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イケメンとは言えないけれど、モテすぎる松田くん。

2人に1人が、同じ男に惚れていく。
そんな光景を見たことがあるだろうか。
これは実際に出会ったモテる男の話である。

すず視点で、最強にモテる男を紐解きます。

はじまり、はじまり。

ーーー

地方から東京に出てきた私は、中学までの友人とほぼ繋がりがない。(すこしヘビーな理由があるので、後ほど軽めに書きます)

ただし高校2,3年と、同じ理系クラスだった女子たちは、何かと仲間意識が強く、アラサーにして未だに連絡を取り合っている。
コロナが流行ってから、会えないからとリモート飲みをするほど仲良しだ。

仲良くなったのは、簡単な理由がある。

理系は女子が圧倒的に少ないのだ。

クラス40人のうち女子は11人で、男だらけのなか生きる私たちは、非常に肩身が狭かった。体育前の休み時間なんて、地獄でしかない。
パンツ姿で廊下を走るクラスの男子に、日々冷たい視線を浴びせていたあの頃。
同級生の男は、マジで恋愛対象外だと悟ったあの頃。(後に、同級生と付き合います←)

理系女子は、女子特有の集団を作らず、なぜか群れない。単独行動をしがちな女たちだった。

理系女子=リケジョの日常といえば、眠い時は机に伏せて寝ていたり、一緒にいるのに隣で本を読むなんてザラだった。
これを読んでいる男性で、1人の時間を大事にしたい方は、ぜひ理系女子を推しておく。結婚しても、お互い1人の時間を確保できるはずである。

そしてこんな淡白な理系女子たちは

不思議なことに、

女子11人中6人が、同じ男に惚れていく。クラス仲がいいというのに、厄介な話である。

かと言って、その男は誰が見てもイケメン!といえる容姿ではない。
芸能人で言うところの、松田龍平に似ている。好き嫌いがある顔なのは、明確だろう。(松田さんなんだか、すみません)
ここからはモテモテだった彼を、松田くんと呼ぶことにする。


■ タイミングは違えど

惚れるタイミングこそ違えど、11人中6人は彼に夢中になった。
友人2人は、中学のころに
友人1人は、高1のころに
そして高2のころ、3人が。

11人の女子たちは仲が良く、お好み焼きをつつきながら、ドリンクバーでふざけていた。
誰かがお化粧室に行った隙に、コーラとメロンソーダをブレンドした"どす黒い飲み物"を用意して「飲み物持ってきておいたよ♪」と笑い合っていた。
やっていることは、もはや男子だ。

すずの焼いたお好み焼きが、1番綺麗だから食べたい!という友人の評価で、ある時から必ず焼く係だった私は、いつも女子トークの聞き役に徹していた。小学生のころから、友人の相談役や世話役だったので、性に合っていたのもある。(末っ子ですが)

男だらけのクラスという肩身の狭さから、脱出したからこそできる話は、女子たちをリフレッシュさせ、本音を話し合える仲だった。


高校生なので、当然恋愛の話にもなる。

今誰が好きで、誰が気になってるだとか、誰と付き合っているとか。

そして、あるとき6人全員で
「え。私も松田くん好きになったことある」という答え合わせに至るのであった。

あいつ(松田くん)やばいね!みんな惚れていくじゃん!と、全員で笑い合った。




■ 私にとっての松田くん

高校1年生の初日、クラスで自己紹介があった。
中学までの部活や、どこの中学出身など当たり障りない自己紹介をする中、特に印象に残る自己紹介をする男こそ、松田くんであった。

私にとって、彼の第一印象は
「関わりたくないヤバい奴」
これに尽きる。

彼の自己紹介を、覚えている限り書いてみる。

「松田龍平といいま〜す。
中学まで陸上をしていて、高校でもやろうと思っています。新歓に行ったのですが、先輩のメンツがヤバすぎて入るか悩み始めました。もう少し、いいメンツだったらすぐ入りたいです。よろしくお願いしま〜す。」

