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儚くて美しい物語り

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儚くて美しい世界ってどうしてこんなに魅力的なんだろう。
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#自分らしく

赤い金魚と僕の物語り

風が止み、夕焼けが空を染める頃、静かな町の一角に佇む古びた家。 早くに両親を亡くし、姉は嫁ぎ、広い家にただ一人。生きるために生きている。三十路を目前にし、僕は考えることを諦めていたそんな人生について向き合っていた。金魚鉢の前に座り、水槽の中で穏やかに泳ぐ「金魚」に話しかけて。それは、投影していたのかもしれない。金魚鉢で飼いならされる金魚と僕を。 姪っ子がお祭りで手に入れたその金魚は、飼い猫を理由に僕のもとへと託された。とても小柄で泳ぎ方が少しだけ変な真っ赤な金魚。定期的に水

雲一点と鳥一羽

空を見上げれば 澄んだ青に浮かぶ雲が一つ その傍を羽ばたく鳥が一羽だけ 秋と冬の狭間に揺れる風が 頬をかすめるたびに 私の心は何かを見つけたように 静かにときめく 何もない空が語りかける 「ここにいるだけでいい」 鳥の羽音が奏でるように 「何も足さず、何も引かず」 ただそれだけで この日が少し特別に思えた 雲一点、鳥一羽 それだけで 季節の変わり目の不思議な魔法が 私の日常を彩る あとがき 秋と冬のはざまで 雲一つと鳥を一羽 ただそれだけが、なんとも美しく ただそ

心の温度差

寝てる間に息も、人生も、世界も そして心も停止しますように そう願わずにはいられない 息を止めてみる この世のつながりからの解放を祈って。 体の重みを全身に感じる 私は、世界で一番遅い速度で 目を閉じる そうすれば、おのずと人生も 止まっていくだろう とても辛い時間を乗り越えた先には 何が待っているのかなんてわからないけど ゆっくり幕を閉じるだろう そのまま、世界も止まってしまえばいいのに そうすれば、私が存在する意味も 何もかもが無になって 刹那的永遠を手にすることが

リアルvsバーチャル

晴れ渡る空を見ていても、やがて雲が覆い、日が沈む。 繰り返される毎日に、ふと思う。 「あぁ、なんで生きてるんだろう」って。 人生は、永遠にリピートされる再生リストのように、 同じ曲が流れ続けては、聞き飽きて苦しむ。 目を閉じて、ディスプレイの光が世界を包む。 触れられない風景と、指先で感じる温もり。 バーチャルの波間で、浮遊する。 ここでは何もかもが可能で、何もかもが不確か。 リアルは孤独と闘い バーチャルは言葉に浸る 知らない誰かの言葉が、僕の孤独を溶かしていくように。

今を咲かせて

「いつか笑える日が来るように」 そうあなたは私に言うけれど、 私には今、この足元の泥の中で 花を咲かせたいと願う瞬間がある。 未来の晴れ間を待つよりも、 今、この冷たい雨の中で私ができることを探したい。 重い雲の隙間に差し込む一筋の光を探すように、 その光がまだ見えなくても、今、ここで 濡れた頬を拭い、震える心を抱きしめて、 私の「今」をどうにかしたい。 止まない雨の音を聞きながら、 私はこの雨にどう立ち向かうかを考えている。 「いつか」は優しい慰めかもしれないけれど、

道なき森と僕らの物語

※物語は全て無料で読めます😊 木が生い茂り、来るものを拒む森。 ここは一体どこなんだろう。 どうして僕はこんなところにいるんだろう。 僕は何度も自分に問いかける。 足元の落ち葉を踏むたびに、 過去の誰かの冷たい言葉が、頭の中こだまする。 『君はいつも間違っているんだ』 『誰も君を必要としてない』と。 それらの言葉が、僕を森に引き戻し、 何度も何度も僕を傷つける 「こんな森にいる理由なんて、もうとっくに忘れてしまった。どこに行きたかったのかすら、忘れてしまったよ」 果て

¥100

隠された月光

「悩みとかなさそうだねー」あなたがそう言うので、僕は笑顔をもう一つ重ねる。 月が湖に映るように、僕の心の深さは隠されたまま。 「怒ったことある?」ありますよ、嵐のように。 でも、雨上がりの空のように、怒りが晴れたとき僕はまた新しい自分を見つけるんです。 「それ、楽しいの?」僕は楽しんでますよ、孤独な夜に月と対話しながら。 星々の囁きを聞きながら、自分自身と向き合う時間は、僕にとって最も貴重な宝物です。 いつだって笑っている僕を誰もが嘲笑う。軽い人生だと。 でも、彼らには

