い記憶は
確かに、海の中…
まだ身体に残って
今も尚、引っ張られるこの痛みは
確かに、人魚のとき…
身体に残る
この絶望と孤独と混乱は
確かに、レムリアの とき の
あれ…
確かに、
今、生きてるこの時代は
もう、赦されているはずなのに、
その時代を
確かに、
今、生きているはずなのに…
私は、未だに
実感できないままでいる。
何が起きたのか
何があったのか
何が苦しいのか
何を感じているのか
何を叫びたいのか…
*
あの衝撃から、
奥へ奥へと
脆い記憶の糸を辿ってみる。
陸海空の情報伝達
マーメイドサイキック
蒼いクリスタル
レムリア人狩り
人魚の涙
アトランティス戦争
水爆…
*
私は、夜になると
いつもの様に海辺まで泳いで、
鰭だった下半身から脚を生やし、
大切なあの人の元へ走っていく。
人魚は、
陸海空の情報伝達を担っていたから、
脚も羽も含めて、自由自在に
身体の形を変える事も
難しくはなかった。
地上にある
あの場所は、
私にとって
とてもとても
大切で尊い楽園だった。
安らぎと癒し。
歓びと美。
育みと絆。
優しさと包容。
強さと敬愛。
そこの全てが
夢の様に愛おしくて、
海や空の中にしかないと思っていた
開放的で伸びやかな呼吸が
ここでは充分に出来た。
あなたに海の世界の美しさを
見せてあげることが出来ないなら、
「同じ楽園をここに創ろう。」
あの約束の日から、
毎晩、欠かさずに通った。
当時、人魚との恋は珍しく、
それぞれの立場もあり、
まだ、公には出来ず
いつも内緒で通っていた。
わたしたちは、
お互いの力がとても必要で
素晴らしい影響を及ぼし合うことを
知っていた。
わたしたちの出会いは
この集落を発展させるのに
とても有益となった。
育んだ 繋がりと絆。
積み上げた 信頼と時間。
揺るぎない 安心と優しさ。
心地いい 美しさと歓び。
穏やかな 音色と豊かさ。
あなた という大きな大きな安心感の中で、
沢山のかわいい子どもたちに囲まれ、
心地のいい大地からのエネルギーと
穏やかで個性的な愛すべき人々、
神秘的で開放的な祈りと祭典の日常。
私は毎日、
ここの土地を、
ここの人々を心身ともに豊かにすることに
とても夢中になった。
それは、
与える喜びと
受け取る喜びが
暖かく循環してしていて、
どんどん拡大して溢れ返り
輝きしか見えない
満ち溢れた未来。
私は、幸せで幸せで
毎日、本当に満たされていた。
それが、私の築いた
楽園「アテリプル」。
あの時は、確か…
もう何日も海に帰ることができず、
この地上の楽園に留まっていた。
続く…