はじめての自己紹介で、先輩の悪口を言うし、とてつもなくユルい口調と、ニヤニヤした態度。

なんだコイツ!自己紹介で言うことかよ!先輩に謝れ!と心が掻き乱された。強烈に印象にのこる自己紹介であった。

しばらく経って、
バドミントン部の私は休憩中、校庭にいる陸上部の練習風景を見てこう思う。

「ほんとだ。先輩のメンツやばい。ちんちくりんばかり」と、松田くんの自己紹介を思い出して、1人でクスりと笑った。



■ それからの松田くん

ユルっとした松田くんをウザがる私に、彼はしょっ中絡んできた。なぜかいつも、偶然にも席が近い。
いつのまにか、消しゴムを貸してあげる仲に昇格した。
なんなら、カッターで消しゴムを半分にして渡したこともある。いちいち貸すのが、面倒だったからだ。

「すず〜シャーペンの芯ちょうだい♪」とニコニコしながら言われる日々。
やっと松田がシャー芯買ってきたってよ!って思ったら
「この前貰ったからお礼ね。手ぇ出して?」と、シャー芯のBを直に数本貰った。
筆圧が弱いわたしには最適だった。

しかし高校はHB指定なので、なぜBを買ってきた?と、私の脳内は謎に包まれる。
案の定先生に「松田!Bはだめだ!買い直せ!」と怒られるのを目の当たりにした。
彼は筆圧が強い上にBを選んだため、先生に速攻でバレたのだった。

「なんでBはダメなんですか?俺はBが気に入ってるんです。せっかく買ったので使います」と先生に歯向かう、我が道を行く男だった。

先生に歯向かう彼の右手を見ると、小指から手首の付け根が、Bの芯の粉で真っ黒であった。
やはりHBに買い直したほうがいいのでは?と思いつつ、笑いを堪えるのに必死だった。

やばいと思っていた奴と、シャー芯をトレードする仲にもなった。

学校生活は何があるかわからない。



■ 他愛ない話


高2から、進路に合わせて文系・理系を選べる進学校だった。
理系の扉を開くと、男の園の中に松田くんがいる。男女から人気がある男だった。

「また同じクラス?しつこいね笑」という冗談を言えるくらい、高2になり仲良くなっていた。
(高1の時は、お互い彼氏彼女がいたため、あまり話さないようにしていたのもある)

理系クラスになると、男子の系統は2種類
・真面目で女の子と話せない、大人しい男たち
・真面目で男女関係なく、陽気に話せる男たち

女の子がどんどん惚れていく松田くんは、言うまでもなく後者だ。

いつのまにか、クラス全体で仲良しになり
土日、男女でカラオケに行ったりボーリングをするようになった。
(田舎は、それしか遊ぶところがないに過ぎない)

学校の近くで、仲良し男女8人くらいで待ち合わせをしていた日のこと。
松田くんだけ、一向に来ない。

前日まで、他愛無いメールをしていた私は
「ちゃんと時間も確認し合ったのに、寝坊かな?さすが松田くん」
と思いながら、みんなと一緒に彼を待っていた。

「うわー!ごめん!寝坊しちゃってさ〜。わりぃ、わりぃ。」

なんだよ、起きた時に連絡しろよ!と男友達が言い放ち、みんなが先に行く中

「すず、ちょっといい?」と松田くんに言われ
みんなの後ろを2人で歩くことになった。


「これ、すずにあげる」


松田くんから、コンビニの袋を渡された。


「すずが好きなお菓子が、見つからなくて!コンビニ3軒回ってたら遅れちゃったの。これだったよね?」


その瞬間、ブワッと春風が吹いた。桜の木が綺麗な緑色をまとい、風が駆け抜ける道だった。



今ならハッキリ分かる、高校生のピュアな私が恋に落ちた瞬間だ。


みんなには、寝坊して遅れた!と口実にする優しさが、尚更わたしの心に突き刺さった。

ただ、お菓子を買ってきて!なんて言った覚えはない。最近どこにも売っていなくて、探してるんだという話をしていた。
前日、メールでの他愛ない話である。


■ モテる男。松田くんの本性

松田くんは、仲の良い女の子を特別扱いするクセがあったんだと思う。でないと、11人中6人も惚れるとは思えない。

noteで言うところの、
・◯◯さんのために、この記事を書いてみました。
・◯◯さんの影響で、書きたくなったので書きました。

というモテる男たちの特有の、自然な振る舞いである。
(たぶん、本人たちは気づいていないし、狙っていない...はずだ!と思いたい←知らんけど)

なんの狙いもなく、1人の女性を大衆の前で名指しし" 特別扱い風 "をすると
女の子はいい気分になって、ちょっとその人に惹かれるのだ。

【特別】【1番】【最も】などの断定的な言葉を、女の子にかける人も勝手にモテる、それである。私の目は、そういうあざとい男の仕草や言動を見逃さない。「またやってるよ」とスマホを片手に半笑い←

モテる男たちは、口を揃えてこうも言う
「なんで俺のこと好きなんだろう?」と。

どの口が言う!と思うが、私は親切なので質問で返答する。
女性を特別扱い風にするクセは、いつから備わっているのでしょうか?と。
(今後、モテる男の暴露記事をさらに書きたい)

女性を自然に特別扱いする"クセ"のある男性に
気づかずに惚れてしまったら、女性は冷静ではいられない。どんどん深みにハマり、いつのまにかメンヘラになってしまうのがオチだ。

報われない片想いの、成れの果てである。

男性に振り回されたい女性は、モテる男に惚れやすい。
彼らの言葉は、女子にとっては巧みな話術でしかなく、自然に女の子は勘違いして惚れてゆくのだ。松田くんがそれだった。

私の場合は、モテる松田くんを遠ざけた。動じない冷静な私が、メンヘラになんてなりたくない。

お菓子は純粋に嬉しかったし、好きになっている自分にも気づいたけれど、11人中過半数が惚れている状況は恐怖でしかない。

悪気のないメンヘラの量産は、ぜひやめてほしい。
でも結局、モテる男は会話が面白いし、観察しているだけで楽しいし、ナチュラルに女性をいい気分にさせてくれる。

今回モテる男をディスっている風だが、実際はモテる男ばかりと仲良くなる。最大限の感謝をここに示しておこう。

なんせ夫も「王子」「爽やかすぎて、もはやレモン」と言われるくらい、モテてきた男なのだ。(王子は百歩譲って、レモンって何。テレビジョンしか浮かばない。サワーにぶち込んだろか)

モテる男は、女性への理解があり、女性の扱いが上手く、優しくて言葉選びが面白い。

悪気はない!らしい←


■ さらに悪気のない松田くん

こんなことを自ら言うのはおこがましいが、私は中2からずっとモテ続けてきた。

勉強、部活の掛け持ち、生徒総会で議長、合唱コンクールのピアノなどを自分を高める努力をしていたら、自然に目立ってモテてしまった。自分に対して挑戦をしていた、ただのストイック女である。

モテることを嫉妬する人たちから、"ヤリマン"という根も歯もない噂を流され、壮絶なイジメを受けていた。ネットでの誹謗中傷に毎日悩まされていた中3、高校に行ったら目立たないように、ひっそりと学校生活を送ろうと誓った。

そんな思いも届かず、高1でモテすぎた私は高2で噂が再加熱した。

理系クラスが仲良かったので、それだけで充分だ!と言い聞かせてひっそりと過ごす日常。一刻も早く地元を出たかった。

当時、誰ともヤったことがなかった。もし事実なら噂を受け流せたのかもしれない。
クソ真面目で、言葉の暴力を直に受け止め、人前では決して泣かないようにしていた。どこまでも、ただのストイック女である。

噂の真っ只中、仲良しの松田くんから連絡が来た。

「すずがヤリマンって噂されてるけど、違うよね?」という悪気のない素直な言葉だった。

言われた瞬間、堪えきれず人のいないところに隠れて泣いた。
仲の良い松田くんに、言われると思っていなかったし、ヤリマンと疑われているんだとしたら悲しい。そんな涙だった。

経緯を話すと、松田くんは私の気持ちを受け止め、いつもと変わらずに接してくれた。

「側でずっと見てきたから、嘘ついてないの分かるよ。へんなこと聞いてごめんね。男友達に脅されて、噂がウソなの証明したかっただけ」だと言う。

その男友達は、高1の頃わたしが振った男だった。きっと振られた腹いせに言いふらしてるのだろう。器の小さな男は、本当に厄介だと17歳で悟ったのだった。


■ 何度も何度も

その後松田くんは、何度も何度も気持ちを伝えてくれた。
好きだったけど、お互い彼氏彼女がいて言えなかったこと。好きだから、あのときお菓子を買ってきたなど、自分の気持ちに正直な男だった。

そう考えると、高1のときの「先輩のメンツがやばい」という自己紹介が腑に落ちた。

彼は、自分の気持ちに正直なだけだったのだ。

彼のことが好きだったが、あまのじゃくだった私は何度も付き合うことを断った。
現在、私を含むクラスの女3人が、松田くんに惚れている。
私が付き合ったとしたら、友人にどんな顔をしていいか分からなかったのが最大の理由である。

放課後
受験勉強をしている中、後ろに座っていた松田くんから、背中をつつかれノートの切れ端を渡される。

ふざけた絵を書いただけの、意味のない落書きだった。
静かな自習室で、笑いを堪えて私は背中を震わせた。
笑わせたいだけの、彼のイタズラにまんまとやられた。

そのあと私は何を思ったのか...

下校前、同じく松田くんを好きな友人に、自分の気持ちを正直に話した。いつも聞き役に徹していた私は、自分の気持ちを話していなかったのだ。

友人は、そうだと思ってた!と笑顔で言ってくれた。恋のライバルだと言うのに、嫌な顔ひとつせず仲良しでいてくれたのだ。なんなら、上京してから温泉旅行にも行くような仲良しである。

友人に自分の気持ちを打ち明けて、しばらく経った高3の桜の時。

桜の木の下で付き合うことになった。




■ 高3〜大学の松田くん

高3で受験勉強に切羽詰まる中、相変わらずの松田くんに授業中クスりとする。

彼は英語の時間、数学の過去問を解くのに夢中だった。

「おい!松田!いまは英語の時間だ!数学の参考書を閉じろ!」


「嫌です。この勉強を辞めさせて、俺が大学に落ちたら、先生は俺の将来の責任が取れるんですか?」

「...。でも今は英語の授業だ!」

「分かってます。ご自由にどうぞ。俺も自由にしますので。」

正論?を言う、尖りに尖った男だった。先生が言い返せない様に、笑いを堪えるのが大変だった。

モテる男は、なぜこうも自分の主張を曲げないのだろう。思っているよりも遥かに、プライドが高い人が多いのかもしれない。

その割に好きな女の言葉は理解してくれるし、コロッと自分の主張を曲げてくれる。揺るがない私への気持ちが、不思議で仕方なかった。

松田くんは私を大好きだったが、それでも彼はモテ続ける。笑

大学で遠距離になってしばらくすると不安に押しつぶされ、私は自ら別れを切り出してしまう。

きっかけは些細なことだ。彼からの電話中、大学の女の子たちと楽しそうに一緒にいることに気づいた日だった。私は女子大だったし、住む世界が違いすぎて、ひとりで悩んで苦しくなって終わりにすることにした。というか、男女でいる時に電話なんかしてくるな!と今でも思う。笑

今の私だったら別れないで済んだと思うが、モテる男と付き合うのはハッキリ言ってスリルと隣り合わせである。なんせ異性が勝手に寄ってくるのだから。そこを気にするのであれば、モテる人とは付き合わない方がいい。

どんな人と付き合おうが、女性は愛され続ける努力をしなければならない。パートナーがモテる男なら尚更である。

モテる男性と付き合うことの最大のメリットは、女性として素敵でいることを忘れないよう、意識が高まり努力できることだ。
自然と意識を高めてくれるモテる男の存在は、私にとってはメリットでしかない。(どこまでもストイック)

一生かわいくいたい!綺麗でありたい!と思っている女性は、モテる男性を選べば、人生の満足度が高いかもしれない。
自然と自分も素敵でいられるのだから。

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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。久々に長いの書いて疲れちゃった。読んでくださった方も疲れただろうに...。

読んでくださり本当にありがとうございます。

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おい!まだ読ませるのかよ←笑

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