星に願いを

星に願いを込める少女がいました 少女は体が弱く、長い間家で過ごしていました。窓から外を見るとお友達が遊んでいる姿が見えるので、いつも夜だけ窓を開けました。そして、少女は願うのです「いつかお空に行けたら、お星さまとお友達になりたいな」 ある晩、いつものように窓辺に座って星を見上げていると、部屋が青緑の柔らかな光で満たされました。窓からその光が入ると、小さな星たちがふわりと現れ優しく少女に話しかけました。 「こんばんは、僕たちは星の世界から君を助けに来たよ。」 少女は驚きと

選ばれし者の物語

蝉の止まない鳴き声とベタつく汗を拭い、 夏休みという刹那の時間を古びた図書館で過ごす。 うるさい親も、泣き虫な妹もいない、 どこまでも静寂に浸るこの時間を、魔法の時間以外になんていえばいいんだろう。 図書館の一番奥、専門書が並ぶ棚に人差し指を添えて、 一冊ずつタイトルを読んでいく。 難しい本の中に一冊、埃にまみれた本を見つけた。 光を纏ったようなその本にそっと手を伸ばし、表紙をめくれば、 それは僕を異世界へと導く魔法の本だった。 現実の孤独と無力感に沈んでいた僕、 その本

意志の上を歩く

僕が行こうとする道は 砂利道でうまく歩けない 走ろうとしてもうまく走れなくて コケると涙が出るほど痛い なんでこんな道を選んじゃったんだろうって ふと周りを見ると みんなきれいな道や、抜け道や 川が流れてスイスイ行く人ばかりだった 僕だけが取り残されたようで 走れなくて歩きづらくて どこまでも続く砂利道は ゴールはないんじゃないかと思うほど 暗くて遠い道だった 進めど見えない先に嫌気がさして 回り道をしてみたら そこは、夏祭りの賑わいが広がっていた 僕は足元に咲く花を踏

透明な自由

山に咲く美しく儚い花、サンカヨウ。白い花を持ち雨露に濡れれば透明になる、とても神秘的な花。そんなサンカヨウのお話。 ある日、山の谷間にサンカヨウが静かに咲いていた。サンカヨウは自分の儚い命に疑問を持っていた。なぜ自分はこんなに短命で、透明になってしまうのだろうか?彼女はいつもこの問いに苦しんでいた。 その夜、山に雨が降り始めた。サンカヨウの白い花弁は、次第に透明になり、まるで存在を失ったかのように感じていた。そんな時、サンカヨウのそばを小さなイモリが通りかかった。黒い背中

青とプール

プールに足を浸して、水を揺らしてみた。 水面に反射する青い空がゆらゆらと揺れた。 いつか絵本で見た、遠い遠い美しい海に浮かんで、 海の青さと波の揺らめきに心を奪われたみたいに。 どれほど世界は広くて、 人はちっぽけなのか知ってみたい。 私はプールの中に入って、体を丸め浮かぶ。 息を止めて、目を閉じて。 暑い夏の日のプール 絵本の世界の大海を感じて。 息が途絶えるときには 思いっきり顔を出して 息を吸って 私は生きていると実感できるだろうか。 あとがき この詩は、プールで

深海の光

息継ぎを忘れた魚のように 尾びれを揺らして眠りにつきたい 忘れがちな記憶と生命力は 透けて見えなくなってしまっても それでいいんだ。 大人になろうとすればするほど 上手に泳げもしない私を、残酷で冷酷な目で見てくる。 見たかった風景は美しくて好きだけど 少し疲れた私は水面に浮上する。 そのことがとても虚しくて、悲しくて まるで売れ残りの魚のように息絶えるようだった。 「おはよ」って優しい色の海に言えなくなってからは 正解を探して、空を眺めている。 私の切り取った輝かしい過

呼吸法

ちょっとすみませんが 肺呼吸の仕方を教えてくれませんか 気になる人が病んでしまって様子を見に行きたいのです さすれば、私は自由に行き来が出来るのです それならば僕に エラ呼吸の仕方を伝授してもらえませんか 肺呼吸をしててもこの頃息がしづらいのです、せめて 僕は水中で生と死を感じることをしたいのです あとがき しんどくなったら、 エラ呼吸に変えて 静かに水中に漂いたい