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時が意味をなくしても

もし、僕が不死身になったら
それは「時間が意味をなくすとき」だろう。

陽は昇り、沈む。
風は頬を撫で、花を散らす。
世界の針は進んでも
僕の針は止まり、無限の時間を
ただ手のひらに余らせる。

愛する人の涙も、
震える声で誓う言葉も、
「さよなら」の儚い響きさえも、
僕にとって、通り雨のように
過ぎ去ってしまうのだろうか。

君が微笑むたびに胸を打つその感覚も、
君の瞳に映る世界の輝きも、
いずれ薄れていくのだろうか。

僕は怖い。
終わりなき時間の中で、
すべてを失い続けることが。

不死鳥のような僕は、
永遠という名の孤独を背負いながら、
漂う霧の中で、自ら「終わり」を探す旅に出るのだろうか。
それとも、生きる意味さえ忘れてしまうのだろうか。

もし、不死身になったら
それでも僕はきっとまた君に恋をする。
何度も生まれ変わる君を見つけて、
初めて会うように心を奪われるだろう。
どれほど別れが苦しくたって
初めて触れた君の手の温もり、
初めて聞いた君の笑い声、
そのすべてがまた僕を燃やすだろう。

不死身であることよりも
時の中で消えてゆく君を、
こんなにも美しく感じるのは、
皮肉だろうか、
それとも、真理だろうか。

あとがき
テーマは「時間が意味をなくすとき」
時間が無限になってしまえば
人生の価値観はどれほど変わるのだろうか
不死鳥は生きることに疲れないのだろうか

時間は有限だからこそ
人生を終えるまで楽しんでおこう。

詩には何度でも君を見つけるとしたけれど
誰かを好きになることが
失ってしまうことが
怖くなってしまうかもしれない。

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SAI - 青の世界と物語
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