第六話 ニットの修理依頼が毎日届くニットメーカーサイフク「ニットともっと仲良く」
気に入って何度も着たり、何年も愛用していると、
ひっかけたり出してみたら虫食いがあったというのもニット。
サイフクでは、そんなニットの修理を行っている。
今回はECサイトの管理運営で、お客さまと直接接する機会が多い斉藤智之さんにお話を伺った。
ニットから想いが伝わってくる
―――サイフクさんでは製品を作り出すだけでなく、アフターケアにも力を入れているそうですね。
斉藤智:はい。きっかけはサービスの一環として行っていた「ニットのお直し」でしたが、思った以上に依頼をいただくことが多いんです。
斉藤智:やっぱり多いのが、「穴あき」「虫食い」「ひっかけ」ですね。
初めは自社のものだけでしたが、他社製品も受け入れています。
―――ニットのお直しって難しそうで、出すか迷ってしまうところもありますが。
斉藤智:そうですね。自社のmino(みの)・226(つつむ)の場合、ファクトリーブランドの強みで、同じ糸を保管して持っているので、もちろんキズや穴の大きさによりますが、目立たない修理が可能です。
ただ、他社製品の場合は、似たような糸を探し可能な限り近づけてお直しをします。
そうするとお客さまから、手書きのお便りがくるんです。
「母の形見なので直していただけて嬉しい」とかですね。
―――みなさん、それぞれの想いがあるものなんですね。
斎藤智:大切に使っていただいている、という想いがこちらにも伝わってきます。
ニットともっと仲良く
―――以前はクリーニングに出していたようなものも、最近は「おうちでお洗濯できます」というものが増えてきたように思えますが、ニットはどのようにケアしたら、長持ちさせられるのでしょうか?
斉藤智:国内商品のほとんどは編み地の、前身、後身、袖、衿の段階で洗いをかけます。ですので今は、ほとんどのものが手洗いOKになっています。
洗濯機で洗えるものを多く作っています。
斉藤智:表示ラベルを見てみてください。
―――本当だ。手洗いOKって出てますね。
斉藤智:はい。表示も国際統一されましたが、実は一番厳しい基準でつけてあります。この表示通りにしていただければ、ニットは洗えます。
もちろんドライ表示のものもありますが。
永いお付き合い
―――最近は家でアイロンをかける事が少なくなって、洋服のケアがどんどん簡単になってきている気がします。ワンシーズンで着なくなってしまうものもありますし。
斉藤智:確かに、ファストファッションなど選択肢も増えましたが、やはりお直しの依頼など先月だけでも10数件いただいています。
こちらも手作業なので、お待ちいただいているお客さまも多いです。
そういう意味では、大事にしてくださる方もまだまだ多いのだと思っています。
サイフクの元には全国からお直し依頼が後をたたない。
一つ一つ丁寧な仕事で、また蘇らせてお戻しする。
ニットのドクターのような斉藤智之さんだった。