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君は舟であり、盾であり、風だった

影のように寄り添う君は
いつもそばにいるのに、
僕は顔を上げるたびに目をそらしてしまう。

見えないふりをして、
繕う笑顔を武器にして、
「邪魔だ」と君を見ようともしなかった。

それでも君はずっとそばにいて、
ひっそりとそこにいて、
僕が進むたびに足跡を埋めてくれた。

悲しみの波が押し寄せた夜、
君は小さな舟になり、
僕を静かな岸へ運んでくれた。

怒りに身を焦がした昼、
君は盾となり、
僕を守ってくれた。

孤独に泣いた朝、
君は静かに寄り添い、
涙を拭く風となった。

「役に立たない」と言われた君が、
実は僕のすべてを支えていた。

だから今日、君に感謝を伝えたい。
君がいたから、僕はここにいる。
役に立つかどうかなんて、
本当は関係ないのだと知ったから。

君の名前は――感情。
誰にも消せない、僕の中の真実。


あとがき
「効率的にもっと生産性をあげて」
これらのために、感情を押し殺して生きている人へ
感情を否定し、蓋をして生産性や効率を上げる。それでも、押し殺した感情は消えるわけではなく、心の奥で私たちを支え、気づきを与える力を持っている。


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SAI - 青の世界と物語
儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります