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取材◆八尾⑥2024/12/12

これは、大阪府八尾市の商業施設「LINOAS」ビジュアルの、クリスマスシーズンに続き冬2つ目を描くに際し行った取材の日記である。

今回のビジュアルは節分の時期に掲示されることから、八尾天満宮の「追儺式」をモチーフに描くことに決まった。追儺式は、たいまつを持った赤鬼・青鬼・黒鬼を、天狗と鬼追い神が追い払う、家内安全・無病息災を祈願する神事である。

八尾天満宮は八尾戎神社と併設しており、近鉄八尾駅から、LINOASと反対方向へ徒歩10分ほどで着く。

駅前の居酒屋群を抜け、細い路地をまっすぐ歩いた。道沿いには八尾神社ののぼりがたくさん掲げられている。スマホのMAPに従い、途中から「ファミリーロード」という商店街に入った。昔ながらの風情で、シャッターの降りた店も多い。今日は休業日なのだろうか?

道沿いに何軒か寺もあった。

ファミリーロードをまっすぐ進むと、突き当たりで鳥居が登場。八尾天満宮の入り口だ。

梅の紋がついた門をくぐるともう一つ鳥居が現れ、ここへ来るまでに色々な紹介動画やwebの記事で予習していたとおりの景色が広がった。

境内は人気がなく、静かだ。おそらく「受付」と思われる場所ですら誰もおらず、窓やカーテンまで閉じられている。取材場所で人がいると、気を遣って落ち着かないのでありがたい。じっくり写真を撮る事ができた。

八尾天満宮と、併設されている八尾戎神社の写真を撮る。

近所の人たちの散歩ルートでもあるようで、一人きりだった境内に犬の散歩をする中高年女性や、軽装の初老男性がちらほら現れ出したところで帰ることに。

と、境内の真横の壁から換気扇を伝って歌謡曲のカラオケが聴こえてきた。今は昼間だが、恐らく酔っ払いのそれだ。振り返ると、美容室と思われる手書きの看板があり、気になって表にまわった。

天満宮の真裏の細い道沿いに小さい民家と居酒屋、カラオケがある。歌はここから聴こえていたらしい。自由なまちで面白い。

しばらく立ち止まって、ゲームアプリでピクミンブルームをする。このまま帰宅すると境内の写真を撮っただけで終わってしまうので、どこか八尾のお店に立ち寄りたいなと考えつつ商店街へ戻った。

近鉄八尾駅に近づくにつれ、シャッターの開いているお店が多くなってくる。精肉店が何軒もあり、両側に現れる古くてディープそうな店をキョロキョロしながら歩いた。

商店街の入り口にある、「八尾薬局」の看板の十字マークが電飾のようにチラチラ光っている。近づくと、ガラスビーズをワイヤーで張ったような造りで、アナログ仕様だったことにびっくりした。少しの風でビーズが動き、電飾看板のように目立つ。これはぜひ現地で見ていただきたい。

八尾薬局の反対側に、「カフェ食堂 ライラック」というレトロな飲食店を見つけた。店の前ではモコモコのアウターに身を包んだ中高年の女性がテイクアウト商品を売っている。

八尾天満宮についてのブログに出てきたオムライス屋さんだったこともあり、入ってみることに。最近急に一人で飲食店に入ることへの抵抗がなくなり、単身で近所に飲みに行ったりできるようになった。

普段、お店の写真はご飯を食べてお金を払った後に撮らせてもらうことにしているが、もう夕方3時で店を出る頃には日が暮れている可能性があったので、外でテイクアウトを売っていた女性に写真を撮っていいか伺って撮影した。

撮るだけで帰ったと思われると忍びないので、撮影後に駆け足でお店の扉を開ける。外にいた女性が一緒に入り、水を持ってきてくれた。

メニューには20種類以上のオムライスがあり、かなり迷った結果、ハンバーグオムライスを注文。ちょうど今朝、中が赤いハンバーグについて議論されているニュースを見てからずっと頭がハンバーグでいっぱいだったのだ。

ほどなくして熱々のハンバーグオムライスが届き、女性はまたテイクアウトを売りに外へ出ていった。

味噌汁とコンソメスープの合いの子のような味の不思議な具沢山スープを飲み、オムライスに手を伸ばす。おいしい。お店のオムライスの味は、家で出せないのだ。バターの量だろうか…。しばらく夢中で食べる。

上にのったハンバーグは、とてもしっかりぎっしりしていた。スプーンで切り分けようとして、勢い余って皿をガチャンと鳴らしてしまう。中までしっかりと火が通っていて、ラジオショーリスナーの私は中川家のお兄ちゃんが好きそうな感じだなと思った(彼らは昔ながらの"正統な"飲食店推しである)。

店内は穏やかなピアノのクリスマスソングが流れていた。

ピークは越えたであろう午後3時のオムライス屋でも客はそこそこ居て、静かな声でサラサラと喋り続ける中高年女性が二人、一人で来て他の人と談笑する初老の男性、フラッと入ってきた青年などで賑わっている。青年はオムライスに加えてドリンクも注文しており、届くたび「あざます」と言いながら写真を撮っていた。

外に自転車が停めてあり、店員のものかと思っていたら常連らしき男性客がそれに乗って帰っていった。

食べている途中で、やっぱりライスの量を小サイズにしておけば良かったと思う。注文時にちゃんと聞かれたのに、元気よく並サイズと答えてしまった。いつまで経っても「自分は運動部のままで、おにぎり3つくらい余裕だぜ!」という認識を改められない。休憩を入れながら完食した。

重たいお腹によろよろと前屈みになりつつ、店の前で高架を走る近鉄電車を追いかけて歩く。クリスマスのビジュアル掲示を撮影するためLINOASへ向かった。

今日のLINOASはいつもより混んでいる気がする。クリスマスシーズンだからだろうか?ツリーの横やエスカレーター上部に、自分の絵が掲示されていた。

上から下までクリスマス気分を味わいながらショッピングする。雑貨店「LEAF」で、ビールグラスを買うかしばし悩んで我慢した。

最後に1Fのアウトレット店を覗く。数多の商品が値引きされていて、今日ずっと気になっていたのだ。

店内は基礎化粧品をはじめ90%オフの商品がわんさか溢れており、セールが大好きな私は心をキラキラさせたが、馴染みのないブランドも多く諸々考慮した結果、知らない化粧水を一つだけ買うことにした。いつも気合を入れて良いものを買っても、自身の敏感肌が暴れることが多いため、新しいものには及び腰である。

化粧水に加えて、祖母が健康のために食べている黒ニンニク、自分の猿のような手が少しでも白くなればとQ10の薬用美白ハンドクリーム、またまた知らない韓国のフェイスマスクもレジに持って行く。全てとんでもない値引率だった。

商品を抱えてホクホクしながら1FのTSUTAYA書店に寄り、興味のある分野の本をパラパラめくる。今度買おうと決めて外へ。あたりは真っ暗になっていた。

駅前のバスロータリーがイルミネーションで輝いている。

19時ごろに別のクライアントから仕事の相談の電話がかかってくるため、急いで帰った。普段引きこもりで、液晶画面を観て食っちゃ寝しているが、今日は仕事のために外へ出たので罪悪感がない。

最近、外へ出ると元気になる。人間はやっぱり社会的な生き物なのだと思う。

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