溟龍討伐戦セクション1

翼竜につかまり、セリエナを発ち、丘珊瑚の台地に降り立った。普段よりも黒い雲が立ち込めている。

「お気をつけて」編纂者が声をかけた。

ライラは息を吸って、頷くとベースキャンプから下り、溟龍ーネロミェールの痕跡を探しに東側へ歩き始めた。導虫は青く光り、ツタのある崖に沿って進んでいく。スリンガーから杭を発射し、付近の楔虫に掴まり、崖を登った。その先には、再び崖がある。伸びたツタを掴んで上に登ると視界は開けた。大地を北に進むと、導虫は止まった。

彼らの付近には足跡があった。あまり見かけないものではあるが、それこそが断言できる理由となりえる。シンファが不安そうに、しかし意を決したそんな表情でライラを見つめた。

背後に気配を感じて、ライラは蒼火竜の槍を構える。

全身が紫や橙色に輝かせる溟龍の姿があった。それはまだこちらには気が付いていない。彼女は背後から龍へ槍をついた。

耳をつんざく咆哮にライラもシンファも耳を塞いだ。これを好機とみた龍は体を起こす。

「にゃうにゃ!」シンファの声にライラは盾を構える。直後に溟龍は水流ブレスを放った。一撃を防ぎ、反撃を試みるも、龍は体を退く。刹那、右腕で殴りかかってくる。それを再び防ぎ、反撃に一槍を穿つ。

龍には大したダメージにはなっていないようで、背後にいたシンファへ標的を変える。体を起こした龍は地面へ多くの水を吐く。被弾したライラとシンファは吹き飛ばされる。

直後に龍は追撃の準備を開始する。

「シンファ!こっちきて」

主の声にシンファはその後ろに身を隠した。大盾が水流を防ぐ。しかし、次に龍は飛び上がり、こちらを蹴りつける。ライラは付近に雷が停滞しているのを確認した。だが、その直後にそれは爆発し、彼女もシンファもまた弾き飛ばされた。

高台に落下したライラは立ち上がり、ネロミェールの背中に飛び乗った。龍も付近を飛び回る。持参したナイフで、ダメージを与え、ついには落下させた。ダウンした龍の頭を槍で突いた。起き上がり、息を整える龍へ追撃をすると、その体は大きく退く。

すぐにライラは龍の許へ走るが、溟龍の方が早く、正面に向かって横一線ブレスを吐いた。それは躱せたが、追撃の一直線に正面に吐かれたブレスには被弾。

態勢を立て直すライラの横で、龍は自身の足元へブレスを吐く。

ライラが再び龍の許へつくと、付近には水が流れているのが分かった。それは、地面の傾斜に沿って僅かに流れがある。油断をすれば簡単に流されてしまう。龍はまたも空中に飛び、ライラを蹴りつける。それを盾で防ぐも雷が背後で爆散し、吹き飛ばされた。

起き上がるライラに突進する龍へスリンガーを構えた。接触と同時に体へ杭を張り付ける。頭へツブテの実を発射した。壁に激突し、倒れる龍へ槍を突き、薙ぎ払う。

体を起こした龍が自分の足元にブレスを吐くと、その水は白く光を放つ。龍は飛び上がる。

大きな攻撃が来る。そう察したライラは盾を構え、呼吸を止めた。

刹那、溟龍の着地と同時に雷が走り、大地を抉るような爆発が起きた。辛うじて爆発を防いだライラは、息を吐き、地面に膝をつく。これまで、色彩帯びていた龍の体は茶色くなっていた。ライラとシンファを一瞥すると、北の方角へ飛び去った。

体を治癒し、槍を研いだライラはゆっくりと立ち上がる。

「いくよ、シンファ」

頷き歩き始めた猫の後ろで、槍を背に担ぎ彼女も歩き始めた。




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